2025年9月23日
労務・人事ニュース
令和6年の民有林無断伐採相談件数が80件に、誤伐が全体の7割を占める
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民有林の無断伐採に係る調査結果(令和6年)について(林野庁)
この記事の概要
林野庁がまとめた令和6年における民有林の無断伐採に関する調査結果によると、全国で合計80件の相談が市町村や都道府県に寄せられており、その多くは境界の認識違いや錯誤による誤伐であったことが明らかになりました。本記事では、調査結果の詳細と林野庁の未然防止に向けた取り組みについて詳しく解説します。
森林は日本の国土の約7割を占めており、その多くが民有林という形で管理されています。こうした森林は、木材資源としての価値だけでなく、生物多様性の保全や土壌の保護、水源涵養などの多面的な機能を果たしています。しかし近年、森林所有者の高齢化や管理の担い手不足といった社会的背景を反映するかのように、無断で伐採されるという事案が全国各地で報告されるようになりました。林野庁では、こうした事案の実態を把握し、適切な対応策を講じるため、平成30年から毎年、都道府県を通じて調査を実施しています。令和6年の調査結果では、前年を上回る80件の相談が寄せられたことが明らかになりました。
この調査によれば、相談が寄せられた80件のうち、木材の利用や販売を目的として故意に無断伐採が行われたと見られる件数は5件、開発や資材置き場の造成などそれ以外の目的による伐採と考えられる件数は8件とされています。さらに、最も多かったのは、境界の不明確さや所有者同士の認識違いなどにより、結果的に無断で伐採されてしまったケースで、55件にのぼりました。これは全体の約7割を占めており、多くの無断伐採が意図的ではなく、境界線の認識不足など、誤解や確認不足によって発生している実態を浮き彫りにしています。なお、その他の要因により詳細が不明なケースも12件ありました。
さらに、これらの事案のうち、警察に相談が寄せられたものは全体の22件に上り、うち故意の伐採が疑われた事例は7件、誤伐が疑われたケースが11件、その他不明なものが4件となっています。このことからも、民有林の無断伐採が、法的なトラブルに発展しうる深刻な問題であることが分かります。また、参考までに、令和5年における同様の調査結果と比較すると、令和5年の相談件数は74件であったため、今年度は6件増加しています。特に、誤伐と見られる事案が9件も増えている点は見逃せません。
このような無断伐採の背景には、森林所有者と伐採業者との間での事前の合意形成や境界確認が不十分であるという課題があります。山林の境界は平地と異なり、自然地形や植生によって視認が困難である場合も多く、書面による明確な取り決めを欠いたまま作業が行われるケースも見受けられます。特に、地方においては相続登記がなされておらず、現所有者が把握されていない土地も多く存在するため、業者による確認が難航する実情もあります。
こうした事態を受け、林野庁では無断伐採の未然防止に向けたさまざまな対策を講じています。まず、市町村や都道府県、さらには警察との連携を強化し、定期的な伐採現場のパトロールの実施を要請しています。これにより、違法または不適切な伐採の早期発見を図るとともに、業者の行動抑制にもつなげようとする狙いがあります。また、最新の技術を活用した取り組みとして、衛星画像による伐採状況の監視プログラムの導入が進められています。これにより、広範囲にわたる森林の変化を早期に察知し、不審な伐採の兆候を検出することが可能となっています。
加えて、伐採造林届出制度の運用においても見直しが行われています。具体的には、伐採届の提出時に森林の権利関係を確認できる書類の添付を義務づけることで、伐採者が正確な所有者を把握しやすくする仕組みの整備が進められています。これにより、所有者との事前の合意がより確実に行われることが期待されています。さらに、林野庁のウェブサイトでは、「森林窃盗、無断伐採事案の未然防止」と題した特設ページを開設し、事業者や森林所有者向けに注意喚起や手続きの流れなどを分かりやすく解説しています。これらの取り組みは、森林資源の持続可能な利用と保全を両立させるための重要な施策と言えるでしょう。
森林は、持続可能な社会の実現に不可欠な資源であり、その適切な管理と保全は、我々一人ひとりに求められる責任です。特に今後は、デジタル技術のさらなる活用や、森林所有者への情報提供体制の整備を通じて、地域社会全体で森林を守る意識を高めていくことが重要です。また、林業に関わる企業や地方自治体にとっても、伐採作業の計画段階から法令順守を徹底し、透明性のある手続きと記録管理を行うことが求められます。
今回の調査結果は、無断伐採の大半が悪意ある行為ではなく、認識の齟齬や確認不足から生じていることを明らかにしました。しかしながら、結果として他人の財産を損なうことに変わりはなく、被害を受けた森林所有者にとっては大きな損失となります。だからこそ、制度の運用強化と意識の啓発を並行して進め、無断伐採という課題に真摯に向き合う必要があるのです。
この記事の要点
- 令和6年の無断伐採に関する相談件数は全国で80件
- 最多は誤伐と見られるケースで55件にのぼる
- 故意の伐採が疑われた事例は13件で、警察への相談は22件
- 令和5年からの相談件数は6件増加し、誤伐の件数も増加傾向
- 林野庁はパトロールや衛星監視の導入で未然防止策を強化
- 伐採届に権利関係書類の添付義務化で事前確認の徹底を促進
- 無断伐採は悪意によらずとも所有者の損失につながる深刻な問題
⇒ 詳しくは林野庁のWEBサイトへ