2025年11月4日
労務・人事ニュース
令和7年9月佐賀県の有効求人倍率1.21倍 人材確保は難しい状況
-   訪問看護業務/即日勤務可/シフト 
                            
                            
最終更新: 2025年11月4日 07:02
 -   常勤・サービス業界の看護師/車通勤可/即日勤務可/シフト 
                            
                            
最終更新: 2025年11月4日 07:02
 -   非常勤・病院・クリニックの看護師/即日勤務可/週4日以下/シフト 
                            
                            
最終更新: 2025年11月4日 07:02
 -   精神科の訪問看護業務/高時給/即日勤務可/シフト 
                            
                            
最終更新: 2025年11月3日 09:35
 
一般職業紹介状況<令和7年9月分>(佐賀労働局)
この記事の概要
令和7年9月、佐賀労働局が発表した最新の雇用統計によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.21倍で、前月より0.02ポイント低下した。全国平均の1.20倍をわずかに上回っているものの、前年同月比では低下傾向が続いており、採用市場はやや落ち着きを見せている。新規求人倍率は1.80倍と前月から上昇したが、求人総数は減少しており、企業の採用意欲に慎重さがうかがえる。この記事では、佐賀県の労働市場の現状を踏まえ、中小企業が有効求人倍率をどのように活用し、採用活動を進めていくべきかを専門的な視点で詳しく解説する。
令和7年9月の佐賀県の有効求人倍率は1.21倍で、前月比0.02ポイント低下した。この水準は全国平均の1.20倍をわずかに上回るものの、前年同月の1.29倍からは0.08ポイントの下落であり、緩やかな減少傾向が続いている。求人が求職を上回る状況は続いているが、企業の採用活動は一時期よりも落ち着きを見せ、労働市場全体は「高止まりからの横ばい局面」に入っているといえる。
有効求人数は17,534人で前年同月比4.1%減少し、有効求職者数は15,048人で2.3%増加した。求人数が減り、求職者が増えていることから、企業にとっては採用競争がやや緩和しているように見えるが、実際には職種や地域による偏りが大きく、一部業界では依然として深刻な人手不足が続いている。
一方で、新規求人倍率は1.80倍と前月より0.08ポイント上昇したが、新規求人数は5,749人で前年同月比4.9%減少している。つまり、求人を新たに出している企業が増えたわけではなく、むしろ減少傾向にある中で、求職者数が減少したことにより倍率が一時的に上昇している構図である。この点を読み違えると、採用市場の実態を見誤ることになる。
産業別の新規求人を見ると、運輸業・郵便業(12.7%増)、サービス業(15.1%増)で増加が見られた一方で、建設業(13.2%減)、製造業(20.2%減)、卸売・小売業(12.3%減)、宿泊・飲食サービス業(16.2%減)、医療・福祉(5.5%減)など、多くの主要産業で減少が続いている。特に製造業の20.2%減は顕著であり、長期的な人材不足が採用抑制につながっている可能性がある。
建設業は資材高騰や受注減が影響し、現場人員の確保に慎重な動きが見られる。製造業では電子部品、金属加工、輸送機器関連を中心に求人減少が続いており、県内の生産活動全体が縮小傾向にあることがわかる。宿泊・飲食サービス業の16.2%減も注目すべきで、観光需要の戻りはあるものの、人件費高騰や営業時間の短縮が影響し、新規採用に踏み切れない企業が増えている。
一方、情報通信業は25.9%減少と大幅に落ち込んだが、職業紹介・派遣業などの「サービス業(他に分類できないもの)」は15.1%増となっており、働き方の多様化を反映している。フルタイム雇用にこだわらず、短時間勤務や業務委託で柔軟に人材を確保する企業が増えているのが現状だ。
正社員有効求人倍率は1.11倍で、前月比0.01ポイント低下、前年同月比0.03ポイント減少した。これは、正社員求人の新規増加が鈍化していることを示している。正社員を希望する求職者が依然として多い中で、企業側の求人が減少しているため、ミスマッチが生じやすくなっている。
地域別では、佐賀市の有効求人倍率が1.11倍、唐津1.15倍、武雄1.23倍、伊万里1.49倍、鳥栖1.08倍、鹿島1.27倍と地域差が顕著である。特に伊万里や鹿島では製造業と物流業の需要が高く、相対的に倍率が高い。反対に鳥栖や佐賀市周辺では流通・サービス業の求人が多いが、求職者も集中しているため倍率が低い傾向にある。この地域間のギャップを把握することは、中小企業の採用戦略において極めて重要である。
中小企業の採用担当者にとって、有効求人倍率1.21倍という数字は単なる統計ではなく、「自社の採用活動の難易度」を測る指標である。この数値が1を超えているということは、求人が求職を上回っており、企業が人材を取り合う状況にあることを意味する。つまり、「待っていても応募は来ない」市場であり、企業側が積極的に求職者にアプローチする姿勢が求められる。
まず重要なのは、求人情報の内容を見直すことである。給与や勤務時間などの基本条件だけでなく、「働く環境」「成長機会」「地域への貢献」といった非金銭的価値を打ち出すことが、求職者の関心を引く鍵となる。佐賀県ではUターンやIターン希望者の動きも増えており、「地元で安心して働ける職場」というメッセージは特に効果的である。
次に、採用スピードの改善も欠かせない。倍率が1.2倍を超える環境では、採用までの意思決定の遅さが機会損失に直結する。応募から面接までの期間を短縮し、オンライン面接や即日面談などを導入することで、求職者との接点を逃さない体制を整える必要がある。
また、雇用の安定性を重視する傾向が強まっているため、正社員登用制度や長期雇用を前提とした育成方針を示すことも重要だ。短期的な人手不足解消よりも、中長期的な人材育成を打ち出すことで、定着率の向上につながる。
さらに、佐賀県内の中小企業ではデジタル採用への対応が課題となっている。依然としてハローワークを中心とした採用が主流だが、若年層を取り込むにはSNSや求人サイト・採用サイトの活用が不可欠だ。特に20代~30代の層はスマートフォンで求人を探す割合が高いため、視覚的に魅力のある情報発信が求められる。企業紹介動画や社員インタビューの掲載なども効果的である。
一方、求職者数が増加している現状を逆手に取れば、「今こそ優秀な人材を確保する好機」ともいえる。景気の先行き不透明感から転職を検討する層が増えており、採用条件を整備し、柔軟な働き方を提示することで、他社との差別化が可能だ。
有効求人倍率のわずかな変化は、単なる統計上の増減ではなく、地域経済と企業活動の動きを映す鏡である。採用担当者はこのデータを活用し、業種別・地域別の動向を踏まえた「戦略的採用計画」を立てることが求められる。採用市場が安定している今こそ、自社の採用力を磨く好機である。
この記事の要点
- 令和7年9月の佐賀県有効求人倍率は1.21倍で前月比0.02ポイント低下
 - 新規求人倍率は1.80倍で上昇するも求人数は4.9%減
 - 製造業・建設業・宿泊業など主要産業で求人減少
 - 正社員有効求人倍率は1.11倍で前年同月より低下
 - 地域別では伊万里1.49倍、鳥栖1.08倍と格差が顕著
 - 中小企業は求人内容の質と採用スピードが鍵
 - デジタル採用の活用と長期雇用重視が今後の焦点
 
⇒ 詳しくは佐賀労働局のWEBサイトへ
 
 
                                        
                                        
