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2025年11月2日

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年間7万件のロードキル対策が本格始動、北海道・沖縄でデジタル活用の現地対応開始

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データ駆動型ロードキル対策を本格的に開始します! ~モデル地区(北海道・沖縄)において現場に路面表示等を設置~(国交省)


この記事の概要

国土交通省は、動物が道路上で車両に衝突する「ロードキル」の削減に向けて、データを活用した新たな対策を北海道と沖縄のモデル地区で本格的に開始した。全国で年間約7万件発生しているロードキル問題に対し、事故データを分析し、10月の多発時期に合わせて路面表示や注意喚起ポスターの設置など現地対策を実施。今後は効果を検証し、全国への展開を目指す。


国土交通省は、ネイチャーポジティブ社会の実現に向けて、動物と人間が共存できる安全な道路環境を目指す「データ駆動型ロードキル対策」を本格的に始動した。ロードキルとは、道路上で野生動物が自動車などに轢かれる事故のことであり、全国の直轄国道では令和4年度だけで年間約7万件もの事故が確認されている。従来も防止柵や標識などの対策が行われてきたが、件数は依然として高止まりしており、より科学的・効果的なアプローチが求められていた。

このため、今年度から北海道と沖縄をモデル地区として選定し、事故発生場所や時間帯など過去のデータを活用した「データ駆動型」の試行プロジェクトが開始された。6月には、これまで蓄積された全国のロードキル発生情報を集約したデータベースが構築され、動物種ごとに発生傾向を分析。その結果、北海道ではエゾシカ、沖縄ではヤンバルクイナおよびケナガネズミに関する事故が多発していることが判明した。

国土交通省は、これらの分析結果をもとに「ロードキル発生箇所マップ」を公開し、地域住民やドライバーに事故多発区間を可視化。10月には、特に事故が多発する時期に合わせて現地での対策を本格化した。北海道の国道36号(苫小牧市)では、エゾシカとの衝突が多発している48~58キロポストの区間を重点地域として選定。事故が集中する10月の早朝および夜間にかけて、路面への「シカ注意」表示を設置するとともに、道路情報板を活用して運転者に注意を呼びかけている。

一方、沖縄県国頭村の国道58号では、絶滅危惧種であるヤンバルクイナとケナガネズミのロードキルが問題となっている。特に0~6キロポストの区間で事故が重複して発生しており、ケナガネズミについては10月の早朝および夜間、ヤンバルクイナについては5月の早朝に多発傾向があることが確認された。このため、まずケナガネズミを対象とした注意喚起路面表示やポスターを設置し、来春からはヤンバルクイナ対策も本格化させる計画だ。

現地での取り組みは、単なる警告表示にとどまらず、カメラやセンサーを活用した動物の出現予測、車両速度の自動計測などのデータ収集も同時に実施する。これにより、対策の有効性を定量的に評価し、効果的な防止手法を導き出すことを目的としている。国土交通省は今後、事故発生件数や車両の速度変化などのデータを分析し、地域ごとの最適な対策を検討。成果は全国の直轄国道に展開し、統一的なロードキル対策のモデルケースとする方針だ。

また、今回の取り組みは「ネイチャーポジティブ」の考え方に基づいて進められている。ネイチャーポジティブとは、生物多様性の損失を抑え、自然環境を回復させる方向へ社会全体を転換させる考え方である。国土交通省では、道路行政の分野においてもこの理念を実践し、人と野生動物が共に生きる交通インフラのあり方を模索している。

特に、北海道でのエゾシカ対策では、動物の生息環境と交通流の関係を可視化する取り組みが進められており、シカの行動解析を行う実証実験も検討されている。沖縄のやんばる地域では、国の天然記念物であるヤンバルクイナやケナガネズミを保護するため、自治体や環境団体と連携し、地域住民による見守り活動も推進されている。これらの活動を通じて、単なる「事故防止」ではなく、地域ぐるみでの「生態系保全」へと視野を広げる狙いがある。

国土交通省は今後、モデル地区で得られた知見を基に全国展開を図りデジタル技術を活用したデータ駆動型のロードキル防止システムを構築する方針を示している。最終的には、人と自然が共生できる道路づくりを推進し、ネイチャーポジティブな社会実現への貢献を目指している。

この記事の要点

  • 全国の直轄国道で年間約7万件のロードキルが発生
  • 北海道と沖縄をモデル地区としてデータ駆動型対策を開始
  • 北海道ではエゾシカ、沖縄ではヤンバルクイナとケナガネズミを対象
  • 10月に路面表示・注意喚起など現地対策を実施
  • 事故データをもとに発生時期・時間帯を特定し効果を検証
  • モデル地区の成果を全国展開し、共生型道路の整備を推進
  • ネイチャーポジティブ社会の実現に向けた新たな取り組み

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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