2025年10月20日
労務・人事ニュース
正社員不足の影響鮮明、41.0%の企業が非正社員を活用する理由に挙げる最新調査(令和6年調査)
- アイリスト/東中間駅/福岡県/中間市
最終更新: 2025年10月19日 11:02
- 理学療法士/福岡県/福岡市城南区
最終更新: 2025年10月19日 06:34
- アイリスト/福岡県/北九州市若松区
最終更新: 2025年10月19日 11:02
- アイリスト/福岡県/久留米市/西鉄久留米駅
最終更新: 2025年10月19日 11:02
令和6年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省は、令和6年10月1日時点の就業実態を把握するため、「就業形態の多様化に関する総合実態調査」を実施し、その結果を公表しました。本調査では全国の約17,000事業所と約23,000人の労働者を対象に、正社員および非正社員の雇用形態に対する実態や意識を調査しています。特に非正社員比率の変化や、雇用理由、職場満足度などに関する詳細なデータが明らかになっています。
厚生労働省は、令和6年10月1日時点における全国の事業所と労働者を対象とした「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の結果を公表しました。調査対象は、常用労働者を5人以上雇用する約17,000の事業所と、そこに勤務する約23,000人の労働者であり、事業所調査の有効回答率は50.6%、個人調査は61.0%と高い水準となっています。本調査は、正社員と非正社員の就業実態を多角的に把握するために行われ、企業の人材戦略や雇用方針の策定に有益なデータが示されています。
まず、非正社員の比率について、令和3年と比較して「上昇した」と回答した事業所は15.7%、逆に「低下した」と答えた事業所は16.7%となっており、非正社員の雇用比率が全体として大きく変動していないことが伺えます。しかし、その内訳を見ると、非正社員の比率が上昇した事業所において最も多かった就業形態は「パートタイム労働者」で66.2%、次いで「嘱託社員(再雇用者)」が22.4%となっています。これらの結果から、柔軟な働き方や高齢者雇用の需要が引き続き高いことが読み取れます。
また、非正社員を活用する理由として最も多かったのは「正社員を確保できないため」で41.0%でした。この数値は前回調査時の38.1%から上昇しており、企業側が人材不足への対応として非正社員の採用に頼らざるを得ない実態が浮き彫りとなっています。次いで多かった理由は「即戦力・能力のある人材を確保するため」(31.6%)、「1日や週の中の業務の繁閑に対応するため」(29.1%)、「高年齢者の再雇用対策のため」(28.9%)と続いており、企業が多様なニーズに応じて雇用戦略を調整している様子が見て取れます。
一方、非正社員として働く個人側の理由では、「自分の都合のよい時間に働けるから」が最も多く、全体の40.1%を占めています。これは前回の36.1%から増加しており、労働者自身もワークライフバランスを重視した就業選択をしていることがわかります。就業形態別に見ると、「契約社員(専門職)」や「嘱託社員(再雇用者)」は「専門的な資格・技能を活かせるから」が最も多く、「パートタイム労働者」や「臨時労働者」は時間の自由度を重視、「派遣労働者」は「正社員として働ける会社がなかったから」が主な理由となっています。
さらに、職場に対する満足度に関するデータも注目されます。正社員では「雇用の安定性」に対する満足度が最も高く、66.3ポイントという結果でした。一方、非正社員では「仕事の内容・やりがい」に対する満足度が63.3ポイントと最も高く、安定性ではなく業務内容への満足が重視されている傾向が見受けられます。なお、この満足度は、「満足」または「やや満足」と回答した割合から、「不満」または「やや不満」と回答した割合を引いた指数(D.I.)として算出されています。
この調査結果は、企業にとって多様な人材活用の方針を検討するうえで極めて有益な情報であり、とりわけ人事や採用を担当する部門にとっては重要な指針となるはずです。非正社員の活用が単なるコスト削減ではなく、即戦力確保や高齢者の社会参加支援、さらには就労意欲を持つ多様な層への対応策として位置づけられていることが明らかになりました。今後、企業は労働市場の変化に柔軟に対応しつつ、正社員と非正社員のバランスを見直し、持続可能な人材戦略を構築していく必要があります。
この記事の要点
- 令和6年の就業形態調査は約17,000事業所と約23,000人を対象に実施
- 非正社員の雇用比率は大きな変化はなく、パートタイムが主流
- 非正社員を活用する最大の理由は「正社員を確保できないため」
- 労働者は「自分の都合のよい時間に働けるから」を最重視
- 非正社員は「やりがい」、正社員は「雇用の安定性」に高い満足度
- 企業は人材不足や高齢者雇用に対応するため非正社員の活用を継続
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ