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2025年10月22日

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全国平均最低賃金1500円に向けた挑戦、骨太方針2025が描く労働市場改革

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Economic & Social Research No.49 2025年 夏号(内閣府)


この記事の概要

内閣府が発行する『Economic & Social Research(ESR)』の最新号となる第49号(2025年夏号)が公開されました。本号では、学校におけるICT利用の影響分析や介護施設の供給理論、テレワークやデジタルツールが企業に及ぼす効果、さらには主観的ウェルビーイングの評価やテレワークと生活時間の関係など幅広い研究成果が紹介されています。また、賃金上昇と物価動向を軸とした「骨太方針2025」の解説や経済財政諮問会議の議論、経済対策の進捗状況、国際会議での日本の立場など政策的に重要なトピックも取り上げられています。研究と政策の双方の視点から、国内外の経済課題に対する最新の分析と展望を知ることができます。


内閣府経済社会総合研究所が編集する『Economic & Social Research』第49号は、日本経済が直面する構造的課題と政策対応を多角的に検証しています。冒頭では、ICTの教育現場での導入効果をめぐる実証研究が紹介され、生徒の自己効力感や学習意欲、学力への影響が学校環境や学力層によって異なることが明らかにされています。続いて、介護施設のキャパシティをめぐる理論と実証分析が取り上げられ、供給緩和や需要喚起策の効果を検討することで、介護人材不足が深刻化する日本社会における政策的な方向性が議論されています。

企業活動に関連する研究では、テレワークやデジタルツールの導入がどのように生産性や業務効率に影響するかを調査した企業アンケート結果が掲載されており、特に大都市圏と地方圏の比較から、地域特性に応じた政策支援の必要性が浮き彫りにされています。また、主観的ウェルビーイングに関する一連の研究では、幸福度の多面的な評価や規定要因が分析され、今後の政策立案への活用可能性が議論されています。

政策面では、2025年6月に閣議決定された「骨太方針2025」の全体像が紹介され、名目GDP600兆円を超える経済規模の中で、賃上げ率が2年連続で5%を上回ったことを背景に、「賃上げを起点とした成長型経済」を実現する方針が示されています。特に、2029年度までの5年間で毎年1%の実質賃金上昇を定着させる目標や、中小企業向けの賃金引上げ推進計画、全国平均最低賃金を1500円に近づける取り組みなどが具体的に言及されています。

さらに、国際情勢の変化に対応する政策方針も取り上げられています。米中対立やサプライチェーンの脆弱性、地政学リスクの高まりを踏まえ、日本の経済安全保障や技術戦略の強化が不可欠であるとしています。また、OECD閣僚理事会や日EU・日独経済協議など、国際会議を通じた日本の役割も解説され、自由で開かれた国際秩序を維持するための具体的な取り組みが紹介されています。

経済財政諮問会議では「賃金向上に関する特別セッション」が開催され、専門家の知見を交えた議論が進められました。その結果、2025年春の労使交渉における賃上げ率は5.25%と、34年ぶりの高水準が達成されました。この動きは日本経済における「賃金と物価の健全な循環」の始まりとして評価され、持続的な成長に向けた重要な転換点とされています。

また、2024年11月に策定された総合経済対策についても、進捗状況調査の結果が報告されています。予算事業157施策のうち、2025年7月時点で91%が「公募・入札」または「実施」段階に到達し、制度・規制改革では85%が完了するなど、着実な進展が見られました。さらに、税制改正においても事業承継税制の特例措置やNISA制度の拡充が成立し、企業活動や資産形成への影響が期待されています。

このように、本号は学術的な研究成果と政策実務の両面から、賃上げを基点とした成長戦略や国際経済秩序の変化、人口減少社会への対応、財政健全化の新潮流など、幅広いテーマを包括的に扱っており、企業や政策担当者にとって必読の内容となっています。

この記事の要点

  • 内閣府『ESR』第49号が発行され最新の研究成果と政策動向を紹介
  • 教育分野ではICT活用が学力や意欲に与える影響を分析
  • 介護施設の供給と需要をめぐる実証研究が政策的示唆を提示
  • テレワークやデジタルツールの企業活動への効果を調査
  • 主観的ウェルビーイングの評価を政策に活用する議論を展開
  • 骨太方針2025で名目GDP600兆円突破や5%超の賃上げを確認
  • 2029年度までに毎年1%の実質賃金上昇を定着させる方針
  • 最低賃金を全国平均1500円に引き上げる取り組みを強化
  • 経済財政諮問会議での議論により2025年春の賃上げ率は5.25%
  • 総合経済対策221施策のうち91%が実施段階に進展

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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