2025年11月5日
補助金・助成金, 労務・人事ニュース
奈義町が起業支援を強化、最大300万円を助成し地域経済を後押し
奈義町 起業者支援事業
奈義町では、地域経済の活性化と定住促進を目的に、新たに事業を始める個人や法人を支援する「起業者支援事業」を実施しています。この制度は、町内での起業や新事業所の設置、法人設立にかかる経費の一部を助成するもので、地域に新たな雇用と経済循環を生み出すことを狙いとしています。コロナ禍以降、地方での起業や移住を考える人が増えている中、奈義町では創業時の負担を軽減し、継続的に事業が発展していくようサポート体制を整えています。
この制度でいう「起業」とは、町内で新たに事業を開始する個人、または新しい事業所を設置して開業する場合を指します。また、すでに事業を営む個人が町内で法人を設立して事業を継続する場合、あるいは町内に本社機能を持つ法人を新たに立ち上げて事業を開始する場合も対象に含まれます。これにより、個人事業から法人化へステップアップするケースや、他地域の企業が奈義町に拠点を新設するケースも支援の対象となっています。
交付対象となるのは、一定の条件を満たした事業者に限られます。個人の場合は、町内に住所を有していることが必要です。法人の場合は、奈義町内に主たる事務所を置き、正式に法人登記を完了していることが求められます。さらに、交付金の受給後は3年以上の継続的な事業運営が義務付けられています。この期間内に事業を廃止したり、町外へ移転したりする場合は、補助金の返還を求められる可能性があります。また、公序良俗に反する業種や、町が補助を適当でないと判断した業種、暴力団関係者、町税の滞納がある事業者、フランチャイズなどの画一的な営業を行う者は対象外とされています。こうした基準は、地域社会に根ざした持続可能な事業を支援するために設けられています。
対象となる経費は幅広く設定されています。具体的には、事業所の開設にかかる費用、設備や備品の購入費、広告宣伝費、法人登記費用などが含まれます。これに加え、町長が特に必要と認めた経費についても対象とする柔軟な運用がなされています。ただし、経費の総額が50万円以下の場合は助成の対象外となるため、ある程度の規模を持った起業計画であることが求められます。
交付金の支給額は、対象経費の2分の1以内とされ、上限額は起業の形態によって異なります。個人が新たに事業を開始する場合、または新事業所を開設する場合は上限200万円です。個人が法人を設立し、現在の事業を継続する場合も同様に上限200万円が設定されています。一方、町内に主たる事務所を有する法人を新たに設立して事業を開始する場合は、上限額が300万円とされています。これにより、より規模の大きい法人設立や雇用創出を伴う事業が積極的に支援される構造となっています。
申請手続きは段階的に進められます。まず、交付申請を行う前に、作州津山商工会での事前審査が必要です。ここで事業計画の妥当性や実現性が確認され、その後、奈義町の審査委員会による審査を経て、交付の可否が決定されます。交付決定後、実際の事業着工・完了を経て、実績報告書の提出が求められます。必要に応じて現地調査が行われ、最終的に交付額が確定し、補助金が支払われる流れです。手続きには多くの書類が必要となりますが、町や商工会の担当者が相談に応じる体制を整えており、起業初心者でも安心して申請を進めることができます。
この制度の魅力は、単に資金的な支援にとどまらず、地域に根ざした起業を推進する姿勢にあります。奈義町は、岡山県内でも自然環境に恵まれ、移住者や若手起業家の関心が高まっている地域です。町としても、持続可能な地域経済を築くため、IT関連事業や観光、農業、ものづくりなど、多様な分野での新規事業立ち上げを後押ししています。特に、地域資源を活用したビジネスや、地域雇用を生み出すモデルには積極的な支援を行っています。
起業を志す人にとって、事業開始時にかかる資金負担は大きな課題ですが、この支援事業により初期費用の半分が補助されることで、挑戦へのハードルが大きく下がります。また、事業開始後3年以上の継続が条件であるため、短期的な補助ではなく、地域に長く根付く事業展開を促す設計となっています。地方での創業を考える人や、事業拡大を検討する企業にとって、奈義町の制度は魅力的な選択肢といえます。事業の立ち上げを計画している方は、早めに作州津山商工会や奈義町産業振興課へ相談し、申請の準備を進めることが推奨されます。
⇒ 詳しくは岡山県のWEBサイトへ


