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2025年9月24日

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2025年7月の消費支出30万5694円、実質1.4%増で家計に回復の兆し

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家計調査報告(二人以上の世帯)2025年(令和7年)7月分(総務省)


この記事の概要

2025年7月の家計調査によれば、二人以上の世帯の消費支出は前年同月比で実質1.4%増加し、305,694円となりました。とくに自動車関連や保健医療、光熱費の支出が伸びています。一方、交際費や通信費などの支出は減少傾向にあります。勤労者世帯では収入の実質減少が見られるものの、消費支出は4.6%増加し、消費意欲の高まりが示されています。


2025年7月の家計調査結果から、国内の消費動向に一定の回復傾向が見られました。二人以上の世帯における1世帯当たりの消費支出は305,694円となり、前年同月と比較して実質で1.4%、名目で5.1%の増加を記録しました。これは3か月連続の実質増加であり、コロナ禍や物価上昇などの影響が続くなかでも、生活支出の回復が進んでいる様子がうかがえます。

品目別にみると、特に自動車関連の支出が顕著に増加しています。自動車等関係費は前年同月比で名目17.8%、実質14.8%の増加を示し、消費支出全体の増加に2.01ポイント分も寄与しました。内訳としては、自動車購入が実質で2.00ポイントの寄与度を持つなど、大きな割合を占めています。この背景には、コロナ禍で一時的に控えられていた大型消費の反動や、新車購入への補助制度などの影響も考えられます。

次に、保健医療サービスの支出も伸びを見せています。名目では13.2%、実質でも11.5%の増加となっており、0.59ポイントの寄与度を記録しました。高齢化が進行する日本において、健康への関心が高まり、医療機関の利用頻度が増していることが背景にあると考えられます。特に「他の入院料」の項目が0.46ポイントと寄与度が高く、入院医療費の負担が家計に影響を与えていることが読み取れます。

一方で、減少傾向にある支出も存在します。交際費は前年同月比で実質3.6%減少し、消費支出全体に対して-0.53ポイントのマイナス寄与となりました。特に贈与金の項目が-0.34ポイントと大きな下げ幅を示しており、物価高の影響や節約志向の高まりが交際費の抑制につながっていると考えられます。また、通信費についても携帯電話通信料を中心に-0.42ポイントの実質マイナス寄与が見られ、格安プランへの乗り換えや通信費削減の動きが家計に反映されている可能性があります。

教育支出は前年同月比で名目3.4%、実質9.5%の増加となり、0.25ポイントの寄与度を示しました。授業料などへの支出が安定的に増加しており、将来への投資として教育にお金をかける傾向が強まっていることが示唆されます。また、光熱・水道関連費も増加し、特に電気代の支出が4.8%増(実質)となっています。気候変動による猛暑や寒波の影響、エネルギー価格の変動などが背景にあると考えられます。

被服および履物については、前年同月比で実質0.4%の減少と、やや弱含みの傾向が続いています。近年のファストファッションの浸透や価格競争の激化が消費を抑制している可能性があります。教養娯楽に関しては名目1.6%減、実質4.1%減となり、消費全体に対して-0.44ポイントの寄与度を示しており、娯楽関連の支出が縮小していることが確認されました。

このように支出項目ごとに明暗が分かれるなかで、勤労者世帯の実収入の変化も注目に値します。2025年7月の勤労者世帯の実収入は701,283円で、名目では1.0%の増加となったものの、消費者物価指数で実質化した結果、2.5%の減少が見られました。特に世帯主の収入は前年同月比で名目1.6%、実質5.0%の減少、臨時収入・賞与に至っては12.4%もの実質減少となっています。一方で、配偶者の収入は名目5.3%、実質1.6%の増加を示しており、世帯内での収入構造に変化が起きつつあることも示唆されます。

可処分所得は559,705円で、前年同月比で名目1.5%、実質4.9%の減少となりました。これは、非消費支出である税金や社会保険料が前年同月比で12.1%も増加していることが大きな要因です。つまり、世帯が自由に使えるお金は減少しているにもかかわらず、消費支出は338,900円と実質4.6%増加しており、消費性向はむしろ高まっていることになります。

このような傾向から、物価高により実質所得が減少する一方で、将来不安に備えた消費や必要性の高い支出項目への投資が家計に優先されている様子がうかがえます。消費支出の中で特に堅調な項目としては、保健医療、教育、自動車関連が挙げられ、いずれも生活の質を保つ上で欠かせない要素です。反面、交際費や娯楽費のような裁量的支出は抑制される傾向にあり、これは家計の防衛的なスタンスの表れとも解釈できます。

今後の動向としては、実質所得のさらなる減少が続くか、あるいは収入構造の見直しによって改善が図られるかが注目されます。また、支出項目の変化から、企業側にもマーケティング戦略や商品開発において見直しが求められる時期にあると言えるでしょう。特に、医療・教育・エネルギー分野での家計支出が増加している点を踏まえると、これらの分野での企業活動には大きなビジネスチャンスが存在すると考えられます。

この記事の要点

  • 2025年7月の消費支出は前年同月比で実質1.4%増加し305,694円
  • 自動車関連支出が大きく伸び、2.01ポイントの寄与
  • 保健医療費も増加し、特に入院料の負担が影響
  • 交際費や通信費は減少傾向で家計の抑制傾向が顕著
  • 勤労者世帯の実収入は実質2.5%減と依然として厳しい状況
  • 可処分所得の減少にもかかわらず消費性向は上昇傾向
  • 物価上昇を背景に、生活必需分野への支出が優先されている
  • 企業は医療・教育・エネルギー分野への対応が求められる

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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