2025年11月2日
労務・人事ニュース
認知症への最大の不安は「家族への負担」74.9%、内閣府最新調査が示す現実(令和7年8月調査)
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最終更新: 2025年11月1日 10:06
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認知症に関する世論調査(令和7年8月調査)(内閣府)
この記事の概要
内閣府は令和7年10月10日、全国の18歳以上3,000人を対象に実施した「認知症に関する世論調査(速報)」の結果を発表した。調査は8月21日から9月28日にかけて郵送で行われ、1,551人から回答が寄せられた(回収率51.7%)。認知症と接した経験がある人は60.5%にのぼり、家族や親戚を通じて関わるケースが半数を超えた。また、認知症基本法の成立を知っている人は21.9%にとどまり、認知症に対する不安として「家族に負担をかける」が最も多かった。
令和7年10月10日、内閣府政府広報室は「認知症に関する世論調査(速報)」の結果を公表した。この調査は、認知症に対する国民の意識や生活に関する考え方を把握し、今後の施策づくりに役立てることを目的として実施された。調査対象は全国の18歳以上の日本国民3,000人で、1,551人から有効回答を得た。回収率は51.7%と前回調査(令和元年12月)と同水準であり、郵送法によって行われた。
調査の冒頭では、現在日本では65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備群と推計されていることが示されている。さらに、65歳未満で発症する「若年性認知症」は全国で約3.6万人にのぼるとされ、今後も認知症への理解と支援が社会的な課題として高まっている。
今回の調査によると、「認知症の人と接したことがある」と回答した人は全体の60.5%に達し、「ない」とした人の38.0%を上回った。特に、家族の中に認知症の人がいる、またはいたと答えた人が53.5%で最も多く、次いで親戚が34.2%、近所づきあいの中で接したことがある人が22.0%となった。街中で見かけたことがあると答えた人も12.6%にのぼり、認知症が身近な問題であることが浮き彫りになっている。
認知症に対するイメージを尋ねた質問では、「医療や介護のサポートを利用しながら地域で生活できる」と答えた人が26.5%と最も多く、「介護施設でサポートを受ける必要がある」とする人が35.8%にのぼった。一方で、「自ら工夫して地域でこれまで通り生活できる」と前向きに捉える人は3.1%にとどまり、認知症を重度の障害として捉える傾向が依然として強いことがうかがえる。
自分が認知症になった場合の暮らし方については、「医療や介護などのサポートを利用しながら地域で生活したい」と回答した人が27.4%で最多となり、「周りに迷惑をかけるので施設で暮らしたい」と答えた人も27.3%とほぼ同程度だった。地域での生活を希望する声がある一方で、他者への迷惑を避けたいという心理的負担が強く表れている。また、「誰にも迷惑をかけずひとりで暮らしたい」とした人も3.8%存在し、孤立を選ぶ意識が一定数見られることも注目される。
不安の内容では、「家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか」との回答が74.9%と最も高く、次いで「できていたことができなくなるのではないか」が66.2%、「家族以外の周りの人に迷惑をかけるのではないか」が49.5%と続いた。「家族や大切な思い出を忘れてしまうのではないか」と答えた人も51.1%に上り、記憶喪失への恐怖が依然として根強いことが示された。また、「経済的に苦しくなるのではないか」との回答も42.0%に達しており、介護費用や生活維持に対する懸念が浮き彫りとなった。
家族が認知症になった場合の不安については、「家族以外の周りの人に迷惑をかけるのではないか」との回答が46.5%で最多だった。次いで「家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか」が45.3%、「経済的に苦しくなるのではないか」が42.3%、「介護によって自分の仕事が続けられなくなるのではないか」が36.2%となり、介護者側の生活やキャリアへの影響が大きな課題として意識されている。
さらに、「認知症基本法」に関する認知度を尋ねた質問では、「成立したことも内容も知っている」と答えた人はわずか1.0%にとどまり、「成立したことを知っており、内容もある程度知っている」人も4.5%と少数だった。一方、「成立したことは知っているが内容は知らない」が16.4%、「成立したこと自体を知らない」が75.8%に達しており、法律の周知が十分ではない実態が浮き彫りとなった。この法律は令和5年6月に成立し、令和6年1月に施行されたもので、認知症の人が尊厳を持って暮らせる「共生社会」を目指すための基本的な枠組みを定めている。
今回の結果は、認知症に対する関心が高まりつつある一方で、正しい理解や法制度の浸透がまだ十分でないことを示している。内閣府は今後、確報版の公表に向けて属性別の分析や詳細なクロス集計を進める予定であり、政策立案や地域支援の強化に向けた基礎資料となることが期待されている。
この記事の要点
- 全国18歳以上3,000人を対象に実施し、1,551人が回答
- 認知症の人と接したことがある人は60.5%
- 家族に認知症の人がいると答えた人は53.5%
- 認知症に対する不安で最も多いのは「家族に負担をかける」74.9%
- 認知症基本法の成立を知っている人は21.9%
- 法律の内容を詳しく知っている人はわずか1.0%
- 「周囲に迷惑をかけたくない」という心理が強い傾向
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


