2025年11月4日
労務・人事ニュース
令和7年9月福岡県の有効求人倍率1.10倍、中小企業が取るべき採用戦略とは
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最終更新: 2025年11月4日 07:02
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最終更新: 2025年11月4日 01:04
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最終更新: 2025年11月3日 09:35
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最終更新: 2025年11月4日 07:02
 
雇用情勢(令和7年9月分)について(福岡労働局)
この記事の概要
令和7年9月の福岡県における有効求人倍率は1.10倍で前月と同水準となり、雇用情勢の持ち直しはやや鈍化している。新規求人倍率は2.23倍と上昇したが、有効求人数は前年同月比で5.9%減少しており、求人動向には業種間の明暗が見られる。中小企業が採用を進めるうえで、この数字は重要な判断材料となる。本記事では、福岡労働局の最新データを基に、中小企業の採用担当者が今後どのような戦略を取るべきかを具体的に解説する。
令和7年9月、福岡労働局が発表した最新の雇用情勢によると、福岡県全体の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.10倍で、前月からの変化は見られなかった。景気全体の回復が続く一方で、物価上昇やエネルギーコストの高止まりなどが中小企業の採用活動に影響を及ぼしており、「採用の持ち直し」は弱含みの状態にあるといえる。特に、求人数は減少傾向にある一方で、求職者数も微減しており、労働市場全体が膠着した状況を示している。
新規求人倍率は2.23倍と、前月を0.22ポイント上回った。これは、新たに求人を出した企業数が増加したことを意味しているが、背景には人材不足による採用競争の激化がある。実際、新規求人数(季節調整値)は前月比で9.6%増と大幅に伸びたが、有効求人数全体では0.5%減と、全体の求人ストックは縮小している。つまり、求人を出しても人材が定着しにくく、採用に至らないケースが増えているのだ。
地域別にみると、福岡地域では1.13倍、北九州地域では0.98倍、筑豊地域では0.99倍、筑後地域では1.15倍と、全体的に前年同月を下回っている。とくに北九州や筑豊では1倍を下回る地域も見られ、採用活動の難易度が上昇している。一方で、福岡市内のように求職者数に比べ求人が多い地域では、依然として「人材の奪い合い」が起きており、企業規模や待遇面によって採用結果に大きな差が生まれている。
産業別では、製造業が前年同月比で22.2%増と大幅な伸びを見せ、8か月連続でプラスとなった。一方、宿泊業・飲食サービス業は14か月連続で減少し、情報通信業、建設業、医療・福祉分野でも減少が続いている。これは、景気の先行き不安により、企業が新規採用に慎重な姿勢を取っていることに加え、働き手側が労働条件の良い業界へと移動していることを示している。中小企業にとっては、こうした業種別の動向を見極めたうえで、自社の採用戦略を立てることが重要になる。
有効求人倍率1.10倍という数字は、一見すると全国平均と同程度の安定した数値に見えるが、実際には「人材のミスマッチ」が深刻化している。求人数があっても応募が集まらない職種や地域が多く、採用担当者にとっては戦略的な求人設計が求められる状況だ。特に中小企業では、従来型の求人広告やハローワークへの掲載だけでは十分な応募が得られないケースが増えている。
そのため、採用担当者はまず「有効求人倍率の内訳」を正確に理解する必要がある。倍率が高いほど企業側の競争が激しく、倍率が低いほど求職者の選択肢が多いことを意味する。福岡県の場合、正社員の有効求人倍率は0.88倍であり、全体の1.10倍を大きく下回っている。これは、パートタイムを含む求人が多い一方で、正社員採用では依然として厳しい状況が続いていることを示している。
こうした現状を踏まえ、中小企業の採用担当者は「求人の質を高める」ことを最優先に考えるべきである。給与水準や福利厚生だけでなく、働き方の柔軟性、キャリアパスの提示、スキルアップ支援など、求職者が「長く働ける環境」と感じる要素を整備することが不可欠だ。特に若年層の獲得には、リモートワーク制度や副業の許可など、時代に即した働き方の導入が効果的である。
また、データ上では55歳以上の求職者が増加しており、中高年層の活用も今後の採用戦略のカギとなる。再雇用制度や短時間勤務制度を柔軟に取り入れることで、経験豊富な人材を安定的に確保できる。さらに、技能継承やOJT体制の充実を図れば、生産性向上にも直結する。
採用活動を行う際には、ハローワークのデータを単に数値として見るのではなく、地域別や業種別の動きを総合的に分析することが大切だ。たとえば、福岡地域の有効求人倍率が1.13倍というのは、求職者1人に対して約1.13件の求人があるという意味であり、求職者にとっては「選べる市場」になっている。この状況では、企業は自社の魅力を発信し、応募者に「選ばれる理由」を明確に提示する必要がある。
具体的には、求人票の内容を工夫することが効果的だ。仕事内容の具体性、職場の雰囲気、成長支援制度などを具体的に記載することで、求職者の不安を軽減できる。また、採用活動のスピードも重要であり、応募から面接までの期間を短縮することが採用成功率を高める鍵となる。
福岡労働局の発表によると、新規求職者数は16,870人で前年同月比4.3%減、特に30~44歳の層で減少幅が大きい。つまり、即戦力として期待できる層が減少しているため、中小企業は若手人材の育成を前提とした採用方針へ転換する必要がある。未経験者を採用し、社内教育でスキルを身につけてもらう体制を整えることが、長期的には人材不足の解消につながる。
また、採用の視点を「地元志向」に切り替えることも重要だ。地域に根差した企業は、地元出身者やUターン希望者にとって魅力的な選択肢となりうる。福岡県内では、特に筑後地域で1.15倍と比較的高い求人倍率を維持しており、地元志向の人材が集まりやすい傾向がある。このような地域特性を踏まえた採用活動を展開することで、採用効率を高めることができる。
採用活動にデジタル化を取り入れることも欠かせない。ハローワークインターネットサービスが強化され、オンラインでの求職登録や直接応募が可能になった現在、採用担当者は自社の求人情報をオンライン上で最適化する必要がある。写真や動画を活用した企業紹介ページの作成、SNSを活用した求人告知など、視覚的に伝わる工夫が求められる。
今後の福岡の雇用市場は、全国的な人手不足と物価上昇の影響を受けつつも、地域ごとの業種特性を反映しながら緩やかに変化していくと予想される。中小企業がこの変化に対応するには、短期的な採用成果だけを追うのではなく、長期的な人材戦略を描くことが重要である。採用活動はもはや「人を集める」だけでなく、「人を育て、定着させる」段階に入っている。
この記事の要点
- 令和7年9月の福岡県の有効求人倍率は1.10倍で前月と同水準
 - 新規求人倍率は2.23倍に上昇し採用競争が激化
 - 製造業は8か月連続で求人増、宿泊業や飲食業は減少傾向
 - 正社員有効求人倍率は0.88倍で依然として厳しい状況
 - 55歳以上の求職者が増加し中高年層の活用が鍵
 - 採用担当者は求人票の改善とスピード対応を意識すべき
 - 地元志向・デジタル採用を組み合わせることが効果的
 
⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ
 
 
                                        
                                        
