2025年9月26日
労務・人事ニュース
2025年9月、東海の求人件数は横ばいながら応募数減少でフルタイム人材確保に課題
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景気ウォッチャー調査(令和7年8月調査)― 東海(現状)―(内閣府)
この記事の概要
2025年9月に発表された景気ウォッチャー調査によると、東海地域では猛暑による冷房関連商品の好調や観光需要の増加といった明るい動きが一部業種で見られた一方、物価高や人手不足、消費者の節約志向が依然として強く、全体としては回復の勢いに陰りがあるとの結果が明らかになりました。
2025年9月時点において、東海地域の景気は部分的に回復の兆しを見せているものの、全面的な活性化には至っておらず、業種間の格差が拡大している傾向が見受けられます。とりわけ注目されるのは、小売業や宿泊業、家電業界などにおける冷房需要や観光による売上増加の動きです。都市型ホテルでは、お盆や夏季休暇の旅行需要を背景に、売上が前年比で120%前後にまで伸長したとの報告がありました。特に家族連れやインバウンド客の利用が目立ち、コロナ禍以降の宿泊回復が本格化している様子が伺えます。
家電量販店においては、エアコンや冷蔵庫、扇風機といった季節商品の販売が前年比で110%を超える水準となり、猛暑の影響が売上に直結していることが明らかになりました。また、パソコン本体の販売についても、OSのサポート終了を見越した買い替え需要が後押しし、前年同月比で138%という高水準の売上を記録しています。一方で、来店客数そのものは前年と比較して伸び悩んでおり、高額商品を避ける動きや、選別的な消費が顕著となっています。
飲食業では、ファミリーレストランやカフェにおいて来客数が増加傾向にあり、特に夏季限定メニューや冷たい飲料の売上が好調です。店舗によっては売上が前年比で108%を記録した例もありましたが、一方で居酒屋業態では客数はやや増加しているものの、単価が伸びずに収益性が改善しないという課題を抱えています。ランチ需要は高まっているものの、ディナー帯の客数回復は限定的で、依然として予約キャンセルや外出控えが影響していることが伺えます。
小売業全般では、百貨店における衣料品や高級品の売上が回復傾向にある一方、食品スーパーでは物価高騰により消費者が買い控えを行っている傾向が続いています。特にまとめ買いによる単価の変動や、買上点数の減少が顕著で、来客数の確保に苦戦しているという声も少なくありません。商店街に立地する店舗では、大型商業施設との競争や顧客の外出控えによる影響を受け、売上が横ばいか微減という結果が見られています。
観光関連産業では、旅行代理店からの報告により、国内旅行の回復が進んでいるものの、高価格帯のツアーは依然として需要が低く、「安・近・短」への志向が強まっているとのことです。特に家族旅行や週末の短期旅行に対するニーズは堅調であり、予約件数は前年比で112%前後と上昇している一方、宿泊単価の上昇や交通費の高騰によって最終的な支出額が抑制されている現状があります。
自動車業界においては、販売件数自体はやや回復の傾向を見せていますが、特に中古車市場では価格の高止まりが続いており、買い控え傾向が強く表れています。新車販売も半導体不足の影響が残るなかで、生産台数の調整が続いており、供給面での不安定さが需要回復の足を引っ張っています。自動車整備や車検サービスに関しては、前年同月比で115%の売上増という報告があり、販売部門の低迷を補う形で企業全体の収益構造を支えているという実態が浮かび上がっています。
製造業では、特に電機・機械系の企業で一部好調な業績が報告されています。部品供給の改善や受注回復が見られる企業もありますが、原材料費やエネルギーコストの上昇により、利益面では依然として厳しい状況が続いています。また、建設業界では、住宅着工件数の減少が報告されており、金利上昇と建築資材の高騰によって新築住宅の需要が減少傾向にあります。これにより、モデルルーム来場者数や成約件数は前年を下回っているとのことです。
雇用関連では、求人件数は全体として横ばいか微増とされているものの、応募数が伸び悩んでおり、特にフルタイム勤務を希望する人材の確保が困難になっているという報告が複数寄せられています。派遣業界でも、製造業向けの依頼はやや減少している一方、介護や物流分野では引き続き高い需要が見られます。しかし、最低賃金の引き上げにより、企業側が給与条件を見直す動きが進み、採用コストが増大していることが経営の圧迫要因となっているとの指摘もあります。
教育分野では、夏期講習需要の高まりにより学習塾の利用者数が増加した一方、保護者の家計に対する懸念から入塾を見送るケースも一定数あり、全体としての成績は前年並みか若干の増加にとどまっています。特に中間所得層においては、物価高に加え教育費の負担が家計を直撃しており、塾経営者からは「キャンペーンなどを打ち出しても思うように成果が出ない」との声が聞かれました。
このように、2025年9月の東海地域における経済情勢は、猛暑や観光シーズンによる一時的な需要の盛り上がりが見られたものの、全体としては物価高と人手不足、消費者の節約志向が企業活動全般に影響を及ぼしており、本格的な景気回復にはなお時間を要する状況が続いています。企業の採用担当者にとっては、こうした厳しい環境下でいかに優秀な人材を確保し、業績を支える戦力として育てていくかが、経営の成否を左右する鍵となるでしょう。
この記事の要点
- 都市型ホテルの売上が前年比120%に伸長し観光需要が回復
- 家電量販店でパソコン販売が前年比138%、エアコンは110%の高水準
- 飲食業では夏季限定メニューで前年比108%の売上増も居酒屋は単価低迷
- 百貨店では高級品売上が回復傾向にあるが食品スーパーは節約志向が強まる
- 旅行予約件数が前年比112%に上昇も高価格ツアーは不振
- 自動車整備サービスの売上が前年比115%で販売部門の不振を補う
- 住宅着工件数が前年を下回り、金利と資材高が影響
- 求人件数は横ばいでも応募数が減少しフルタイム人材の確保が困難
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