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2025年10月29日

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令和7年8月の北海道有効求人倍率0.92倍、採用環境の変化と今後の戦略を読み解く

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道内の雇用失業情勢《概要版》(令和7年8月)(北海道労働局)


この記事の概要

令和7年8月、北海道労働局が公表した最新の雇用情勢によると、道内の有効求人倍率は0.92倍となり、前年同月より0.02ポイント低下しました。求人数・求職者数ともに減少傾向が続いており、物価上昇などの経済環境が企業の採用活動に影響を与えています。本記事では、北海道の労働市場の実態を詳しく分析し、企業の採用担当者がこの状況をどのように読み取り、今後の採用戦略をどのように展開すべきかを解説します。


令和7年8月に北海道労働局が発表した雇用動向によれば、道内の有効求人倍率(季節調整値)は0.92倍となり、前年同月比で0.02ポイント低下しました。これは、4か月ぶりに前年を下回る結果であり、労働市場の持ち直しに弱さが見られることを示しています。求人数・求職者数ともに減少が続き、物価上昇や経済の不確実性が企業の採用意欲に影響を及ぼしている状況です。北海道労働局は「持ち直しの動きに弱さがみられ、今後も物価上昇等が雇用に与える影響に留意が必要」としています。

新規求人数は25,352人で、前年同月比4.2%減となり、2か月連続の減少でした。また、月間有効求人数は77,535人で前年同月比1.7%減、新規求職申込件数も13,456人で前年同月比0.6%減となり、求職者の動きも鈍化しています。月間有効求職者数は84,178人で前年同月比0.2%減、13か月連続で減少しました。これは求職活動を控える層の存在や、すでに就業中の人材が転職に慎重になっていることを反映していると考えられます。

正社員の有効求人倍率は0.82倍と、前年同月比で0.02ポイント上昇しましたが、依然として1倍を下回っています。この数値は、求職者1人に対して正社員求人が1件に満たないことを意味しており、安定的な雇用を求める人が多い一方で、企業側の正社員採用のハードルが高い現状を示しています。特に中小企業では、賃金上昇圧力やコスト増の影響から、正社員の新規採用を控える動きも一部に見られます。

産業別では、主要8産業のうち建設業やサービス業など3産業が増加したものの、製造業や運輸業、宿泊・飲食業など5産業で減少しました。観光需要が高まっている一方で、宿泊業や飲食サービス業では人手不足が続いており、働き手の確保が依然として難しい状況です。また、建設業ではインフラ整備や再開発プロジェクトの進展により求人が増加している一方で、高齢化による労働力不足が深刻化しています。

このような数字の背後には、北海道特有の地域構造や経済環境が影響しています。道内では都市部と地方部の求人格差が顕著であり、札幌市を中心とする道央圏では求人が比較的安定している一方で、地方圏では求職者の減少が顕著です。人口減少や若年層の流出が続く地方では、企業が採用活動を行っても応募が少なく、採用コストの増大に悩む声が多く聞かれます。

企業の採用担当者にとって、この0.92倍という数字は「採用環境の厳しさ」を端的に示すものです。求人を出せばすぐに応募が集まる時代は終わり、採用活動には明確な戦略が必要になっています。特に正社員求人の倍率が0.82倍という点は、求職者が安定雇用を求める一方で、企業側が即戦力を重視する傾向を示しており、双方のニーズが必ずしも一致していないことを意味しています。このギャップを埋めるためには、企業が人材育成を前提とした採用方針を打ち出すことが求められます。

例えば、経験やスキルを重視する即戦力採用だけでなく、未経験者を採用し育てる体制を整えることが、中長期的な人材確保につながります。道内では特に、介護・建設・運輸といった人手不足産業において、職業訓練や社内研修を通じて人材を育成する企業が増えています。また、ワークライフバランスや柔軟な働き方への対応も、採用活動の成功を左右する重要な要素です。北海道は広大な地域性から通勤時間が長くなる傾向があり、テレワークや短時間勤務制度の導入は、求職者にとって大きな魅力となります。

さらに、採用活動では地域密着型のアプローチが有効です。地方企業が地元高校や専門学校との連携を強化し、若年層へのアプローチを早期化することで、地域人材の流出を防ぐ効果が期待されます。採用担当者は、単に求人票を出すだけでなく、地域イベントやインターンシップなどを通じて企業の魅力を直接伝える努力が必要です。

一方、人口減少が進む北海道では、採用戦略を国内人材に限るのではなく、外国人労働者や道外人材の活用も視野に入れる必要があります。観光・農業・製造業などでは、外国人労働力が不可欠な存在となっており、多文化共生を前提とした職場づくりが求められます。採用担当者は、言語や文化の違いを理解し、誰もが働きやすい環境を整えることが、今後の企業成長に直結するテーマとなるでしょう。

また、採用後の「定着支援」も今後の重要な課題です。求人倍率が1倍を下回る環境では、一度採用した人材をいかに長く定着させるかが企業の競争力を左右します。職場の人間関係やキャリアパスの明確化、適正な評価制度の導入など、働く人のモチベーションを維持する仕組みを整えることが重要です。北海道では、地域密着企業が家族的な職場環境を活かし、社員の定着率向上に成功している事例も多く見られます。

総じて、令和7年8月の北海道における有効求人倍率0.92倍という結果は、雇用情勢が持ち直しつつも安定には至っていないことを示しています。採用担当者は、数字の背後にある労働市場の変化を冷静に読み取り、自社の強みを活かした柔軟な採用戦略を構築することが求められます。短期的な採用成果を追うのではなく、地域社会とともに持続的な人材確保を目指す視点が、これからの採用活動には欠かせません。

この記事の要点

  • 令和7年8月の北海道の有効求人倍率は0.92倍で前年より0.02ポイント低下
  • 新規求人数25,352人、2か月連続の減少
  • 正社員有効求人倍率は0.82倍で依然1倍未満
  • 建設業・サービス業で求人増、製造業・宿泊業で減少
  • 地方部では人口減少により採用難が続く
  • 育成型採用と柔軟な働き方の導入が人材確保の鍵
  • 採用後の定着支援が企業の競争力を左右する

⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ

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