2025年9月26日
労務・人事ニュース
令和7年8月の沖縄雇用状況、求人広告は増加も人手不足感が解消せず
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最終更新: 2025年10月23日 10:05
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最終更新: 2025年10月23日 21:00
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景気ウォッチャー調査(令和7年8月調査)― 沖縄(現状)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年8月に実施された景気ウォッチャー調査によれば、沖縄県では観光業を中心に景気回復の兆しが見られるものの、物価高や人手不足といった課題が依然として続いている。求人数は増加傾向にある一方で、求人に対する応募者が少なく、企業は採用活動に苦戦している。
令和7年8月に実施された沖縄県の景気ウォッチャー調査によって明らかになった経済の現状は、観光業を中心に明るい兆しが見えつつも、物価上昇や人材不足といった課題が色濃く残る複雑な構造となっている。沖縄は観光産業を主軸とした経済構造を持つ地域であり、国内外からの観光客動向が地域経済に直結している。そのため、観光業界におけるわずかな変化が県全体の景況感に大きな影響を与える特性がある。
調査結果では、百貨店や観光名所などではインバウンドの来客数が増加傾向にあり、特に平日の来場者が前年比で伸びていることが報告された。また、大型レジャー施設の開業により、飲食業やファーストフード店などでは売上がけん引されている。夏休みやお盆シーズンの影響も重なり、一般レストランでは来客数がやや増加したとの声もある。観光型ホテルでは販売単価が前年同期を上回る状況が続いており、これらのデータからも、観光関連産業を中心とした経済活動が回復基調にあることが読み取れる。
しかし、その一方で不安定な側面も少なくない。例えば、ある観光型ホテルでは、8月の販売室数が前年比で3%減少しており、5月の好調な数字(前年比24%増)と比較すると明確な落ち込みが確認されている。これは猛暑や台風などの自然環境による旅行控え、さらには旅行代理店の報告にも見られたように、顧客が旅行代理店を通さず自ら手配を行う傾向が強まり、販売機会が減少していることも背景にあるとみられる。
小売業や飲食業の現場からは、物価高による影響が顕著であるという声が多く寄せられている。特にスーパーでは、天候不良による夏野菜の価格高騰が続き、消費者の購買行動は特売日などに集中する傾向が強まっている。その結果、売上動向は例年並みを維持しているものの、消費者の購買余力には不安が残る。コンビニエンスストアにおいても、猛暑の影響で飲料やアイスの売上が一時的に増加した反面、来客数自体は減少しており、売上は値上げによって支えられている状況である。衣料品店では、夏休みの来店数は増えたものの、物価高の影響で販売量が伸びていないことが報告されており、消費者の節約志向が根強いことを物語っている。
企業活動の面でも分野によって動向に違いが見られた。建設業や輸送業では、前年同月と比べて増収増益を報告している企業がある一方で、窯業や通信会社では販売量が伸び悩んでいる。住宅販売会社では、大型レジャー施設の開業による人流増加にもかかわらず、新築物件の販売には目立った変化がないとの報告もあり、住宅関連市場の回復には時間がかかる可能性がある。食料品製造業では、観光需要の影響により売上が堅調に推移しているが、旧盆が9月にずれ込んだことや物価高の影響によって消費者の動きが鈍く、全体の需要が下振れしているとの懸念がある。
雇用に関しては、企業の採用活動と求職者の間に大きな乖離が生じている。職業安定所の報告では、求人数が前年同月比で増加していることが確認されたが、実際の求人に対する応募者数は少なく、人手不足感が解消されていない。これは人材派遣会社からの報告でも裏付けられており、求人はあるものの応募が集まらず、企業側が採用に苦戦しているという状況が続いている。
教育機関からは、2026年卒向けの求人数が前年同時期より減少している一方で、2027年卒向けのインターンシップの案内が増加しているという声もあった。これは企業側が早期からの人材育成を意識し始めていることを示しているが、裏を返せば即戦力の確保が難しくなっている可能性もある。また、大学の就職支援担当者によれば、企業が物価高や人件費の高騰によってコスト面での制約を抱えており、雇用活動そのものに慎重にならざるを得ない現実があると指摘されている。
さらに、求人情報誌を発行する企業からの報告では、8月が観光シーズンのピークを越える時期であることも影響し、ホテルやレジャー業界での求人件数が減少傾向にあるとの声もあった。これは季節的な要因で一時的なものである可能性があるが、全体としては求人市場の動きがやや鈍化している印象を受ける。
県内の会計事務所の見解によれば、観光業は依然として活況を呈しているが、その利益が従業員の給与などにどれだけ還元されているかは明確ではなく、地域内での経済循環に課題が残されている。つまり、表面的には好調に見える業種があったとしても、その恩恵が広く行き渡っていない可能性があるという指摘である。
以上のように、令和7年8月の沖縄県における景気の実態は、観光業の復調を中心とした明るい動きがありながらも、物価高、人材不足、企業の採用活動の停滞といった問題が複合的に絡み合う形で展開されている。特に雇用面では、求人はあるにもかかわらず人材が確保できないというミスマッチが深刻化しており、今後の景気回復の足かせになりかねない。このような状況を打開するためには、企業と求職者の間の情報共有や条件の見直し、さらには制度面での支援が不可欠となるだろう。
この記事の要点
- 観光業はインバウンド増加により回復傾向が続いている
- 猛暑や物価高の影響で小売・飲食の消費行動は抑制されている
- 住宅や通信分野では目立った回復が見られず横ばいの傾向
- 求人は増加傾向にあるが、応募者数が少なく採用活動は難航している
- 大学や専門学校では次年度以降のインターンシップ案内が増加している
- 企業は人件費と物価高の影響で採用活動に慎重な姿勢を強めている
- 求人と求職のミスマッチが依然として解消されていない
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ