2025年10月29日
労務・人事ニュース
令和7年8月の新潟県の有効求人倍率1.40倍から読み解く企業の採用戦略とは
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一般職業紹介状況(令和 7 年 8 月分)(新潟労働局)
この記事の概要
令和7年8月の新潟県における有効求人倍率は1.40倍となり、前月比で0.02ポイント低下しました。求人数の減少と求職者数の増加が同時に進む中で、企業の採用活動には一層の戦略性が求められています。本稿では、有効求人倍率の動きから新潟県内の雇用情勢を分析し、採用担当者がどのような視点で人材確保を行うべきかを詳しく解説します。
令和7年8月における新潟労働局の発表によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.40倍と、前月に比べて0.02ポイント低下しました。これは求人の動きが鈍化し、求職者数が微増したことを背景にしたものです。新規求人倍率も2.25倍と前月より0.13ポイント低下しており、企業側が新たな求人を控える動きが見られます。正社員の有効求人倍率は1.42倍で、前年同月比0.02ポイントの減少となりました。これらの指標は、新潟県の労働市場がやや停滞気味であり、求職活動が活発化する一方で求人の伸びが抑えられていることを示しています。
県内全体の雇用情勢については、依然として改善傾向を維持しているものの、足踏み感が強い状態です。物価上昇や原材料費の高止まりが企業経営に影響を与え、採用計画を慎重に進める企業が増えています。一方で、求職者側の動きとしては、転職希望者や再就職希望者が増加傾向にあり、特に中高年層の再チャレンジが目立ちます。
8月の有効求人数(季節調整値)は49,512人で、前月比1.0%減少しました。2か月ぶりの減少であり、新規求人数も17,132人と前月比9.5%減と大きく落ち込んでいます。有効求職者数(季節調整値)は35,325人で、前月比0.3%増と4か月連続で増加しています。この動きから、採用の供給(求人)よりも需要(求職)がやや上回る構図となっていることがわかります。
業種別に見ると、学術研究や専門・技術サービス業が前年同月比で24.0%増加、運輸業・郵便業も5.1%増と堅調な伸びを見せています。一方、宿泊業や飲食サービス業は30.5%減少、サービス業全体でも13.4%減少するなど、観光や接客を中心とした分野で人手需要が落ち込みました。特に宿泊・飲食業では、夏の繁忙期にも関わらず求人が減少した点が注目されます。物価上昇に伴うコスト圧力の増加や、地方における人材流出の影響も背景にあると考えられます。
このような状況下で、企業の採用担当者は単に求人を出すだけでなく、「質」と「タイミング」に注目することが求められます。有効求人倍率が1.40倍ということは、求職者1人あたりに1.4件の求人があることを意味します。全国平均の1.20倍を上回っており、表面上は求人意欲が高いように見えますが、実際には職種や地域によって偏りがあります。特に新潟市周辺では事務職や販売職の求人が多く、製造業や建設業などは一部地域で人手不足が深刻化しています。この地域的なバランスの違いを理解した上で、企業は採用戦略を地域密着型に転換することが重要です。
また、採用担当者が注目すべきは「正社員求人の動向」です。正社員の有効求人倍率は1.42倍で、全体平均よりわずかに高い水準にありますが、前年よりも低下しています。これは、安定雇用を希望する求職者が増えている一方、企業側が固定費上昇への警戒から正社員採用を抑制している傾向を示しています。正社員志向の人材を取り込むには、採用条件の透明化や柔軟な働き方の導入が鍵となります。特に新潟県ではリモートワークやハイブリッド勤務の導入が遅れており、こうした新しい働き方の導入が企業イメージの向上にもつながるでしょう。
さらに、採用活動の現場では、ハローワークインターネットサービスの活用が重要なポイントです。令和3年9月以降、オンライン上での求職登録や直接応募が可能になったことで、求人情報の公開範囲が拡大しました。企業はこの仕組みを最大限に活かし、求人情報の更新頻度を上げることで、応募者との接点を広げることが可能です。求職者は最新情報を基に行動しているため、古い求人票は見過ごされやすくなります。採用担当者は「リアルタイム性のある情報発信」を意識し、掲載後の反応データを分析する体制を整えるべきです。
一方で、有効求職者数の増加は「潜在的な採用チャンス」でもあります。令和7年8月の新規求職申込件数は7,601件で前月比4.2%減少しましたが、依然として前年水準を上回る推移を見せています。離職者だけでなく、在職中の転職希望者が増えており、企業が中途採用市場で人材を確保できる余地は広がっています。重要なのは、求職者が何を重視して転職先を選んでいるかを正確に把握することです。特に地方では、給与水準よりも「ワークライフバランス」や「職場の雰囲気」、「将来的な安定性」を重視する傾向が強くなっています。
こうした変化を踏まえ、企業の採用担当者は「経験(Experience)」と「専門性(Expertise)」を活かした採用戦略を打ち立てるべきです。単なる求人情報の提示ではなく、自社で働く魅力を具体的な体験談として伝えることで応募率を高めることができます。たとえば、社員の声を紹介するコンテンツや、入社後のキャリア形成を可視化した採用ページの構築が効果的です。また、「権威性(Authoritativeness)」の観点からは、地域や業界で信頼される企業としての社会的貢献を発信することが求められます。新潟県では地域密着型企業が多く、地元社会とのつながりが採用ブランド力を左右します。
最後に、「信頼性(Trustworthiness)」の観点からは、情報の正確性と誠実な対応が重要です。求人票の内容と実際の労働条件が一致しない場合、企業の評判を著しく損ないます。長期的に優秀な人材を確保するには、信頼を基盤とした採用活動が不可欠です。
総じて、新潟県の有効求人倍率1.40倍という数値は、採用市場が安定的である一方で、企業にとっては慎重な舵取りを求められる環境を意味しています。採用担当者は短期的な数字の動きに左右されず、求職者の行動特性や地域の産業構造の変化を踏まえた中長期的な人材戦略を構築することが重要です。
この記事の要点
- 令和7年8月の新潟県の有効求人倍率は1.40倍で前月より低下
- 新規求人倍率は2.25倍で9.5%減少、求人意欲の減退が見られる
- 求職者数は4か月連続増加で労働市場は求職超過の傾向
- 学術研究・運輸業は増加、宿泊業・サービス業は大幅減少
- 企業は地域や職種ごとの採用戦略の再構築が必要
- 正社員志向の人材に対しては柔軟な雇用形態の導入が有効
- ハローワークインターネットサービスを活用した情報発信が鍵
- E-E-A-Tを意識した信頼性の高い採用広報が企業価値を高める
⇒ 詳しくは新潟労働局のWEBサイトへ


