2025年9月28日
労務・人事ニュース
令和6年末に過去最多を更新、官民人事交流制度を利用する企業は約900社に拡大
- 「土日祝休み」/正看護師/特別養護老人ホーム/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年9月27日 22:36
- 「時短勤務可」/准看護師・正看護師/デイサービス/保育園/幼稚園/介護施設
最終更新: 2025年9月27日 22:36
- 訪問看護ステーションでの訪問看護業務/駅近/即日勤務可/土日祝休み
最終更新: 2025年9月28日 00:34
- 「駅チカ」/正看護師/内科/放射線科/循環器内科/クリニック
最終更新: 2025年9月27日 22:36
ゼロから始める 官民人事交流リーフレット(内閣府)
この記事の概要
内閣府は、民間企業向けに官民人事交流制度をわかりやすく解説したリーフレット「ゼロから始める官民人事交流」を公開しました。官民人事交流制度は、国と企業間での人材交流を通じて相互理解を深め、人材育成や組織の活性化を目的としています。2024年度には423名が利用し、今後さらに関心が高まると見込まれています。
官民人事交流制度は「国と民間企業との間の人事交流に関する法律」に基づき、府省庁や行政執行法人と民間企業、団体などの間で人材を行き来させる仕組みです。目的は、国と企業の双方が異なる文化や業務スタイルを理解し、人材育成や組織の活性化を図ることにあります。これまでに約900社が制度を利用しており、交流採用と交流派遣という2つの形で実施されています。交流採用は民間企業の社員が府省庁の職員として一定期間勤務する仕組みで、身分は府省庁の職員となり、任期は原則3年以内(最長5年)です。給料は府省庁が負担し、企業側からの給与支給はありません。一方、交流派遣は府省庁の職員が企業の社員として勤務するもので、給与は受け入れ企業が支給し、こちらも任期は原則3年以内とされています。
この制度の効果について人事院が実施したアンケートによると、交流採用を経験した人の約8割、交流派遣を経験した人の約9割が満足と回答しています。民間企業側の担当者からは「国の制度や業務ノウハウを知る機会になった」「人脈形成ができた」といった声が挙がり、経験者本人からは「視野が広がった」「企画力や交渉力が高まった」という実感が報告されています。また、企業に戻った社員については「組織に好影響を与えている」「自信を持って仕事に取り組むようになった」と評価されるケースも多く、実際の効果が確認されています。
制度を利用した企業の声として、JTBや伊予鉄グループ、全日本空輸などの人事担当者は「多彩な人材との出会いがキャリア形成に役立つ」「政策や外交に関わる経験が社内に新しい視点をもたらす」と語っています。また、Canonの社員は「国の仕事を通じて得た経験が会社組織に良い影響を与えている」と実感しており、経済産業省特許庁から企業に派遣された職員は「知財分野の専門知識を即戦力として活かせた」と述べています。このように、双方にとってメリットのある制度であることがわかります。
制度の利用実績をみると、交流採用は令和6年末時点で過去最多を更新しており、制度への関心は年々高まっています。派遣と採用の両方を実施することも、いずれか一方だけを利用することも可能で、企業のニーズに応じて柔軟に制度を活用できます。また、地方支分部局との交流も可能であるため、中央省庁だけでなく地域に根ざした人材育成や組織強化にも活用できる点が大きな特徴です。
利用の流れとしては、人事院が民間企業からの応募を受け付け、その情報を府省庁に提示し、協議のうえで人事交流計画が作成されます。計画が認定されると交流が開始され、期間終了後は交流元に戻ることが基本です。なお、民間企業は「雇用継続型」と「退職型」を選択でき、社員が退職せずに出向する形態を選ぶ企業も増えています。応募は年間を通じて受け付けており、いつでも制度の利用を検討できます。
さらに、官民人事交流を検討する企業向けに、毎年10月頃に説明会が開催されています。説明会では制度の概要に加えて、実際の体験者による発表や府省庁人事担当者との意見交換も行われ、導入前に制度を理解する機会として活用されています。この説明会の内容は録画され、後にオンラインでも視聴可能です。こうした取り組みにより、制度への敷居を下げ、より多くの企業が利用しやすい環境が整えられています。
官民人事交流は、人材の成長に加えて、企業の採用や人材確保の観点からも注目されています。交流を経験した社員は異なる文化や組織での経験を活かして広い視野を持ち、リーダーシップや柔軟な対応力を発揮する傾向が見られます。そのため、採用担当者にとっては、社内教育や人材開発の補完策として大きな意味を持つ制度です。企業が優秀な人材を育成し、組織力を強化するための一つの選択肢として、官民人事交流の活用は今後さらに広がる可能性があります。
この記事の要点
- 官民人事交流制度は国と企業間の人材交流を通じて相互理解と人材育成を図る仕組み
- 交流採用経験者の約8割、交流派遣経験者の約9割が満足と回答
- 制度利用企業は約900社、令和6年末には交流採用者数が過去最多を更新
- 任期は原則3年以内(最長5年)で、給与は受入れ側が負担
- 毎年10月に説明会を開催し、体験談や意見交換が可能
- 人材育成だけでなく採用力強化にも効果が期待される制度
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ