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2025年11月6日

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平均賃金改定額13,601円に上昇、2025年の賃上げ率4.4%―厚労省調査

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賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要 賃金の改定額及び改定率(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が実施した令和7年(2025年)「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、1人平均賃金の改定額は13,601円、改定率は4.4%となり、前年の11,961円・4.1%を上回った。労働組合のある企業では改定額が15,229円、改定率が4.8%、組合のない企業では11,980円、4.0%と、労使関係の違いによる差が確認された。大企業を中心に賃上げ傾向が続いており、全国的に賃金水準が上昇している。


厚生労働省が2025年10月に公表した「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果によると、全国の民間企業における賃金改定の動きが一層活発化していることが明らかになった。今回の調査は、全国の常用労働者100人以上を雇用する民間企業を対象に実施され、7月から8月にかけてデータが収集された。調査では、企業が行った賃金改定の実施状況や改定率、改定額を詳細に分析し、国内における賃上げの傾向を把握することを目的としている。

令和7年の調査結果では、「1人平均賃金の改定額」が13,601円に達し、前年の11,961円から約1,640円の増加となった。また、「1人平均賃金の改定率」は4.4%で、前年の4.1%から0.3ポイント上昇している。これは、物価上昇や人材確保への対応、労使交渉の結果などが反映されたものとみられる。政府による賃上げ促進策の効果も一定程度寄与しており、賃上げの流れが広がっている。

労働組合の有無別にみると、労働組合がある企業の「1人平均賃金の改定額」は15,229円、改定率は4.8%であった。一方、労働組合のない企業では改定額が11,980円、改定率は4.0%と、いずれも前年より上昇している。前年の労組あり企業の改定額は13,668円(4.5%)、労組なし企業では10,170円(3.6%)であり、両者ともに増加傾向を示した。これにより、労使交渉を通じた賃上げが依然として有効な仕組みであることが裏付けられたといえる。

企業規模別に見ると、大企業ほど賃金の上昇幅が大きい傾向がみられる。従業員5,000人以上の企業では平均改定額が16,784円、改定率が5.1%で最も高く、次いで1,000~4,999人規模の企業が15,859円(5.0%)、300~999人規模が12,308円(4.0%)、100~299人規模が10,264円(3.6%)となった。これらの数字から、企業規模が大きいほど賃金改定への余力が大きいことが明確に表れている。

産業別では、建設業が最も高く20,724円(改定率5.9%)の上昇となり、続いて電気・ガス・水道業が19,611円(5.3%)、鉱業・採石業が18,020円(6.1%)と高水準を示した。一方で、医療・福祉は5,589円(2.3%)、生活関連サービス業・娯楽業は7,744円(2.9%)にとどまり、業種間で大きな格差があることが浮き彫りになった。特に人手不足が深刻な宿泊業・飲食サービス業でも10,177円(3.6%)の賃上げが実施されており、コロナ禍からの回復に伴う人材確保の必要性が背景にあるとみられる。

また、賃金改定の年次推移を見ると、平成23年(2011年)以降、改定額・改定率ともに概ね上昇傾向にある。令和2年(2020年)および令和3年(2021年)には新型コロナウイルスの影響により一時的に減少したが、令和4年(2022年)以降は再び上昇に転じており、令和7年(2025年)調査では過去最高水準を記録している。特に近年は、企業の社会的責任として「賃上げの継続」が求められるようになり、経営戦略の一環として賃金改定を行う動きが定着しつつある。

このような傾向は、単に労働者の生活水準向上にとどまらず、消費活動の活発化や経済成長にも寄与するものと考えられている。実質賃金の回復とともに、国内需要の安定化が期待されており、今後も賃金改定が経済全体の好循環を支える重要な要素になることは間違いない。

厚生労働省は、今回の調査結果を踏まえ、企業規模や業種ごとの賃上げ実態を詳細に分析し、政策立案や労使間の交渉支援に活用する方針を示している。特に中小企業への支援強化や人材育成投資への誘導が今後の重点課題とされており、賃金水準の底上げが日本経済全体の成長を後押しすることが期待される。

この記事の要点

  • 1人平均賃金の改定額は13,601円で前年より約1,640円増加
  • 改定率は4.4%で前年の4.1%を上回る
  • 労働組合あり企業の改定額は15,229円、なし企業は11,980円
  • 5,000人以上の大企業では16,784円の賃上げ、改定率5.1%
  • 建設業20,724円、鉱業18,020円など一部業種で高い上昇率
  • 医療・福祉など非製造業では上昇幅が小さい
  • 2011年以降、賃金改定額は増加傾向で過去最高を更新

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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