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2025年9月30日

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令和6年度 地上波テレビ96社の売上高が1兆8,898億円に到達、前年比2.0%増

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令和6年度民間放送事業者の収支状況(総務省)


この記事の概要

総務省は令和6年度の民間放送事業者の収支状況を発表しました。地上基幹放送、衛星放送、有線テレビジョン放送の各分野で収益や損益に違いが見られ、全体としては黒字事業者の割合が増加傾向にあります。全体の売上や広告費の動向とも関連し、放送業界の構造的な変化や経営努力が表れた結果となっています。


令和6年度の民間放送事業に関する総務省の発表によれば、日本の放送業界は引き続き変化の波の中にあります。地上波テレビやラジオ、衛星放送、ケーブルテレビといった各媒体は、それぞれ異なる経営状況を反映していますが、共通して見られるのは収益性の改善に向けた努力が一定の成果を上げているという点です。

まず、地上基幹放送事業者について見ていくと、テレビジョン放送事業を単独で展開する96社の売上高は1兆8,898億円と前年度比で2.0%増加しました。営業損益も839億円となり、前年比11.1%の増加を記録しています。テレビと中波ラジオを兼業している31社では、営業損益が53.5%増と大幅に改善されており、地上波テレビを中心とした事業構造が安定基調にあることがうかがえます。

一方で、ラジオ単営社、特に中波やFMなどを運営する67社の営業損益は減少しており、業界内でもメディアの特性によって業績が分かれている様子が読み取れます。特に中波ラジオ単営社16社のうち、黒字を計上できたのは限られ、営業損益は前年と比較して明確な改善が見られませんでした。ただし、短波放送を単独で行っている1社については、営業損益が前年より41.9%増となっており、ニッチな市場で独自の収益構造を築いている可能性も考えられます。

全体として、地上基幹放送事業者(コミュニティ放送を除く)194社のうち、黒字を計上した事業者は147社と、前年度の142社を上回りました。これは、広告市場の回復と相まって、業界全体の経営環境がやや好転していることを示唆しています。

一方、コミュニティ放送事業者313社については、全体的に厳しい状況が続いており、売上高は1.9%減、営業損益も前年に比べて減少しました。黒字を計上した事業者は179社であり、134社が赤字という結果でした。地域密着型のメディアであるコミュニティ放送は、大手放送局に比べて広告収入の安定性に欠け、財務面での脆弱さが浮き彫りとなっています。

衛星系放送事業者の動向にも注目が集まります。令和6年度は、衛星基幹放送および衛星一般放送を合わせた事業者数が41社となり、そのうち33社が黒字、9社が赤字という結果でした。衛星放送全体の営業収益は前年比3.5%減となったものの、営業損益は11.8%増と、コスト管理や収益構造の見直しによって利益を確保している点が評価されます。特にBS放送を運営する事業者では営業費用が前年度より減少したことが影響しており、効率的な運営が進んでいると推測されます。

衛星放送全体では、総収益が4,740億円、営業費用が4,349億円、営業損益が391億円となっており、全体として黒字基調を維持しています。特筆すべきは、収益性の向上により、営業利益率が前年比で2.6%増加していることです。これにより、今後の投資余力や新サービス展開への布石が整いつつあるとも言えます。

最後に、有線テレビジョン放送事業者、いわゆるケーブルテレビ事業者についても触れておきます。対象となった272社のうち、229社が単年度黒字を記録しており、黒字率は84.2%に達しています。営業収益は4,740億円で、前年比1.2%減とやや減少しましたが、営業損益は391億円で前年比2.6%増という結果となりました。つまり、売上が微減している中でも、効率的な運営によって利益を伸ばしている姿勢が見て取れます。経常損益や当期損益の面でも安定しており、ケーブルテレビ業界は放送以外の付加価値サービスや地域密着型ビジネスを展開することで経営基盤を強化していると考えられます。

このように、令和6年度における放送業界全体の収支は一部の例外を除いて改善傾向にあり、収益性の向上が全体としての特徴となりました。また、日本全体の広告費が前年比4.9%増、名目GDPも3.7%増と経済環境が回復基調にある中で、放送業界もその恩恵を受けたことは否めません。特に在京キー局が売上全体の49.2%を占めている点から見ても、大手局の業績回復が業界全体を牽引している構図が浮かび上がります。

しかしながら、地域メディアや中小事業者は依然として厳しい経営環境にあるため、将来的にはデジタル化への対応や新たな収益モデルの確立が不可欠となるでしょう。視聴者のニーズが多様化する中、各放送事業者がどのような戦略を展開していくのかが今後の注目点となります。

この記事の要点

  • 地上基幹放送事業者の売上高は前年比1.9%増加
  • テレビ単営社の営業損益は11.1%増加で安定基調
  • コミュニティ放送は売上・損益ともに減少傾向
  • 衛星系放送は営業収益減少も営業損益は11.8%増加
  • ケーブルテレビ業者の黒字率は84.2%で収益構造が健全
  • 日本の広告市場全体は前年比4.9%増で放送業界を後押し
  • 在京キー局が業界売上の約半分を占めている

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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