2025年10月25日
労務・人事ニュース
令和7年8月奈良県有効求人倍率1.14倍と新規求人倍率1.98倍が示す人材市場の実態
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最終更新: 2025年10月25日 01:04
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奈良県の一般職業紹介状況(令和7年8月分)について(奈良労働局)
この記事の概要
奈良労働局が公表した令和7年8月の一般職業紹介状況によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍で前月より0.01ポイント減少しました。新規求人倍率は1.98倍と高水準を維持しており、依然として求職者数を求人が上回る状況です。産業別では医療・福祉、運輸業が増加を示す一方、製造業や卸売小売業は減少が目立ちます。採用担当者にとって、求人動向を踏まえた柔軟な戦略が求められています。
奈良労働局が発表した令和7年8月の雇用情勢は、地域の採用環境を理解するうえで非常に重要な示唆を与えています。有効求人倍率は1.14倍となり、前月からわずかに減少したものの、全国平均の1.22倍と比較してやや低い水準にあります。ただし、奈良県では引き続き求人が求職を上回っており、人材獲得競争が続いていることが読み取れます。企業の採用担当者にとっては、この倍率の変動を単なる数字として見るのではなく、産業ごとの需給状況や地域的な動向を丁寧に分析することが欠かせません。
まず注目すべきは新規求人倍率で、1.98倍と依然として高い数値を示しました。これは新たに求人を出した企業の数が求職者数を大きく上回っていることを意味し、新しいポジションや人材ニーズが市場に溢れている状況を示しています。前月より0.06ポイント上昇していることからも、人材需要は強含みで推移していると解釈できます。特に運輸業、郵便業では前年同月比で19.9%の増加が見られ、物流需要の高まりを背景にした求人拡大が続いています。加えて、医療・福祉分野も前年同月比5.4%増と安定した増加を見せており、高齢化社会を背景とした恒常的な人材ニーズが浮き彫りになっています。
一方で、製造業は前年同月比で17.7%の減少、卸売・小売業も11.7%減と厳しい結果が出ています。これは生産活動や消費動向の停滞、さらには原材料価格や人件費の上昇が影響していると考えられます。こうした業種では、求人を出しても応募が集まりにくい状況が生じており、採用担当者には採用手法や条件面の見直しが迫られています。例えば賃金水準の引き上げや働き方の柔軟性を打ち出すことはもちろん、地域での雇用ブランドの確立や若年層へのアプローチ強化が重要です。
正社員の有効求人倍率についても触れておく必要があります。奈良県の正社員有効求人倍率は0.97倍と全国平均(0.99倍)を下回る水準です。これは正社員としての就職を希望する求職者の数が、求人に対して相対的に多い状況を意味しており、非正規雇用に比べ正規雇用のポジション獲得が難しい現状を映しています。採用担当者にとっては、正社員希望者を効果的に惹きつける条件設定が求められます。具体的には、長期的なキャリア形成が可能であることを示す教育研修制度や、働きやすい職場環境を提示することが効果的です。
また、就業地別有効求人倍率は1.28倍で、受理地別の1.14倍よりも高い値を示しました。これは県外のハローワークを通じて奈良県での就業を希望する動きがあることを示唆しており、採用担当者は県外在住者をターゲットにした採用活動の強化を検討すべきです。例えばUIターン人材を意識した求人広報や、リモート勤務や柔軟な勤務形態を前提とした採用戦略は、広域的に人材を確保する手段となります。
新規求人数に目を向けると、全体で7,758人と前月比8.9%増加しました。特に宿泊業・飲食サービス業は3.5%増加しており、観光需要の回復が影響していると考えられます。また生活関連サービス業や教育・学習支援業も増加しており、幅広い分野で人材ニーズが高まっている状況です。企業の採用担当者としては、自社の業種に限らず周辺業種の求人動向も把握し、競合する企業の採用活動を参考にしながら、自社の強みを訴求していくことが求められます。
さらに、奈良県の就職件数は928件で前年同月比5.1%減となりました。特に正社員就職件数は289件で前年同月比10.0%減と大きく落ち込んでいます。これは求職者が求人情報にアクセスできる機会が増えた一方で、マッチングの精度が必ずしも高まっていないことを示しています。採用担当者にとっては、単に求人を出すだけではなく、求職者との適切なマッチングを促進する仕組みを導入する必要があります。例えば、スキルマッチングを重視した採用プロセスや、応募者とのコミュニケーションを強化する取り組みが有効です。
総じて奈良県の雇用情勢は、求人が求職を上回る「売り手市場」が続いているといえます。しかし業種ごとに増減の差が大きく、特に製造業や卸売・小売業では採用の難しさが強まっています。採用担当者にとっては、有効求人倍率や新規求人倍率の動きを定期的に確認し、自社の採用戦略に反映させることが競争力強化につながります。地域的な特性や産業構造の変化を踏まえ、従来の採用手法にとらわれず、新しいアプローチを積極的に導入することが、優秀な人材を確保する鍵となるでしょう。
この記事の要点
- 奈良県の有効求人倍率は1.14倍で前月からわずかに低下した
- 新規求人倍率は1.98倍と高水準を維持し求人需要は旺盛
- 医療・福祉や運輸業で求人が増加し、製造業や卸小売業は減少
- 正社員有効求人倍率は0.97倍で、全国平均を下回る
- 就業地別有効求人倍率は1.28倍で県外からの需要も見られる
- 就職件数は前年同月比で減少し、マッチング精度の向上が課題
⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ


