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2025年9月30日

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農業景況DIが6.6でプラス維持、稲作は都府県で33.5と好調(令和7年7月調査)

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農業景況DIはプラス値を維持 ~販売単価は一部の業種を除き上昇、生産コスト高は継続~ <農業景況調査(令和7年7月調査)>(日本公庫)


この記事の概要

日本政策金融公庫は、令和7年7月に実施した農業景況調査の結果を公表しました。調査では、景況感や収益性、販売単価、生産コスト、設備投資の意向などが明らかにされ、全体として農業景況はプラスを維持する一方で、生産コストの上昇と資金繰りの厳しさが続く状況が浮き彫りとなりました。


2025年9月11日、日本政策金融公庫は令和7年7月に実施した農業景況調査の結果を発表しました。この調査は、農林水産事業部がスーパーL資金や農業改良資金などの融資先を対象に行ったもので、全国20,194件の事業者に調査を送り、5,201件から有効回答を得ました。これは回収率25.8%に相当し、多様な農業経営の実態を把握するうえで貴重なデータとなっています。

調査結果によれば、令和7年上半期の農業景況DIは6.6と、前年の10.5からは3.9ポイント低下したものの、依然としてプラス値を維持しており、農業経営者の景況感がある程度の安定を保っていることがわかります。業種別に見ると、特に稲作では北海道が34.4、都府県では33.5という高水準を示しており、茶業に至っては44.6という数値を記録しています。これは、特定の業種で販売単価が改善されたことが背景にあると考えられます。

販売単価DIについては、令和7年上半期で33.6となり、前年の47.2から13.6ポイント下がったものの、依然としてプラスを保っています。都府県における稲作の販売単価DIは73.6、採卵鶏では68.5、茶業で65.3、酪農(北海道)では64.4と、各業種において価格上昇の傾向が見られました。特に採卵鶏や茶などの分野では、前年度からの大幅な改善が目立ち、市場価格の持ち直しが進んでいる様子が伺えます。

一方で、生産コストDIは依然として厳しい結果となりました。全業種平均で▲74.0と、前年の▲79.4からわずかに改善したものの、大幅なマイナス圏にとどまっています。つまり、農業現場では依然として肥料や飼料、燃料費などのコスト負担が重くのしかかっている状況です。特に施設野菜や畑作、畜産分野ではこの傾向が顕著であり、経営の健全性を維持するためには引き続きコスト対策が必要とされます。

資金繰りDIについては▲1.5と、前年からわずかに悪化した状況で、見通しとしてもさらに▲7.3へと悪化する可能性が指摘されています。これは、収益の確保が難しい中で資金需要が増していることを反映したものであり、今後の農業経営における資金繰りの支援策が求められる根拠ともなります。

設備投資の意向については前向きな傾向が見られました。「設備投資予定あり」と回答した割合は60.2%に達し、前年から7.0ポイント上昇しています。特に稲作(都府県)での設備投資意欲が高く、76.5%が投資を予定していると回答しました。畜産では養豚業で61.8%と最も高く、一方で肉用牛は38.3%と低めの水準にとどまっています。なお、設備投資予定があると回答したうちの約52.9%が「昨年よりも投資額が増加する」としており、生産性向上や経営強化に向けた意欲が農業現場で根強いことがうかがえます。

雇用状況に関しては、DIが▲36.6と依然としてマイナスが続いていますが、前年度からの改善幅は限定的です。これは、人手不足が構造的に継続していることを示しており、特に高齢化が進む農村地域では、労働力の確保が引き続き喫緊の課題であることが浮き彫りとなっています。

今回の調査結果から見えてくるのは、農業界全体が景気回復の兆しを見せつつも、依然としてコスト増や資金繰り、人材確保などの課題に直面しているという現実です。しかしながら、一部の業種では販売価格が回復基調にあり、それを追い風に設備投資を加速させようとする動きが強まっているのも事実です。公的支援を受けつつ、こうした前向きな投資行動が農業の持続可能性と競争力の向上につながることが期待されます。

農業経営は、外的環境の影響を大きく受ける産業であるため、常に変化する市場や政策に柔軟に対応する力が求められます。今回の調査結果は、そのための重要な判断材料となるものであり、関係者にとっては今後の戦略を立てる上で有益な情報と言えるでしょう。

この記事の要点

  • 農業景況DIは6.6で前年から低下もプラス値を維持
  • 販売単価DIは33.6、稲作や採卵鶏、茶で高い値を記録
  • 生産コストDIは▲74.0で依然としてコスト増の傾向が続く
  • 資金繰りDIは▲1.5、今後の見通しも悪化の傾向
  • 設備投資予定ありは60.2%、稲作(都府県)では76.5%に達する
  • 雇用状況DIは▲36.6で慢性的な人手不足が明らか
  • 全体としてはコストと人材に課題を抱えつつも回復傾向が見られる

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ

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