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2025年10月4日

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賃上げで採用強化、74.8%の企業が募集時に賃金を引き上げ

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働く意識の変化や新たなテクノロジーに応じた労働の質の向上に向けた人材戦略に関する調査(企業調査・労働者調査)(JILPT)


この記事の概要

労働政策研究・研修機構(JILPT)は、令和7年1月末時点に実施した調査をもとに、企業と労働者の視点から働き方や人材戦略に関する実態を明らかにしました。企業の7割以上が人材不足を感じており、特に技能職や営業職における人材確保が課題です。加えて、新たなテクノロジー導入による影響と、それに対する不安や期待も浮き彫りになりました。


企業における人材戦略の現状を把握するため、労働政策研究・研修機構が実施した大規模調査の結果が明らかになりました。今回の調査では、全国の30人以上の企業1万社と、それら企業に所属する正社員6万人を対象にアンケートを実施し、有効回答を得た企業数は2,004社、労働者数は7,291人でした。この調査では、企業側と労働者側の視点から、雇用に関する課題や働き方の意識変化、さらにはAIなどの新技術導入に対する期待と不安が詳細に分析されています。

まず、企業における人材の過不足感については、約7割の企業が事業継続のための正社員確保に課題を感じており、新規事業においても73.0%が人材不足を訴えています。特に不足が目立つ職種は「現場の技能職」で、事業継続においては72.4%、新規事業では57.3%にのぼります。次いで営業・販売・サービス職やマネジメント層、さらにはデジタル人材が挙げられており、企業は幅広い分野での人材確保に頭を悩ませています。

人材獲得のために企業が実施している施策としては、「求人募集時の賃金引き上げ」が新卒・中途採用ともに7割以上で最も多く、次いで「労働条件の改善」「採用チャネルの多様化」などが続きます。一方で、定年延長やワーク・ライフ・バランス制度の整備については、取り組みの割合がやや低い傾向にあります。

労働者側の視点に立つと、就業継続の理由として最も多かったのは「仕事内容に興味がある」という項目で76.8%を占め、続いて「働きやすい環境」「雇用の安定」が重視されています。年齢層が若くなるほど、「柔軟な勤務形態」や「キャリア形成の自由度」への関心が高くなる傾向も明らかになっています。

また、働き方に対する意識の変化も顕著で、若年層ほど「転職によるキャリア形成志向」が高まり、同時に「タイムパフォーマンスを重視した仕事の進め方」に対する支持も増加しています。一方で、全体としては71.4%の労働者が「現在の企業で長く働くこと」を望んでおり、企業への定着を志向する層も根強く存在しています。

さらに注目されるのは、AIやロボティクスといった新技術導入に関する企業の対応と労働者の認識です。企業の55.3%がWebミーティングツール、50.8%がクラウドによる情報共有を活用しており、AI周辺技術やRPAの導入率はそれぞれ14.2%、13.3%とまだ低い水準にとどまっています。これに対して、企業の6割以上が「従業員が新技術を使いこなせるか不安」と回答し、教育訓練や資金調達にも大きな課題を感じています。

一方で、テクノロジーの導入によって「生産性の向上」(68.1%)や「煩雑な業務の削減」(68.0%)、「人手不足の解消」(60.5%)に期待を寄せており、新技術が職場にもたらす可能性については多くの企業が前向きな見解を持っています。ただし、労働者側では「影響が不明で不安」(48.3%)、「仕事内容の変化」(32.6%)、「職場での孤立」(30.4%)など懸念も多く見受けられ、企業側のサポート体制の整備が今後の鍵となるでしょう。

今回の調査結果からは、企業と労働者の間にある期待と不安のギャップ、そしてそれぞれが置かれている立場の違いが浮き彫りになりました。今後、持続可能な雇用環境を築くためには、柔軟な働き方の導入、適切な教育訓練の設計、そして新技術導入時の心理的・実務的サポートの両面を整えることが求められます。

この記事の要点

  • 企業の7割以上が正社員不足を感じている
  • 人材獲得のため求人時の賃金引き上げを実施する企業が7割超
  • 若年層ほど転職志向やタイパ重視が高い傾向にある
  • AIやRPAの導入は全体の1~2割にとどまり、教育訓練や資金調達に不安を抱く企業が多い
  • 働きやすさの理由は「残業の少なさ」や「柔軟な休暇制度」などが上位
  • 労働者の半数近くが新技術導入に対して不安を感じている

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ

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