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2025年9月23日

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令和7年6月の生活保護受給者198万人に減少、前年より2万人以上減少

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被保護者調査(令和7年6月分概数)(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が公表した令和7年6月分の生活保護被保護者調査によると、生活保護を受給している人や世帯の数は前年同月に比べて減少している一方、生活保護の新規申請件数と保護開始世帯数は増加傾向にあります。この記事では、最新の統計データに基づいて、生活保護制度の現状や特徴を詳しく解説し、制度に対する理解を深める内容をお届けします。


厚生労働省が令和7年9月3日に発表した令和7年6月分の生活保護被保護者調査によると、生活保護を受給している人の総数は1,988,497人となりました。これは前年同月に比べて21,735人の減少、率にして1.1%の減少を示しています。世帯数で見ると、被保護実世帯数は1,645,202世帯となり、こちらも前年同月と比較して5,443世帯、0.3%の減少となっています。これらの数値は、日本の生活保護制度における依存度の変化を示すものであり、制度を支える社会経済的背景の動向を反映していると言えるでしょう。

一方で、生活保護の申請件数は前年同月よりも増加しており、20,897件が新たに申請されました。これは前年同月に比べて797件、率にして4.0%の増加です。さらに、保護が新たに開始された世帯数も18,022世帯となり、前年同月比で410世帯、2.3%の増加が見られました。申請件数と保護開始世帯数の双方が増加していることは、生活環境の悪化や失業、病気、家庭の崩壊など、生活の困難に直面する人々が増加していることを示唆しています。

調査によると、生活保護を受けている世帯のうち、最も多いのは高齢者世帯であり、全体の55.3%を占める904,538世帯が該当します。高齢者世帯は前年同月に比べて4,785世帯、0.5%減少しています。高齢者が単身で暮らすケースも多く、単身世帯全体では843,197世帯と、全体の51.5%を占めています。高齢化が進む中、年金収入だけでは生活が困難な高齢者が多く、生活保護制度が老後の生活を支える最後のセーフティネットとして重要な役割を果たしていることがうかがえます。

また、母子世帯についても注目すべき動きが見られます。母子世帯の数は58,714世帯で、前年同月より3,560世帯、5.7%の減少となりました。子育てと生計の両立に悩む家庭が多い中、生活保護を利用する母子家庭の減少は、子育て支援政策の成果か、もしくは制度利用への心理的・社会的なハードルが依然として高いことの表れかもしれません。制度の周知や利用しやすさの改善が今後の課題となります。

障害者や傷病者の世帯数は412,652世帯で、全体の25.2%を占めています。前年同月と比べると1,994世帯、0.5%の増加となっており、障害や病気によって労働が困難な人々の存在が浮き彫りになっています。これらの世帯は、自立を望みながらも身体的・精神的制約により働くことが難しく、生活保護に頼らざるを得ない現状があります。今後は、就労支援や医療との連携強化が重要なポイントとなるでしょう。

「その他の世帯」には260,468世帯が分類され、前年同月と比べて394世帯、0.2%の増加が見られました。このカテゴリーには、明確に分類されない複雑な事情を抱える世帯が含まれており、支援の在り方がより個別性を帯びていることが特徴です。多様化する社会課題に応じた柔軟な支援体制の構築が求められます。

生活保護制度は、生活に困窮するすべての国民に対し、その最低限度の生活を保障し、自立を助けることを目的とした制度です。その実施にあたっては、申請主義が原則であり、困窮した本人またはその扶養義務者が申請する必要があります。しかし、申請件数が増加している一方で、被保護者数や世帯数が減少している背景には、審査の厳格化や制度利用に対するスティグマ、扶養照会の実態などが関係していると見られています。特に扶養義務者への照会に関しては、利用者側が申請をためらう一因となるケースが多く、制度の見直しが議論されています。

また、今回の調査では、保護率についても明らかにされており、令和7年6月の保護率は人口100人あたり1.61%という数値になっています。これは前年と比較してわずかに減少しており、全体として生活保護の利用率が微減していることを示しています。なお、保護率の算出には、総務省の人口推計(概算値)が用いられています。

制度の適正運用を図る上で、こうした統計データの収集と公表は極めて重要な意義を持ちます。これにより、政策担当者は生活保護制度の実態を客観的に把握し、必要な対策を講じることができます。また、現場で支援にあたる福祉職員にとっても、最新のデータは制度運営の指針となり、的確な支援の実施に資する情報となります。

社会保障費の増大が国の財政に与える影響が注目される中で、生活保護制度は常にその運用の是非が問われています。こうした状況下においては、制度の持続可能性と公平性を両立させるための不断の見直しと改善が不可欠です。同時に、真に必要とする人々に対して支援が行き届くよう、制度の周知や相談体制の整備も急務です。

生活保護に関する正確な理解を促進し、制度に対する誤解や偏見をなくすことも、社会全体の課題として捉えるべきです。そのためには、制度利用者の実態を可視化し、公的なサポートがいかに生活再建に貢献しているかを丁寧に伝えていく必要があります。生活保護は「最後の砦」としてだけでなく、「再出発のための土台」として機能するものであるべきです。

今回の調査結果を受けて、国や地方自治体、支援団体、そして社会全体が一体となって、支援を必要とする人々の生活をどのように支えるかを再考することが求められています。困窮者の声に耳を傾け、多様な生き方を尊重し、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けた取り組みが、これからますます重要となるでしょう。

この記事の要点

  • 令和7年6月の生活保護受給者数は1,988,497人で前年同月比1.1%減少
  • 生活保護世帯数は1,645,202世帯で0.3%減少
  • 生活保護の申請件数は前年同月比4.0%増の20,897件
  • 保護開始世帯数は前年同月比2.3%増の18,022世帯
  • 高齢者世帯が最も多く全体の55.3%を占める
  • 母子世帯は5.7%減少、支援の周知不足や社会的要因が影響か
  • 障害者・傷病者世帯は25.2%を占め、前年同月比で微増
  • 生活保護率は人口100人あたり1.61%
  • 生活保護制度の適正運用と社会的理解が今後の課題

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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