2025年10月21日
労務・人事ニュース
2025年9月時点で66.8%の企業が給与を3%以上引き上げた実態とは
- 非常勤・サービス業界の看護師/残業なし/即日勤務可/週4日以下
最終更新: 2025年10月21日 09:35
- 訪問看護ステーションでの訪問看護師業務/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年10月21日 09:35
- 人間関係ストレスなし/シンプル検品作業/未経験歓迎×冷暖房完備
最終更新: 2025年10月20日 15:52
- アイリスト/東中間駅/福岡県/中間市
最終更新: 2025年10月21日 04:35
2025年9月 業況DIは、残暑による外出控えが足かせでほぼ横ばい。先行きは、気温低下と賃上げ期待で上向きを見込む(LOBO調査)
この記事の概要
2025年9月のLOBO調査によると、全産業の業況DIは▲18.6と前月からわずかに改善したが、残暑による外出控えが引き続き経済活動の足かせとなっている。一方で、賃上げの広がりや気温の低下に伴う人の往来の活性化が期待されており、先行きにはわずかながら明るさが見られる。本稿では、業種別・地域別の動向や賃金の引き上げ状況を基に、現状と今後の見通しはどうなるのか。
2025年9月の全国の業況DIは▲18.6で、前月から0.2ポイントの改善となったものの、引き続き景況感は厳しい水準にある。特に製造業では、厳しい残暑により消費者の外出が控えられ、食料品や秋物衣料の販売が低迷しており、業況が悪化した。これに対して建設業では、設備投資需要が底堅く推移し、公共工事の増加や暑さ対策の商材需要などが下支えとなり、業況は改善傾向にある。
また、卸売業や小売業においても、イベント効果やインバウンド需要の回復が一定の成果を上げており、一部で業況が改善している。特にパソコンの更新需要が増加するなど、新たなニーズに対応した事業展開が好影響を与えている事例も見られた。一方、サービス業では地域によってバラつきがあり、観光や飲食業においては、残暑と物価高による節約志向の高まりが客足に影響を与え、苦戦が続いている。
地域別の動向を見ると、九州、中国、四国、東海などでは観光需要や設備投資に支えられて業況が改善しているが、東北、北陸信越、関西、北海道などでは天候不順や物価高、消費者の節約志向が業績を圧迫しており、業況が悪化した。北海道では、クマ被害による観光キャンセルが宿泊業に打撃を与えたとの報告もある。
賃金動向では、2025年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業は全体の66.9%に達し、前年とほぼ同水準であった。しかし、そのうち業績が改善していない中でも人材確保などを目的とした「防衛的な賃上げ」を行った企業が65.0%と過半数を占め、賃上げの背景には依然として厳しい経営環境があることが浮き彫りとなっている。特に、給与総額の引き上げ率が3%以上である企業は66.8%と、過去最高の水準に達している。
一方で、業績の改善がみられないにも関わらず賃上げを行っている背景には、最低賃金の全国加重平均での6.3%の引き上げや、価格転嫁が難しい中でも人材の定着を優先する姿勢がある。特に建設業(75.6%)や製造業(75.0%)では賃上げ実施率が高い一方、小売業(54.1%)やサービス業(61.4%)では相対的に低水準にとどまっている。また、従業員数が少ない企業ほど賃上げ率が低い傾向も見られた。
価格転嫁を一部で実施できている企業では、賃金引き上げの余地が大きく、前向きな賃上げを実施している割合も高かった。価格転嫁が可能であった企業のうち72.2%が前向きな賃上げを行っており、給与総額を3%以上引き上げた割合も82.6%に達した。
このように、2025年9月の経済状況は、残暑や物価高といったマイナス要因の影響を受けつつも、一部の地域や業種では回復の兆しが見られた。賃上げの広がりが消費マインドの回復を後押しし、今後の景況感を押し上げることが期待される一方で、依然として経営環境の不透明感が拭い切れない状況にある。
この記事の要点
- 全産業の業況DIは▲18.6でほぼ横ばい
- 賃上げを実施した企業は全体の66.9%で高水準
- 3%以上の給与引き上げを行った企業は66.8%で過去最高
- 建設業や製造業では賃上げ率が高く、小売業・サービス業は低水準
- 価格転嫁が可能な企業では賃上げ実施割合が高い
- 地域別に見ると、九州・中国・四国などは改善、東北・北海道などは悪化
- 消費マインドは賃上げの影響でやや回復傾向
⇒ 詳しくはLOBO調査のWEBサイトへ