2025年9月25日
労務・人事ニュース
有効求人倍率1.22倍が示す採用市場の現状と人材確保の可能性(景気動向指数(令和7年7月分速報))
- クリニックでの看護師のお仕事/車通勤可/即日勤務可/週4日以下
最終更新: 2025年9月25日 01:00
- 常勤・サービス業界の看護師/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年9月25日 01:00
- 注目の訪問看護業務大手法人の求人/車通勤可/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年9月25日 01:00
- 福岡県糟屋郡エリア/訪看のお仕事/未経験OK/車通勤可/即日勤務可
最終更新: 2025年9月25日 01:00
景気動向指数(令和7年7月分速報)(内閣府)
この記事の概要
令和7年7月の景気動向指数速報によると、先行指数は105.9、一致指数は113.3、遅行指数は114.2となりました。先行指数は3か月連続で上昇し、遅行指数も上昇傾向を続けていますが、一致指数は2.6ポイントの下降を記録し「下げ止まり」の判断が据え置かれました。
令和7年7月分の景気動向指数速報は、日本経済の現状を読み解くうえで注目すべき結果となりました。まず先行指数は105.9で、前月から0.8ポイント上昇し3か月連続の上昇を示しました。この動きは将来の景気に対して改善の兆しを示すものであり、投資や受注など今後の動向を占う指標として明るい材料といえます。3か月後方移動平均も0.50ポイント上昇し、8か月ぶりのプラスとなりましたが、一方で7か月後方移動平均は0.28ポイント下降し、4か月連続の下げを記録しました。このことは、短期的な回復の兆しがある一方で中期的にはなお不安定な状況が続いていることを示しています。
次に一致指数は113.3で、前月から2.6ポイント下降しました。これは2か月ぶりのマイナスであり、3か月後方移動平均も0.84ポイント下降し2か月ぶりの下げ、7か月後方移動平均も0.45ポイント下降し同じく2か月ぶりのマイナスとなりました。基調判断は「下げ止まり」とされましたが、実際には投資財出荷指数や耐久消費財出荷指数の落ち込みが影響を与えており、生産や消費の動きに陰りが見えます。この「下げ止まり」という判断は、悪化傾向が一旦落ち着いた状態を意味しますが、同時に力強い回復を示すものではなく、むしろ横ばいに近い慎重な見方が続いている状況といえるでしょう。
さらに遅行指数は114.2となり、前月比で0.8ポイント上昇しました。3か月後方移動平均も0.43ポイント上昇し16か月連続の上昇、7か月後方移動平均も0.61ポイント上昇し18か月連続のプラスとなりました。遅行指数は景気の結果を示すものであり、雇用や所得などに関する指標を含むため、現状の経済活動の底堅さを反映しているといえます。特に雇用に関しては、有効求人倍率が7月時点で1.22倍と前月と同じ水準を保っており、求人需要が安定していることが分かります。ただし、この数値は今年4月の1.26倍から徐々に低下してきており、労働市場の逼迫感はやや和らいでいると考えられます。
一致指数の個別項目を見ていくと、耐久消費財出荷指数が104.5から97.5に大きく低下し0.60ポイントのマイナス寄与を示しました。また投資財出荷指数も106.9から99.8に落ち込み0.82ポイントのマイナス寄与となり、企業の設備投資に関わる需要の鈍化が影響していることがうかがえます。小売業販売額は前年同月比0.3%増とほぼ横ばいで、消費の勢いに力強さは見られません。卸売業販売額は前年同月比0.6%減で、商流全体にやや停滞感が広がっていることが分かります。輸出数量指数も106.2から102.1に下がり0.48ポイントのマイナス寄与を示しました。これらの動きは国際的な需要減や為替動向の影響を受けている可能性があります。
企業経営にとって注目すべきは営業利益の動きです。全産業の営業利益は6月に220,517億円でしたが、7月は確定値が未反映であるものの0.16ポイントのプラス寄与が記録されています。利益水準は高い水準にあるものの、出荷や輸出の減速が利益圧迫につながるリスクは残されています。採用担当者にとっては、この利益動向が賃金水準や採用枠の拡大に直結するため、今後の動向を細かく追う必要があります。
また、基調判断が「下げ止まり」と据え置かれた点は、政府や経済研究所が過度な楽観を避けている証左といえます。短期的に先行指数や遅行指数でプラスの兆しが見られても、一致指数の下降が続けば実体経済に反映されるのはむしろ停滞感である可能性が高いのです。採用市場においても同様に、求人倍率が安定しているとはいえ、応募者数の増加や労働供給の変化によって採用難の状況が緩和される可能性もあります。特に地方における中小企業は、大企業との賃金格差を埋めることが求められ、人材確保戦略を改めて見直す局面に立たされるでしょう。
このように、景気動向指数の速報値は単なる数値の羅列ではなく、企業経営や採用戦略を左右する実務的な指標となります。例えば一致指数が113.3に低下したことは、企業活動の中心部分に減速感があることを示し、今後の設備投資や雇用計画に慎重さを促す要因となります。一方で先行指数105.9の上昇は、中長期的に改善に向かう兆しでもあり、新たな投資や採用拡大の判断を支える材料にもなります。こうした相反する動きをどう読み解き、企業戦略に反映させるかが経営層や採用担当者にとって大きな課題となるのです。
この記事の要点
- 令和7年7月の景気動向指数速報で先行指数105.9一致指数113.3遅行指数114.2を記録
- 一致指数は2.6ポイントの下降で「下げ止まり」の基調判断が据え置き
- 耐久消費財出荷指数や投資財出荷指数の落ち込みが一致指数低下の主因
- 有効求人倍率は1.22倍で安定するも4月の1.26倍から低下傾向
- 営業利益は220,000億円超と高水準だが出荷減速のリスクが残存
- 採用担当者は景気停滞下で人材確保戦略の見直しが必要
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ