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2025年10月3日

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65歳以上人口3619万人と総人口比29.4% 高齢化が示す企業採用への大きな影響

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統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者(総務省)


この記事の概要

総務省統計局は令和7年9月14日に「統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者」を公表し、日本の高齢者人口と就業の現状をまとめました。2025年9月15日現在、65歳以上の人口は3619万人と前年より5万人減少した一方、総人口に占める割合は29.4%と過去最高となりました。高齢者の就業も拡大が続き、21年連続で増加して930万人に達し、就業者総数に占める割合は13.7%と過去最高を記録しました。役員を除く雇用者の非正規割合は76.9%、医療や福祉分野では10年前の約2.3倍の就業者数となるなど、働く高齢者の活躍が際立っています。


日本の高齢者人口は、少子高齢化が進む中で重要な節目を迎えています。令和7年9月15日時点で65歳以上の人口は3619万人に達し、前年から5万人の減少となりました。これは少子化や自然減による人口構造の変化を映し出しており、総人口に占める割合は29.4%と過去最高を更新しています。世界的に見ても日本の65歳以上の人口割合は38か国中で最高となり、国際的にも高齢化が際立つ国であることが浮き彫りとなっています。これは医療技術の進歩や健康寿命の延伸といった背景による長寿化が一因と考えられ、国内の社会保障制度や労働市場に大きな影響を与えています。

就業面においても高齢者の存在感は一段と高まっています。65歳以上の就業者数は21年連続で増加し930万人と過去最多となり、就業者総数に占める割合は13.7%とこちらも過去最高を更新しました。年齢階級別の就業率もすべての区分で過去最高となっており、高齢者の労働参加は今や経済を支える大きな要素になっています。国際的に見ても、日本の65歳以上の就業率は主要国の中で高水準を保ち、他国に比べて高齢者が積極的に働いていることが特徴的です。

また、雇用形態にも注目が必要です。65歳以上の役員を除く雇用者のうち、非正規の職員や従業員の割合は76.9%に達しており、柔軟な働き方を選ぶ高齢者が多数を占めています。これは短時間勤務やパートタイム、定年後再雇用など多様な働き方の拡大を示しており、企業の人材活用や労働環境の整備に影響を与えています。特に医療や福祉分野における65歳以上の就業者は10年前と比べて約2.3倍に増加し、高齢化に伴う需要の高まりとともに、人材不足を補う重要な役割を果たしています。このような動向は、企業が人材確保にあたって高齢者の経験や専門知識を活用する機会がさらに拡大していることを意味します。

こうした背景を踏まえると、企業の採用担当者にとって高齢者の雇用は今後ますます重要なテーマとなります。人口減少が続く中で労働力を安定的に確保するには、高齢者が安心して働ける環境を整えることが不可欠です。健康管理や柔軟な勤務体系、キャリアを生かした再雇用制度の充実は、組織の持続的成長に直結します。さらに高齢者の豊富な経験は、若手社員への指導や組織力強化にも貢献するため、多世代共存の職場づくりが求められます。

今後は、定年後も働き続ける高齢者が増加することを前提に、企業は人事制度や研修、労働環境を再構築する必要があります。特に医療・福祉をはじめとした労働需要の高い分野では、高齢者の経験と意欲を引き出す取り組みが欠かせません。政府の統計が示す現状は、企業がこれまで以上にシニア人材の採用や再雇用、そして働きやすい職場の実現に向けた新しい方針を検討する契機となるでしょう。

この記事の要点

  • 65歳以上人口は3619万人で前年より5万人減少し総人口の29.4%を占め過去最高
  • 65歳以上の就業者数は21年連続で増加し930万人に達し就業者総数の13.7%を占める
  • 65歳以上の年齢階級別就業率はすべて過去最高で主要国中でも高水準
  • 役員を除く65歳以上雇用者の非正規割合は76.9%で多様な働き方が広がる
  • 医療や福祉分野の65歳以上就業者は10年前の約2.3倍に増加

65歳以上人口3619万人と総人口比29.4% 日本が直面する超高齢社会の雇用課題

令和7年9月15日現在の推計によると、日本の総人口は1億2320万人であり、65歳以上人口は3619万人となりました。前年の3624万人からは5万人減少したものの、総人口に占める割合は29.4%となり前年の29.3%から0.1ポイント上昇して過去最高を更新しました。男女別に見ると、男性は1568万人で男性人口の26.2%を占め、女性は2051万人で女性人口の32.4%に達しており、女性が男性より483万人多くなっています。人口性比で見ると、15歳未満の世代では女性100人に対して男性が105.0人、15~64歳では103.3人と男性が多い一方、65歳以上では76.5と女性が男性を大きく上回り、長寿社会において女性高齢者の存在感が際立っていることがわかります。

年齢階級別に分析すると、70歳以上人口は2901万人で総人口の23.5%、前年より4万人増加し0.1ポイント上昇しました。75歳以上人口は2124万人で17.2%を占め、前年に比べ49万人増の0.4ポイント上昇、80歳以上人口は1289万人で10.5%を占め、前年より1万人増の0.1ポイント上昇という結果が示されました。これらの数値から、日本の高齢化が着実に進行している現状が鮮明に読み取れます。

1950年の時点で総人口に占める65歳以上人口の割合はわずか4.9%でしたが、1985年には10%、2005年には20%を突破し、現在は29.4%に達しています。さらに国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後もこの割合は上昇を続け、2040年には34.8%、2050年には37.1%に達すると見込まれています。人口構造の変化が長期的に進む中で、医療や介護、年金制度など社会保障全体への影響は一層深刻さを増すことが懸念されます。

国際比較でも日本の高齢化の進行は際立っています。人口4,000万人以上の38か国を対象にした国際連合の統計によれば、2025年時点で65歳以上人口の割合は日本が29.4%と最も高く、次いでイタリア25.1%、ドイツ23.7%、フランス22.5%、スペイン21.6%、韓国20.3%と続きます。主要国の65~74歳や75歳以上の各年齢階級においても日本が最も高い割合を示しており、世界的に見ても高齢化先進国として際立った特徴を持っています。

こうした人口構造の変化は、企業の採用や人材戦略に直接的な影響を与えます。労働力人口が減少する中で、豊富な経験と専門知識を持つ高齢人材をどのように活用するかが、企業にとって持続的成長を左右する重要な課題となります。特に女性の高齢者が多い現状は、ライフスタイルや健康状態に応じた柔軟な雇用形態の整備が求められることを示唆しています。

さらに将来推計によると、ベビーブーム期に生まれた世代が高齢期を迎える2040年以降は高齢者人口の比率がさらに高まり、労働力不足が一段と深刻化する可能性があります。企業が持続可能な雇用体制を築くためには、高齢者が働きやすい職場環境の整備、年齢に応じた職務設計、健康維持のためのサポート体制など、長期的な視点からの取り組みが不可欠となります。

このように、日本の高齢化は人口減少と相まって企業経営のあらゆる側面に影響を与えており、採用や人材育成の方針を根本から見直す必要があります。統計が示す数字は単なる人口動態の変化にとどまらず、今後の社会や経済活動の在り方を左右する重大な指標として、企業に深い洞察と行動を促しています。

65歳以上就業者930万人が示す高齢化時代の人材活用の現状と企業の対応策

令和7年9月14日に発表された統計によれば、2024年の65歳以上の就業者数は930万人に達し、2004年以降21年連続で増加を続けています。これは比較可能な統計がある1968年以降で過去最多となり、日本における高齢者の労働参加がいかに活発であるかを示しています。15歳以上の就業者総数に占める割合は13.7%と前年より0.2ポイント上昇し、こちらも過去最高を更新しました。つまり、就業者全体の約7人に1人が65歳以上という構図が定着しつつあります。

年齢階級別に詳しく見ると、65~69歳では53.6%、70~74歳では35.1%、75歳以上では12.0%と、いずれも過去最高の就業率を記録しました。これは高齢者の健康状態の改善やライフスタイルの変化、さらには経済的理由や社会参加への意欲の高まりなど、複合的な要因によるものと考えられます。主要国の比較においても、日本の65歳以上の就業率は25.7%と高水準で、韓国に次ぐ位置を占め、欧米諸国を大きく上回っています。

従業上の地位別では、65歳以上の就業者930万人のうち役員を除く雇用者は563万人で全体の61.3%を占め、自営業主・家族従業者は248万人(27.0%)、会社などの役員は108万人(11.8%)となっています。役員を除く雇用者の雇用形態をみると、正規職員は130万人(23.1%)にとどまり、非正規職員が433万人(76.9%)と多数を占め、そのうちパート・アルバイトが298万人(52.9%)という特徴が見られます。この数字は、定年後の再雇用や短時間勤務など、柔軟な働き方を選ぶ高齢者が多いことを示しています。10年前と比較すると正規職員は44万人増加し、非正規職員は198万人増加しており、とくに70歳以上の層で非正規として就業する人が大幅に増えました。

産業別に見ると、「卸売業、小売業」が133万人で最も多く、「医療、福祉」が115万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が104万人、「農業、林業」が93万人と続いています。特筆すべきは「医療、福祉」分野で、65歳以上の就業者が10年前の約2.3倍にあたる64万人増加した点です。これは高齢化に伴い医療や介護の需要が急増する中で、高齢者自身がその担い手として活躍している実態を反映しています。ほかの産業でも増加傾向が見られますが、「農業、林業」だけは65歳以上の就業者が10年前より6万人減少しており、産業構造の変化も示しています。

こうした動向は企業の採用や雇用管理に直結します。高齢者の就業率が上がり続けている現状は、労働力不足が進む中でシニア人材の活用が企業の成長に欠かせない要素になっていることを示しています。非正規雇用が多いという特徴は、柔軟な勤務体制や働きやすい環境を整備することが人材確保に不可欠であることを意味し、特に医療や福祉など人材需要が高まる分野では、高齢者の経験を活かした雇用が一層求められます。企業はこのような統計を踏まえ、年齢に関係なく能力を活かせる職場環境づくりや、継続的に働ける健康支援や研修制度の拡充に取り組む必要があります。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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