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2025年11月2日

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令和5年度の国民医療費48兆円超、高齢者医療が6割を占める最新データ

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令和5(2023)年度 国民医療費の概況(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が公表した令和5(2023)年度「国民医療費の概況」によると、全国の国民医療費は48兆915億円に達し、前年度の46兆6,967億円から1兆3,948億円(3.0%)増加した。国民1人あたりの医療費は38万6,700円で、前年度より1万3,000円(3.5%)増加している。総医療費のうち高齢者医療費が60.1%を占め、特に65歳以上の医療費が全体を押し上げた。


厚生労働省は令和7年10月に「令和5年度国民医療費の概況」を公表した。これによると、令和5年度の国民医療費は48兆915億円となり、前年度の46兆6,967億円から1兆3,948億円増加、伸び率は3.0%となった。人口1人当たりの医療費は38万6,700円で、前年度の37万3,700円を上回り、3.5%の上昇を記録している。国民医療費の国内総生産(GDP)に占める割合は8.08%で、前年の8.23%からわずかに低下した。

制度区分別にみると、公費負担医療給付分は3兆4,594億円(構成割合7.2%)、医療保険等給付分は21兆5,147億円(44.7%)、後期高齢者医療給付分は17兆2,072億円(35.8%)、患者などの自己負担分は5兆9,101億円(12.3%)であった。前年と比較すると、後期高齢者医療給付分および患者負担分がそれぞれ4.6%増と最も伸びており、高齢化と医療費自己負担の増加が顕著に表れている。

財源別では、公費が18兆331億円(全体の37.5%)を占め、うち国庫負担が11兆9,252億円、地方負担が6兆1,079億円だった。保険料は24兆1,383億円(50.2%)と半分を超え、そのうち事業主負担が10兆5,613億円、被保険者負担が13兆5,770億円となった。患者負担を含む「その他」は5兆9,201億円(12.3%)であり、医療費の財源構造において保険料収入と公費のバランスが維持されていることがわかる。

診療種類別にみると、医科診療医療費が34兆5,498億円(71.8%)で最多を占め、そのうち入院医療費が17兆8,580億円(37.1%)、入院外医療費が16兆6,918億円(34.7%)となった。歯科診療医療費は3兆2,945億円(6.9%)、薬局調剤医療費は8兆4,563億円(17.6%)と、調剤薬局分が急増しており、前年度比5.8%増と最も高い伸び率を示した。特に訪問看護医療費は23.6%増と大幅に上昇しており、在宅医療への移行が進んでいることが読み取れる。

年齢別では、65歳以上が28兆8,806億円(60.1%)と全体の6割を超えた。45~64歳は10兆5,998億円(22.0%)、15~44歳が5兆8,422億円(12.1%)、0~14歳が2兆7,688億円(5.8%)であった。1人当たりの医療費では、65歳未満が21万8,000円、65歳以上は79万7,200円と、約3.6倍の差がある。中でも75歳以上では95万円を超える水準に達しており、高齢者医療の重さが改めて浮き彫りとなった。

傷病別では「循環器系の疾患」が6兆2,834億円(18.2%)で最も多く、次いで「新生物(腫瘍)」が5兆1,994億円(15.0%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」2兆7,581億円(8.0%)、「損傷・中毒及びその他の外因」2兆6,977億円(7.8%)、「呼吸器系の疾患」2兆5,979億円(7.5%)が続いた。前年から特に増加が目立ったのは呼吸器系の疾患で、16.8%の増加を記録した。

都道府県別に見ると、国民医療費の総額が最も多いのは東京都で5兆217億円、次いで大阪府が3兆6,965億円、神奈川県が3兆2,642億円となった。最も少ないのは鳥取県の2,151億円である。一方、人口1人当たりの医療費では高知県が49万6,300円で全国最高、次いで鹿児島県46万9,800円、徳島県と長崎県がともに46万7,100円であった。最も低かったのは埼玉県で34万2,500円、次いで千葉県34万7,200円、滋賀県35万1,300円となっている。都市部では医療機関の分散と健康志向が影響しており、地方では高齢化と医療アクセスの問題が医療費上昇に影響しているとみられる。

今回の報告から、国民医療費の総額は年々増加しているものの、GDP比では横ばいかやや減少傾向にある。これは経済規模の拡大に伴い、相対的に医療費負担が抑えられている側面もあるが、実質的な医療サービス需要は高齢化を背景に増し続けている。政府は今後、医療の効率化、デジタル医療の推進、予防医療の強化などを通じて、持続可能な医療制度の構築を進める必要がある。

この記事の要点

  • 国民医療費は48兆915億円で前年度比3.0%増
  • 1人当たり医療費は38万6,700円で3.5%増
  • 高齢者医療費が全体の60.1%を占める
  • 薬局調剤医療費が8兆4,563億円で5.8%増
  • 訪問看護医療費は23.6%増と大幅上昇
  • 主要疾患は循環器系(18.2%)が最多
  • 都道府県別で1人当たり医療費が最も高いのは高知県(49万6,300円)
  • 東京都が総額5兆217億円で全国最大

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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