2025年9月24日
労務・人事ニュース
全国3,141社調査で判明、外国人観光客の増加を実感する企業は31.7%
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最終更新: 2025年9月23日 22:36
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生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果(日本公庫)
この記事の概要
日本政策金融公庫が実施した調査により、生活衛生関係営業者の約3割が外国人観光客の増加を実感しており、全体の約45%の事業者が実際に外国人観光客の利用があると回答しました。また、訪日外国人への対応としてキャッシュレス決済の導入が最も効果的であることが明らかになりました。今後の対応方針や課題、慎重な姿勢の背景についても調査結果から具体的に浮かび上がってきました。
日本政策金融公庫が2025年6月に実施した調査によると、全国の生活衛生関係営業者のうち、31.7%が「自店の周辺地域で外国人観光客が増えた」と回答しました。この数字は、前年と比べて外国人観光客の増加が地域社会や事業者の実感として現れていることを示しています。特に近畿地方や四国地方では、全国平均を5ポイント以上上回る結果となっており、大阪府や奈良県ではそれぞれ63.6%、56.3%と非常に高い増加率を示しました。
さらに、外国人観光客の利用実態についても調査が行われました。全体の44.8%が「利用がある」と回答しており、ホテル・旅館業では88.3%、公衆浴場業では64.9%、飲食業では59.8%と、宿泊や飲食といった業種において利用率が特に高くなっています。逆にクリーニング業や理容・美容業など日常生活に密着したサービス業では利用が少ない傾向が見られました。
外国人観光客を受け入れるための具体的な取り組みについても注目すべき結果が出ています。調査対象のうち27.1%が何らかの対応を実施していると回答しました。その中でもホテル・旅館業では76.0%が取り組みを進めており、他の業種を大きく上回る結果となっています。次いで飲食業が34.0%、公衆浴場業が31.5%と続いています。これらの業種では、外国人観光客の来店頻度が高いことから、より積極的に対応策を講じていることがうかがえます。
また、受入れにおいて効果のあった施策として最も多く挙げられたのが「キャッシュレス決済の導入」で、45.0%の事業者がその効果を実感していると答えました。次いで「メニューや施設内の案内等の工夫」が25.5%、「Wi-Fiなどインターネット接続環境の整備」が23.0%と続いており、いずれも外国人観光客の利便性向上に直結する内容です。特に飲食業では、キャッシュレス決済導入の効果を51.4%の事業者が認めており、他の業種と比べて高い割合を示しています。
今後の外国人観光客の受入れ方針については、「積極的に受け入れていきたい」と回答した事業者は5.3%、「自然体で受け入れていく」が60.3%で、合わせて65.6%が前向きな姿勢を見せています。一方で、「できれば受け入れたくない」と慎重な立場を示した事業者も34.4%存在しており、その背景にはさまざまな課題があることが分かりました。
具体的には、「店舗内の案内表示、メニュー表等の多言語対応」が32.5%と最多で、次いで「多言語に対応ができる従業員の確保」(25.1%)、「ホームページやSNS、店舗外観等の多言語対応」(15.0%)が続いており、言語面での障壁が主な課題として浮かび上がっています。特に、外国語に不慣れな中小規模の事業者にとっては、多言語化のコストや人的リソースが大きな負担となっている様子がうかがえます。
慎重な姿勢を示す理由については、「言語、文化の違いから発生するトラブルを可能な限り回避したい」が44.2%と最も多く、次いで「多言語に対応ができる従業員が不足している」(38.4%)、「国内客で売上が十分に確保できている」(21.4%)という意見が続いています。中には「人手不足が要因で、インバウンド需要に対応する余裕がない」と答えた事業者も一定数おり、特に地方の中小事業者にとって、インバウンド対応は簡単ではないことが浮き彫りとなっています。
観光客の増加による影響については、「ほとんど影響はない」と答えた企業が36.7%と最も多く、「プラスの影響がある」と回答したのは11.1%にとどまりました。一方で、「プラスとマイナスの両方の影響がある」が6.2%、「マイナスの影響がある」が1.0%という結果も出ており、受け止め方には地域や業種による差異が見られます。
観光客の増加によるマイナスの影響としては、「マナー違反をする観光客が増えた」が62.6%と最も多く、次いで「混雑や交通渋滞の発生」(33.9%)、「自店や周辺地域の雰囲気の変化」(29.1%)などが挙げられました。こうした問題は、観光資源としての地域の魅力を損なうおそれもあり、今後の観光政策やマナー啓発活動の必要性を示唆しています。
本調査は郵送によって実施され、対象となったのは全国の生活衛生関係営業3,290企業のうち、3,141企業から有効回答が得られたもので、回答率は95.5%に達しています。調査対象の業種は飲食業や理容業、美容業、ホテル・旅館業など多岐にわたり、全国47都道府県を網羅しているため、全国的な傾向を把握するうえで非常に信頼性の高いデータといえます。
今後、日本国内の観光産業がさらなる発展を遂げるには、地域社会と観光客の共生を前提とした受け入れ体制の整備が不可欠です。企業や行政はもちろん、地域住民の理解と協力も重要な要素となるでしょう。特に、多言語対応やキャッシュレス化など、外国人観光客にとって「わかりやすく」「利用しやすい」環境を提供することが、持続可能な観光地づくりの鍵となります。
この記事の要点
- 外国人観光客が「増えた」と感じている企業は全体の31.7%
- 外国人観光客の利用がある事業者は44.8%で、ホテル業は88.3%と高い
- 受入れ対応を実施している企業は27.1%にとどまる
- 効果的な対策として「キャッシュレス決済導入」が45.0%で最多
- 外国語対応が最大の課題で、多言語メニューや従業員確保に苦慮している
- 慎重な事業者は文化的トラブルや人手不足を懸念
- 観光客増加によるプラスの影響を感じている事業者は11.1%にとどまる
- 地域や業種によって受け入れ体制と意識に大きな差がある
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ