2025年10月26日
労務・人事ニュース
令和7年8月島根県有効求人倍率1.39倍から見る産業別人材不足の現状と対応策 隠岐の島1.98倍と突出
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島根の雇用情勢(令和7年8月分)(島根労働局)
この記事の概要
島根労働局が公表した令和7年8月の雇用動向によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.39倍で前月と同水準を維持しました。月間有効求人数と有効求職者数はいずれも前月比で減少し、雇用情勢の改善が鈍化していると報告されています。産業別にみると製造業や医療・福祉分野で求人が減少する一方、金融業や専門・技術サービス業では増加がみられました。この記事では、こうしたデータを踏まえ、企業の採用担当者がどのように採用活動を進めるべきかを独自の視点から解説します。
令和7年8月に島根県で公表された雇用情勢のデータは、地域の労働市場を理解する上で重要な指標を提供しています。有効求人倍率は1.39倍と前月と同じ数値を示し、一見すると安定しているように見えますが、詳細を読み解くと必ずしも安心できる状況ではありません。月間有効求人数は16,210人と前月比で1.3%減少し、有効求職者数も11,629人で1.8%の減少となりました。さらに就職件数は722件で前年同月比1.2%の減少、雇用保険被保険者数も1.0%の減少を示しており、地域の雇用環境に陰りが出始めていることが伺えます。
企業の採用担当者にとって、有効求人倍率は自社の採用戦略を見直す上で欠かせない指標です。倍率が1.39倍ということは、1人の求職者に対して約1.4件の求人が存在する計算となり、依然として労働需給は企業側にとって厳しい環境にあります。特に正社員の有効求人倍率は1.28倍であり、企業が求める正規人材の確保は引き続き容易ではないことを示しています。実際に有効求人数のうち正社員求人は51.9%にとどまり、求職者に対する正社員ポジションの提供割合が限定的であることも課題といえます。
産業別に見ると、製造業は前年同月比で22.5%もの新規求人減少があり、卸売業・小売業や医療・福祉分野でも減少が目立ちました。逆に金融業・保険業、学術研究や専門・技術サービス業では求人が増加しています。この動きは地域経済の構造変化を反映しており、採用担当者は自社が属する産業の求人動向だけでなく、他産業のトレンドも把握しておくことが重要です。異業種から人材を取り込む採用戦略や、異なるスキルセットを持つ人材の活用が今後の鍵となる可能性があります。
さらに、新規求職者数は前年同月比で2.5%増加し、特に在職者からの求職が増えています。これはキャリアアップや転職を志向する層が増えていることを示唆しており、採用活動においては待遇やキャリアパスを明確に打ち出すことが重要になります。単なる給与条件だけではなく、柔軟な働き方やスキル開発の支援を提示することが、求職者の関心を引き付ける上で大きな要素となるでしょう。
地域別に見ても格差は存在し、隠岐の島では有効求人倍率が1.98倍と極めて高く、他の地域に比べて深刻な人手不足が続いています。こうした地域特性を踏まえ、企業は勤務地に応じた採用戦略を立てる必要があります。都市部で採用が難しい場合は、リモートワークや柔軟な勤務形態を導入し、地域を越えて人材を募集する工夫も求められます。
また、人員整理の動向にも注意が必要です。8月には35事業所で人員整理が行われ、前年同月比で52.2%増加しました。解雇者数は減少したものの、特に建設業や卸売・小売業で事業所数の増加が目立ちました。これは一部の業種で事業環境の厳しさが増していることを意味し、採用担当者としては自社の業績だけでなく地域全体の産業動向を踏まえて将来の人材需要を見極める必要があります。
このような状況を踏まえると、島根県の採用担当者が取るべき戦略は大きく二つに分けられます。第一に、自社の採用条件を見直し、他社との差別化を図ることです。特に人材確保が難しい分野では、職務内容の明確化や柔軟な勤務制度の導入、福利厚生の充実などが効果的です。第二に、労働市場の変化に適応した中長期的な人材育成戦略を構築することです。新規求職者の中にはキャリア転換を希望する層も増えているため、未経験者を受け入れ、教育研修で即戦力に育てる仕組みを強化することが必要です。
さらに、採用活動では地域の教育機関や行政との連携を強めることも有効です。若年層の地元定着を図るためには、インターンシップや産学連携の取り組みを積極的に進めることが求められます。長期的にみれば、地域全体での人材確保と育成が企業の採用力を支える基盤となるでしょう。
この記事の要点
- 島根県の有効求人倍率は令和7年8月に1.39倍で前月と同水準
- 月間有効求人数・有効求職者数ともに減少し、雇用改善の動きが鈍化
- 正社員有効求人倍率は1.28倍で依然として人材確保は困難
- 製造業・医療福祉で求人が減少し、金融業や専門サービスで増加
- 在職者の求職増加によりキャリアアップ志向が強まっている
- 隠岐の島では有効求人倍率が1.98倍と突出して高く人手不足が深刻
- 人員整理事業所は前年同月比52.2%増加、業種間の格差が拡大
- 採用戦略は条件改善と人材育成、地域連携が鍵となる
⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ


