労務・人事ニュース

門川町 移住支援金制度

宮崎県北部に位置する門川町では、東京23区などの都市圏からの移住を後押しするために「移住支援金制度」が設けられています。この制度は直近10年間のうち通算5年以上、東京23区に居住していた方、または東京圏（東京都23区外、神奈川県、千葉県、埼玉県）の条件不利地域以外の地域に住み東京23区に通勤していた方、あるいはその他対象地域で通算5年以上在住し通勤していた方などが対象です。門川町へ移住し、宮崎県が運営するマッチングサイト「ふるさと宮崎人材バンク」に掲載された支援金対象の求人に就職した場合や、県内で一次産業などに就業した場合に移住支援金を受け取ることができます。さらに、宮崎県地域課題解決型起業支援事業の交付決定を受けて起業する場合も支援対象となる可能性があります。

支給される移住支援金の金額は世帯構成によって異なります。2人以上の家族や世帯で移住する場合には100万円が支給され、18歳未満の子どもがいる場合はさらに100万円が加算され、最大で200万円を受け取ることができます。単身者の場合は30万円または60万円が支給されます。これらの支援金は移住後の生活基盤を整えるために大きな助けとなり、特に家族世帯や子育て世代にとって魅力的な支援内容となっています。

支援金を受け取るには移住元や就業、起業に関する条件を満たすことが必要です。移住元としては、転入直前の10年間のうち通算5年以上東京23区に在住していた、または東京圏の条件不利地域以外に居住し東京23区へ通勤していたことが求められます。さらに、名古屋圏（岐阜県、愛知県、三重県）、大阪圏（京都府、大阪府、兵庫県、奈良県）、福岡県の地域に5年以上在住しその地域に通勤していた場合も対象に含まれます。県外の大学などに通学し、その後県外の企業へ就職した場合には通学期間も対象期間として認められるため、進学や就職の経歴によっては対象条件を満たすケースが多くなります。

移住先である門川町には転入後1年以内に住民票を移す必要があり、支援金を申請できる期間は転入から1年以内です。申請者は5年以上門川町に居住する意思を持つことが求められ、申請から5年以内に転出すると支援金の返還義務が発生します。特に申請から3年未満で転出した場合は支給額の全額を、3年以上5年未満で転出した場合は半額を返還しなければなりません。このため移住を計画する際には、長期的な居住を前提にした慎重な計画が重要です。

就職に関しては、宮崎県が運営する「ふるさと宮崎人材バンク」に移住支援金対象と表示された求人に応募し就職することが条件となります。就業先は申請者の3親等以内の親族が代表等を務める事業所では認められず、出向や転勤、研修といった形態も対象外です。さらに申請から5年以上勤務する意思を持つことが必要であり、申請から1年以内に対象となる職を辞した場合には支援金の返還が求められます。なお、ふるさと宮崎人材バンクの対象求人以外でも、プロフェッショナル人材事業や先導的人材マッチング事業を活用した専門人材としての就職、またはテレワークでの業務継続の場合には支援の対象となる場合があります。

起業の場合は、宮崎県地域課題解決型起業支援事業の交付決定を受けていることが条件です。これ以外の形態で起業する場合は個別に相談が必要です。さらに、門川町にお試し移住施設を利用した経験がある、移住相談会で門川町のブースを訪れたことがある、門川町空き家等情報バンクに登録している、ふるさと納税を行ったことがある、過去に居住経験があるなど、町との関わりがある場合は申請時に有利に働くことがあります。地域の担い手として農林水産業に従事する場合や家業への就職も支援金の対象とされ、地域社会に貢献する意思が重視されています。

申請は移住後に行うことができ、できるだけ早めの相談が推奨されています。年度末には予算の関係で支給が難しくなる可能性があるため、転入後の早い段階で準備を始めることが重要です。申請時には住民票によって在住や転入日、世帯人数などの事実確認が行われるため、書類の正確な準備が必要となります。申請の際には、移住元が東京圏内の場合と東京圏外の場合で提出する様式が異なる点にも注意が必要です。

支援金を受け取った後に虚偽の申請や不正が判明した場合、対象となる職を1年以内に辞職した場合、または起業支援金の交付決定を取り消された場合は支援金の全額を返還する義務があります。3年以上5年未満の期間で門川町から転出した場合は半額返還となりますが、雇用先の倒産や災害、病気などやむを得ない事情が認められた場合にはこの限りではありません。

この制度は地方への人材還流を促進し、地域経済や産業の担い手を確保する狙いがあります。企業の採用担当者にとっては、最大200万円という大きな支援金が移住希望者の意思決定を後押しするため、優秀な人材を呼び込む有効な手段となります。特に東京や名古屋、大阪など大都市圏での勤務経験を持つ人材は、地方企業にとって即戦力として期待でき、移住者自身にとっても新しい環境で安定した生活を築くための大きな助けになります。

門川町は自然が豊かで落ち着いた暮らしやすい環境を持つ地域であり、子育て世代やテレワーク希望者にも適した移住先として注目されています。企業側がこの制度を理解し、求職者へ具体的な支援内容や申請条件を示すことで、地方への人材確保をより円滑に進めることが可能になります。支給条件や返還義務、申請期限などをしっかり把握したうえで活用することが、企業にとっても移住希望者にとっても大きな利益となるでしょう。

⇒ 詳しくは門川町のWEBサイトへ