2025年10月10日
労務・人事ニュース
建設業界に明暗、元請受注高は7兆2,430億円も下請受注は3兆3,799億円で8.2%減(令和7年9月号)
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国土交通月例経済(令和7年9月号)(国交省)
この記事の概要
国土交通省が公表した「国土交通月例経済(令和7年9月号)」では、2025年7月時点の建設業や交通、観光分野における最新の統計がまとめられています。建設工事の受注動向や新設住宅の着工状況、観光需要、交通輸送の変化など、多岐にわたるデータを網羅的に取り上げており、日本の経済活動の実態を浮き彫りにしています。
国土交通省が令和7年9月19日に発表した月例経済報告によれば、2025年7月の建設工事に関する元請受注高は7兆2,430億円で、前年同月比0.4%の増加となりました。公共機関からの受注は減少した一方、民間からの受注が増加し、全体を押し上げる結果となっています。一方で、下請受注高は3兆3,799億円で、前年同月比で8.2%の減少を記録しており、業界内での受注の偏りが見受けられます。
建設分野において特に注目すべきは機械装置工事の元請受注高で、1兆920億円と前年同月比で実に63.0%増という大幅な伸びを示しています。これに対し、土木工事や建築工事は前年同月比でそれぞれ3.2%減と7.1%減と減少傾向にあり、特定の分野に需要が集中している構図が明らかになっています。地域別では、大阪圏での受注高が1兆1,001億円で前年同月比16.5%増と著しい成長を遂げているのが際立っています。
住宅市場では、新設住宅着工戸数が61,409戸となり、前年同月比9.7%減と大幅な減少を見せています。持家は17,665戸で11.1%減、貸家は27,412戸で13.1%減と、全体的に低調な傾向が続いています。特に給与住宅は前年同月と同数の446戸と横ばいであり、分譲住宅もわずかに減少しており、住宅投資の鈍化が続いていることがうかがえます。
また、民間の非居住用建築物の着工床面積は218万平方メートルで前年同月比23.9%減と大幅に減少しました。事務所、店舗、工場、倉庫のいずれも2割以上のマイナスを記録しており、企業投資の慎重姿勢が数字に表れています。一方、リフォームやリニューアル工事の受注高は前年同期比7.6%増の4兆1,069億円となっており、住宅分野では新築から改修へのシフトが進んでいることが示唆されます。
交通分野では、バスの輸送人員が3億3,102万人で前年同月比3.1%増、タクシーは9,336万人で9.9%増と回復基調が続いています。鉄道の輸送人員もJRと民鉄の双方で増加しており、JRでは7億7,189万人で2.8%の増加、民鉄では13億1,087万人で3.2%の増加となっています。航空も好調で、国内線の輸送人員が905万人(前年同月比2.2%増)、国際線は140万人(前年同月比7.0%増)と伸びを見せています。
貨物輸送の面では、鉄道の輸送量が前年同月比4.2%増の301万トンに達しており、特にコンテナ輸送は6.3%の増加と高い伸びを記録しました。航空貨物も国際線では10.9%増の15.4万トン、輸出金額ベースでは3.2兆円(前年同月比8.0%増)と堅調です。海上輸送においては内航貨物がやや減少したものの、外航コンテナ輸送は輸出75万TEU、輸入77万TEUでそれぞれ増加しています。
観光分野では、2025年8月の訪日外客数が343万人で前年同月比16.9%増と回復傾向が続き、特に中国からの訪問客が36.5%増と大きく増加しています。出国日本人数も165万人で14.7%の増加となっており、国際的な往来が再び活発になっていることが示されています。宿泊者数に関しては、全体で5,640万人泊と前年同月比で1.4%減少しているものの、外国人宿泊者数の割合は25.2%を占めるまでに拡大しています。
このように、建設・交通・観光といった国土交通省が管轄する各分野において、日本経済は回復基調の中にありつつも、分野や地域によってばらつきが見られる状況です。特に建設分野では、新築需要が減少する一方で改修・設備投資が進んでおり、経済構造の変化を反映しています。こうしたデータを的確に読み解き、政策やビジネス戦略に活かすことが、今後ますます求められていくでしょう。
この記事の要点
- 2025年7月の建設工事元請受注高は7兆2,430億円で前年同月比0.4%増
- 新設住宅着工戸数は61,409戸で前年同月比9.7%減と大幅に減少
- 機械装置工事の受注は前年同月比63.0%増と突出した伸びを記録
- 大阪圏の建設受注高は前年同月比16.5%増で全国でも際立つ
- リフォーム工事の受注高は4兆1,069億円で前年同期比7.6%増
- 訪日外客数は343万人で前年同月比16.9%増、出国日本人数も165万人で増加
- 鉄道や航空、タクシーの輸送人員はいずれも前年より増加傾向
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ