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2025年11月4日

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令和7年9月大分県の有効求人倍率1.24倍 採用活動に求められる視点

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大分県の雇用情勢(令和7年9月分)(大分労働局)


この記事の概要

令和7年9月の大分県における有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で、前月と同水準を維持した。全国平均の1.20倍を上回る水準であり、128か月連続で1倍を超えている。求人数はわずかに減少したが、求職者数も減っており、雇用市場は高水準ながらも横ばい傾向にある。正社員有効求人倍率は1.17倍と51か月連続の1倍台を維持したが、前年同月より0.08ポイント低下した。この記事では、この雇用情勢を踏まえ、中小企業の採用担当者がどのように採用戦略を構築すべきかを、現場感覚を交えて詳しく解説する。


令和7年9月に大分労働局が発表した雇用情勢によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で、前月と変わらず横ばいとなった。この水準は全国平均を上回り、九州では宮崎県に次ぐ高い水準である。月間有効求人数は23,437人で前月比0.7%減、有効求職者数は18,921人で前月比0.6%減と、求人・求職の双方が微減した結果、倍率は前月から動かなかった。これは、雇用市場の活発さを保ちながらも、企業の採用意欲と求職者の行動がやや慎重になっていることを示している。

大分県の正社員有効求人倍率(原数値)は1.17倍で、前年同月より0.08ポイント低下した。依然として1倍を超える高水準ではあるが、求職者に対して求人が減り始めており、採用活動の難易度が徐々に上がっていることが分かる。特に中小企業では、求人を出しても応募が集まりにくい状況が続き、採用コストの上昇や採用期間の長期化が課題となっている。

産業別では、新規求人数が7,547人で前年同月比10.7%減となった。情報通信業のみが24.1%増と増加を示した一方で、建設業(10.3%減)、製造業(8.7%減)、運輸・郵便業(25.3%減)、卸売・小売業(13.2%減)、宿泊・飲食サービス業(47.6%減)、医療・福祉(7.1%減)など、ほとんどの主要産業で求人が減少している。特に宿泊・飲食業の47.6%減は大幅な落ち込みであり、観光需要の回復が一服し、人件費高騰や営業時間短縮の影響が見られる。

建設業は公共事業の減少と人材不足の影響が重なり、10%を超える求人減となった。製造業でも輸送用機械器具や電子部品関連の一部では堅調な動きが見られるものの、全体としては人員確保に慎重な企業が多い。医療・福祉分野でも7.1%の減少で、介護分野を中心に深刻な人材不足が続く中で、現場の疲弊感が広がっている。

地域別に見ると、ハローワーク別の有効求人倍率(原数値)は最高が大分所の1.46倍、最低が中津所の0.93倍であり、地域格差が明確に存在している。県北部では製造・物流業の需要が安定している一方、県西部や中津地域では製造業の縮小や小売業の低迷が影響し、求人倍率が1倍を割り込んでいる。こうした地域差を考慮せずに採用を行うと、応募の偏りや採用コストの増加につながる恐れがある。

このような雇用環境の中で、中小企業の採用担当者が取るべき戦略は、単なる「採用活動の強化」ではなく「採用市場の構造変化への適応」である。有効求人倍率が高水準を保っているということは、求職者一人に対して複数の企業が競合していることを意味する。特に1.24倍という数字は、求職者が複数の選択肢から慎重に職場を選べる状況を示しており、企業側が「選ばれる側」になるための戦略を練ることが不可欠だ。

まず重要なのは、自社の求人情報の質を高めることである。求人票の内容が抽象的だったり、給与・勤務条件が他社と差別化されていなかったりすると、求職者の目に留まりにくい。大分県では中小規模の企業が多く、特に従業員30~99人規模の事業所では新規求人が前年同月比18.4%減となっている。こうした中小企業ほど、「働く環境の魅力」を具体的に伝える工夫が必要だ。

たとえば、給与水準を上げることが難しい企業でも、「柔軟なシフト」「家族手当の支給」「資格取得支援」など、働きやすさを訴求することで応募を増やせる。また、地域密着型企業であれば「転勤なし」「地元採用」を明示することも有効だ。中小企業の採用成功事例では、求人票の書き方を改善しただけで応募者数が倍増したケースも少なくない。

次に、採用活動のデジタル化が欠かせない。大分県の中小企業では、依然としてハローワーク中心の採用活動に依存している傾向が強いが、今後はSNSや企業ホームページ、地域情報サイトを活用した採用広報が不可欠になる。特に若年層の求職者はスマートフォン経由で仕事を探す割合が高く、デジタル上での露出を増やすことが、応募の増加につながる。

さらに注目すべきは、求職者の動きが変化している点である。新規求職申込件数は3,953件で前年同月比5.1%減、特に常用フルタイム求職者は4.1%減となっている。これは、労働市場における「求職意欲の低下」を意味し、働く側が慎重になっていることを示す。物価上昇や生活不安が背景にあり、求職者が「安定」をより重視する傾向が強まっている。そのため、企業は短期的な求人ではなく、長期的なキャリア形成ができる環境を提示することが求められる。

また、雇用保険受給者が前年同月比21%増の5,978人となっており、一時的に職を失った人が増えている点にも注目したい。これらの層を再雇用するチャンスと捉え、再就職支援や訓練制度を活用することで、中小企業が潜在的な人材を確保できる可能性がある。

総じて、大分県の雇用環境は「高水準を保ちながらも踊り場にある」と言える。企業側は今こそ採用活動の見直しを行うべき時期だ。採用難を嘆く前に、自社がどんな人材を求め、どんな価値を提供できるのかを明確にすることが重要である。有効求人倍率が横ばいでも、採用力に差がつくのは、こうした企業の姿勢と戦略の違いにある。

この記事の要点

  • 令和7年9月の大分県有効求人倍率は1.24倍で前月と同水準
  • 正社員有効求人倍率は1.17倍で前年同月より0.08ポイント低下
  • 新規求人数は7,547人で前年同月比10.7%減
  • 宿泊・飲食業は47.6%減と大幅な求人減少
  • ハローワーク大分が1.46倍で最高、中津が0.93倍で最低
  • 中小企業は求人内容の質と情報発信の強化が採用成功の鍵
  • 求職者の安定志向に対応した長期的雇用提案が必要

⇒ 詳しくは大分労働局のWEBサイトへ

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