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2025年10月21日

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労働力人口6,957万人で過去最高、令和7年版白書が示す雇用の今(令和7年版 労働経済の分析)

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「令和7年版 労働経済の分析」を公表します(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省は2025年9月30日、令和7年版労働経済白書を発表しました。今年の白書は「労働力供給制約の下での持続的な経済成長に向けて」をテーマに、労働市場の現状や今後の課題を幅広く分析しています。特に注目されるのは、労働生産性の向上や社会インフラ分野での人材確保、そして企業と労働者の関係性の変化への対応です。


厚生労働省は本日、令和7年版となる第76回目の労働経済白書を発表しました。今年のテーマは「労働力供給制約の下での持続的な経済成長に向けて」であり、日本経済が直面する少子高齢化や人手不足といった深刻な課題にどのように向き合っていくかについて、多角的な分析が行われています。白書では、2024年の雇用情勢が前年に引き続き改善し、労働力人口6,957万人、就業者数6,781万人、雇用者数6,123万人といずれも過去最高を記録したことが明らかにされました。また、完全失業率や有効求人倍率はおおむね横ばいで推移しています。

2024年の現金給与総額は4年連続で増加し、実質賃金は一般労働者・パート労働者の双方でマイナスを脱したことも注目点です。しかしながら、日本経済の成長率を長期的に支えるには、労働供給の拡大だけでなく、労働生産性の改善が欠かせません。とりわけ、非製造業を中心としたソフトウェア投資、AI導入、業務の省力化が重要視されていますが、現時点で日本は欧米諸国と比較してこうした無形資産投資が依然として低水準にとどまっています。

また、社会インフラを支える職業における人材確保も大きな課題として取り上げられました。現在、社会インフラ関連職に従事する就業者は全体の約35%を占めており、直近10年間でその数は58万人増にとどまっています。一方で、非社会インフラ関連職は322万人も増加しており、人材の偏在が明らかになっています。さらに、社会インフラ関連職の月額賃金は非社会インフラ関連職と比較しておよそ5万円低い水準にあることも分かっており、今後はスキルや経験に応じて賃金が段階的に上がる「キャリアラダー」の構築が求められています。

企業と労働者の関係性にも変化が見られます。終身雇用を前提とした「生え抜き社員」の割合は年々低下しており、賃金の年功的な上昇幅も鈍化傾向にあります。同時に、転職者の増加やワーク・ライフ・バランスを重視する若年層の価値観の多様化が進行しており、労働市場全体に柔軟性が求められる時代に移行しつつあることが浮き彫りとなりました。とりわけ、20代の労働者では仕事内容よりも賃金水準を重視する傾向が高まっており、企業には給与水準の見直しや柔軟な働き方の導入といった対応が必要とされています。

加えて、労働者の約7割が「働きやすい」と感じる職場では、継続就業を希望する割合が高くなっていることも報告されており、職場環境の整備が人材確保の鍵であることが示されています。企業においては、処遇改善や福利厚生の拡充だけでなく、ライフイベントや個人の価値観に対応した雇用管理の実施がこれまで以上に求められるでしょう。

さらに、グローバル比較の観点から見ると、日本の名目労働生産性は欧米主要国に後れを取っており、とくに医療・福祉、卸売・小売、宿泊・飲食業といった業種では実質労働生産性の上昇率が顕著に低い状況にあります。この背景には、業務効率化やIT導入の遅れが影響していると考えられ、政策的な後押しと企業側の投資判断が今後の成長を左右する要因となるでしょう。

本白書を通じて、国としてはAIやソフトウェアといった無形資産への投資促進、社会インフラ関連職の待遇改善、労働者の価値観に即した柔軟な働き方の制度設計を一体的に進める必要性が強調されています。少子高齢化が進む中でも、安定した経済成長を持続させるには、企業・労働者・政策当局の三者が連携して取り組むことが不可欠です。

この記事の要点

  • 2024年の雇用者数は6,123万人で過去最高を記録した
  • 現金給与総額は4年連続で増加し実質賃金もプラスに転じた
  • 社会インフラ関連職の就業者数の伸びは58万人にとどまった
  • 社会インフラ関連職の月額賃金は約5万円低く処遇改善が課題
  • 生え抜き社員の割合が年々低下し企業と労働者の関係性が変化
  • 若年層は仕事内容よりも賃金を重視する傾向が強まっている
  • 職場環境の整備が継続就業希望に大きく影響することが示された
  • 日本のソフトウェア投資は欧米と比べて依然として低水準
  • 医療・福祉業などでは労働生産性の上昇率が他国より低い

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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