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2025年10月31日

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令和7年9月の東海経済、新規求人数6.3%減少で雇用回復に足踏み

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景気ウォッチャー調査(令和7年9月調査)― 東海(現状)―(内閣府)


この記事の概要

令和7年9月に実施された景気ウォッチャー調査によると、東海地域の景況感は全体として横ばいで推移しており、一部業種では回復の兆しがみられるものの、物価高と人手不足が企業活動や雇用環境に引き続き影響を与えている。新規求人数は全体で6.3%減少し、有効求人倍率も横ばいで推移した。業種別では情報通信業や不動産業で求人が増えた一方、卸売・小売業や宿泊・飲食サービス業などでは求人が減少しており、雇用の二極化が鮮明となっている。


令和7年9月の東海地方は、猛暑の収束とともに消費活動がやや回復する動きがみられた。商店街では来客数の増加が続き、特に飲食や観光関連施設では、気温の低下とともに人出が戻りつつある。乗用車販売店では9月中旬以降、問い合わせや来店が増加し成約につながるケースも見られたが、新車価格の上昇やガソリン代の高止まりが影響し、全体として販売は前年を下回っている。特に中古車市場では、価格の安い未使用車への需要が高まり、新車販売の鈍化を補う形で推移した。

観光関連業では、地震報道による風評被害が和らぎ、外国人観光客を含む団体利用が新型コロナウイルス感染症流行前の水準にまで回復した。都市型ホテルでは中国からの旅行者が増加し、宿泊単価の上昇が見られた一方、飲食部門の夜間需要は低迷したままだった。旅行代理店では、紅葉シーズンを前に販売量が徐々に回復しており、特に国内旅行の予約が堅調に推移している。ただし、物価上昇に伴う旅行代金の値上げが続いており、需要回復は限定的である。

小売業の動きは業態によって差が見られる。スーパーでは食料品を中心に価格上昇が続き、消費者の節約志向が強まっている。来客数は前年を下回り、特売日やディスカウントセールに売上が集中する傾向が鮮明になった。コンビニエンスストアでは、1日あたりの売上高は前年比100.6%と前年並みを維持したが、来客数は97.1%と減少し、客単価の上昇によって全体の売上を支えている。衣料品専門店では、物価上昇と季節商品の需要低下が響き、売上は依然として低迷している。百貨店でも高額商品を購入する富裕層は一定数存在するものの、一般客の購買意欲は低く、月全体で見れば前年とほぼ横ばいで推移した。

製造業では、半導体関連分野の電子材料や化学製品の需要が堅調に推移している一方で、電気機械器具製造業では受注量が減少し、中だるみの状態となっている。米国の関税問題の影響もあり、自動車関連業界では生産を控える動きが見られたが、関税決着後には一部で注文が増加している。金属製品製造業や一般機械器具製造業では受注が大きく落ち込み、特に北米向け半導体設備投資の停滞が影響している。

建設業は依然として低迷しており、住宅販売は3か月前と比べて変化がない。材料費や工賃の上昇が止まらず、見積段階での予算超過が発生するケースが増加している。物流業界では、住宅設備や工作機械の荷動きが鈍化しており、輸送物量も前年同月とほぼ同水準で推移している。運賃の引き上げ交渉が難航しており、物価上昇分を価格転嫁できていない企業が多い。

雇用環境を見ると、人材派遣業では自動車関連メーカーの設計開発職などで人材需要が引き続き高いが、採用者数は求人数に対して依然として低い水準にとどまっている。人材派遣会社によると、求職者は好条件の企業を選ぶ傾向が強く、採用に至る確率が低下しているという。求職者数は前年と比べて微増にとどまり、動きは鈍い。職業安定所の調査では、新規求人数が全体で6.3%減少し、特に卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業で求人が減少した。一方、情報通信業、不動産業、学術研究・技術サービス業では増加傾向が見られた。

最低賃金の引き上げによる人件費増加が企業の利益を圧迫しており、採用活動を抑制する動きも広がっている。特に中小企業では原材料費や光熱費の上昇分を価格に転嫁できず、賃上げの余地が乏しい。職業安定所によると、求人倍率は職種によって大きく差があり、専門職や技術職では高水準を維持する一方、販売職や飲食サービス職では求人の手控えが見られる。

全体として、東海地域の経済は回復と停滞が混在する状況にある。景気の先行き不透明感や物価上昇が続く中で、企業は慎重な採用戦略を取っており、雇用市場の動きは依然として限定的だ。人手不足を背景に求人は底堅いものの、有効求人倍率の上昇には至らず、雇用の質的な改善が今後の課題となっている。

この記事の要点

  • 令和7年9月の東海経済は全体的に横ばいで業種により明暗
  • 新規求人数は全体で6.3%減少し求職者数は微増
  • 情報通信業・不動産業では求人増加、宿泊・飲食サービス業で減少
  • 人材派遣業では求人数に対して採用率が低水準のまま
  • 最低賃金引上げにより中小企業の採用抑制が広がる
  • 製造業では半導体関連が堅調も自動車関連は低迷

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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