2025年10月29日
労務・人事ニュース
令和7年8月の神奈川県有効求人倍率0.82倍、雇用回復に足踏み
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最終更新: 2025年10月29日 07:03
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労働市場速報(令和7年8月分)を公表します(神奈川労働局)
この記事の概要
令和7年8月、神奈川労働局が発表した労働市場速報によると、神奈川県の有効求人倍率(季節調整値)は受理地別で0.82倍、就業地別で1.01倍となり、前月からそれぞれ0.02~0.03ポイント低下しました。新規求人倍率も受理地別で1.53倍と、前月から0.15ポイントの下落です。雇用情勢の判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と下方修正され、原材料費や人件費の高騰が雇用に影響していると分析されました。本稿では、神奈川県の最新データをもとに、企業の採用担当者がどのように求人倍率を読み解き、採用戦略を立てるべきかを詳しく解説します。
令和7年8月、神奈川県の有効求人倍率(季節調整値)は受理地別で0.82倍、就業地別で1.01倍となりました。これは前月からそれぞれ0.02ポイントおよび0.03ポイントの低下であり、5か月連続で低下傾向が続いています。新規求人倍率も受理地別で1.53倍(前月比0.15ポイント低下)、就業地別で1.83倍(同0.18ポイント低下)と下降し、求人の勢いに明確な鈍化がみられます。神奈川労働局は、雇用情勢判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」として下方修正し、令和2年6月以来およそ62か月ぶりの下方転換となりました。
有効求人数(季節調整値)は94,136人で前月比0.9%減、有効求職者数は114,631人で前月比0.9%増となりました。つまり、求人が減少する一方で求職者が増加しており、求人と求職のバランスが求職者優位に傾いています。新規求人についても33,023人と前月比6.0%減、前年同月比では2.5%減少しました。新規求職者数は21,639人で前月比3.6%増加しており、仕事を探す動きが活発化していますが、求人側がそれに応じ切れていない状況です。
産業別に見ると、新規求人数の減少が目立つ業種が多く、建設業(前年同月比6.5%減)、製造業(同8.3%減)、情報通信業(同9.6%減)、運輸業・郵便業(同6.8%減)、卸売業・小売業(同16.2%減)、学術研究・専門技術サービス業(同12.1%減)、宿泊業・飲食サービス業(同18.8%減)と広範囲で減少しています。一方で、医療・福祉は0.7%増、サービス業(他に分類されないもの)は1.9%増と、地域社会を支える分野では求人が堅調に推移しています。
特に宿泊・飲食業の求人減少率が高いのは、人件費上昇やエネルギーコスト高による採算悪化が背景にあります。こうした中小規模の事業者が多い分野では、採用を控えたり、短時間勤務者やアルバイト中心の人員配置に切り替える動きが強まっています。また、製造業でも資材価格の上昇や円安によるコスト増が影響し、新規採用を慎重に進める企業が増加しています。
正社員の有効求人倍率は0.62倍で、前年同月から0.07ポイントの低下となりました。正社員の有効求人数は43,449人で前年同月比5.5%減少し、パートを除く常用有効求職者数は70,205人で4.6%増加しました。これは、正社員を希望する求職者が増えているにもかかわらず、企業の正社員採用意欲が抑制されていることを意味します。採用の慎重化と非正規雇用の活用が進む中で、求職者とのミスマッチが拡大している現状が浮き彫りです。
こうした状況を踏まえると、企業の採用担当者が求人倍率をどのように捉え、採用活動を展開するかが重要になります。有効求人倍率0.82倍という数字は、求人が求職を下回る状態に近づきつつあることを示しています。採用担当者にとっては、単に求人を出すだけでは応募が得られない時期に差し掛かっていることを意味し、求人の質と発信の仕方を戦略的に見直す必要があります。
まず重要なのは、自社の求人内容の明確化と魅力の打ち出しです。現在の労働市場では、求職者が「給与だけでなく、働く環境や将来性」を重視する傾向が強まっています。そのため、求人票では賃金や勤務時間だけでなく、企業文化、キャリア支援、福利厚生、成長機会などを丁寧に伝えることが応募率向上につながります。特に神奈川県内では首都圏への通勤圏である一方、地元での安定就業を希望する人も多く、地域に根ざした企業姿勢を打ち出すことが有効です。
次に、採用の間口を広げる柔軟性も欠かせません。求人倍率が低下している今、企業が求めるスキル要件を狭く設定しすぎると、応募の機会を逃す可能性があります。採用担当者は「即戦力」ばかりを重視するのではなく、「育成前提の採用」へと舵を切ることが求められます。特に神奈川では製造業・物流業などで中堅層の不足が顕著であり、若年層を採用して長期的に育てる戦略が今後の競争力を左右します。
さらに、企業は採用活動における情報発信の質を高めることが重要です。求人サイトやハローワークでの情報発信だけでなく、SNSや動画などを活用し、企業の実際の職場環境や社員の声を伝えることで、求職者にリアリティのある印象を与えることができます。これにより、「応募のハードル」を下げると同時に、採用後のミスマッチ防止にもつながります。
神奈川県の労働市場におけるもう一つの特徴は、業種間格差の拡大です。製造・建設業では人手不足が深刻で、技能労働者の確保が急務となっています。反対に、事務職や販売職では応募過多の傾向が続いており、採用競争が業種によって二極化しています。採用担当者は自社の属する業界構造を冷静に見極め、他業界との待遇・柔軟性の比較を通じて、差別化を明確にすることが必要です。
また、定着支援の観点も軽視できません。有効求人倍率が低下する局面では、新たに人を採るよりも、既存社員の離職を防ぐことの方が重要になります。キャリア形成支援や社内コミュニケーションの充実、ワークライフバランスを重視した制度設計を進めることが、長期的な採用コストの削減につながります。
神奈川労働局のデータが示す通り、雇用情勢は「持ち直しに足踏みがみられる」とされ、回復のスピードが鈍化しています。これは、企業の採用活動にも慎重さを求めるサインです。採用担当者は求人倍率の数値変化を単なる統計として見るのではなく、その背後にある経済要因や求職者心理の変化を読み取り、より柔軟かつ戦略的な人材確保を目指すことが求められます。
この記事の要点
- 令和7年8月の神奈川県有効求人倍率は0.82倍、前月比0.02ポイント低下
- 就業地別の有効求人倍率は1.01倍、新規求人倍率は1.53倍に低下
- 有効求人数は94,136人で減少、有効求職者数は114,631人で増加
- 建設業・製造業・宿泊業・情報通信業など幅広い業種で求人減少
- 正社員有効求人倍率は0.62倍に低下しミスマッチが拡大
- 雇用情勢判断は62か月ぶりに下方修正、「持ち直しの足踏み」
⇒ 詳しくは神奈川労働局のWEBサイトへ


