2025年11月6日
労務・人事ニュース
夏の賞与支給企業88.4%、支給しない企業4.9%に減少―厚労省調査(2025年)
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賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要 夏の賞与の支給状況(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省が発表した令和7年(2025年)の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、夏の賞与(ボーナス)を「支給した、または支給する(額決定済み)」と回答した企業の割合は88.4%となり、前年(88.1%)を上回った。一方で、「支給するが額は未定」は4.6%、「支給しない」は4.9%であり、賞与を支給しない企業は前年の6.5%から減少した。景気の回復基調と人材確保への意識の高まりが背景にあるとみられる。
厚生労働省が令和7年10月に公表した「賃金引上げ等の実態に関する調査」において、企業の夏季賞与(ボーナス)支給状況が明らかになった。調査は、全国の常用労働者100人以上を雇用する民間企業を対象に実施され、賞与支給の有無やその割合を把握することを目的として行われた。結果によると、企業の約9割が何らかの形で賞与を支給しており、賞与支給が企業経営における重要な人事施策として定着している実態がうかがえる。
調査結果では、2025年の夏季賞与を「支給した、または支給する(額決定済み)」と回答した企業は全体の88.4%であり、前年(88.1%)から0.3ポイント上昇した。「支給するが額は未定」は4.6%(前年3.9%)、「支給しない」は4.9%(前年6.5%)であり、支給を見送る企業が減少したことが確認された。これは、物価上昇や人手不足を背景に、従業員の生活を支えるための賃金・賞与支給を重視する企業が増加していることを示している。
企業規模別にみると、従業員5,000人以上の大企業では96.8%が賞与を支給しており、支給しない企業はわずか1.6%にとどまった。1,000〜4,999人規模の企業も96.4%が支給しており、前年よりさらに上昇している。中規模企業では300〜999人規模で91.4%、100〜299人規模で86.7%が支給しており、規模が小さいほど支給率がやや低下する傾向が見られた。
産業別では、鉱業・採石業・砂利採取業が100%の企業で支給しており、最も高い支給率を示した。製造業では93.3%、電気・ガス・水道業では94.6%、情報通信業でも92.3%と、高い水準を維持している。これらの産業では業績回復や人材確保への投資意識が強く、企業が従業員への還元を積極的に行っていることが背景にあるとみられる。一方で、宿泊業・飲食サービス業では支給率が61.9%にとどまり、約16.9%の企業が「支給しない」と回答した。生活関連サービス業・娯楽業でも支給率は87.0%と平均を下回り、業種間で依然として格差が存在している。
また、「支給するが額は未定」と回答した企業の割合は前年より増加しており、経営環境の不透明さを反映していると考えられる。特に宿泊業や教育・学習支援業などでは、売上の季節変動が大きく、業績確定を待って支給額を決定するケースが多い。
興味深いのは、前年と比べて「支給しない」企業が減少している点である。2024年は6.5%だったのに対し、2025年は4.9%にまで低下しており、企業全体として賞与支給の意欲が高まっていることがうかがえる。これは、政府が推進する「構造的な賃上げ」政策や、労働市場の逼迫による賃金上昇圧力の影響が反映された結果と考えられる。
業界別に見ると、金融業・保険業では82.1%の企業が支給しており、前年(95.1%)から低下したものの、依然として高水準を維持している。教育・学習支援業では77.6%が支給し、前年(77.5%)とほぼ同水準だった。医療・福祉分野では94.2%が賞与を支給しており、職員の士気向上や人材確保の観点から安定した支給が行われている。
こうした結果から、企業規模や業種により賞与支給の水準に差はあるものの、全体として日本企業における夏季賞与は安定的に実施されていることがわかる。特に大企業では支給率がほぼ100%に達しており、中小企業でも賃金改善の流れを追随する動きがみられる。今後は、業績連動型の賞与制度や人事評価と連動した支給体系がさらに普及することが予想される。
また、賞与の支給状況は採用市場にも影響を及ぼしている。求職者は固定給与だけでなく、賞与支給の有無を重視する傾向が強まっており、企業の採用力強化のためにも賞与制度の安定的な運用が求められる。特に人手不足が続くサービス業では、賞与の支給有無が人材確保に直結しており、今後の経営戦略上の重要課題となるだろう。
この記事の要点
- 2025年の夏季賞与支給企業は88.4%で前年を上回る
- 支給しない企業は4.9%に減少、前年より1.6ポイント改善
- 大企業では96%超が賞与を支給、中小企業では86%前後
- 鉱業・製造業・電力業で高水準、宿泊業は61.9%と低迷
- 「支給額未定」企業は4.6%、経営環境の不透明さを反映
- 賞与支給の継続が採用・定着戦略に直結
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


