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2025年11月6日

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労組あり企業22.0%、賃上げ要求交渉は78.3%で依然高水準―厚労省調査(2025年)

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賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要 労働組合からの賃上げ要求状況(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省が実施した令和7年(2025年)の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、労働組合がある企業の割合は22.0%で、前年の24.5%から減少した。労働組合を持つ企業のうち、賃上げ要求交渉が「あった」と回答した割合は78.3%に達し、前年の80.2%からわずかに減少したものの、依然として高水準を維持している。賃上げ要求の動きは大企業を中心に強く見られ、中小企業では交渉の実施率に開きがある。


厚生労働省は2025年、「賃金引上げ等の実態に関する調査」を通じて、労働組合による賃上げ要求交渉の現状を明らかにした。今回の調査は、全国の常用労働者100人以上を雇用する民間企業を対象に実施され、労使交渉の有無やその割合を詳細に把握している。結果からは、国内企業の賃上げ交渉が引き続き活発である一方、労働組合の組織率低下が進んでいる実態も浮かび上がった。

令和7年における労働組合のある企業の割合は全体の22.0%で、前年の24.5%から2.5ポイント減少した。企業規模別にみると、5,000人以上の大企業では74.6%が労働組合を有しており、依然として高い水準を維持している。一方、100〜299人規模の企業では15.7%にとどまり、規模が小さくなるほど労働組合の設置率が低下する傾向が見られた。この結果は、国内の労働組合組織率の長期的な減少傾向を反映していると考えられる。

労働組合がある企業における「賃上げ要求交渉があった」と回答した割合は78.3%で、前年の80.2%からわずかに減少したものの、依然として高い比率を示している。特に大企業では、5,000人以上の企業の91.1%、1,000〜4,999人規模の企業の89.1%が交渉を実施しており、賃上げ要求が恒常的な経営課題となっていることがわかる。

中規模企業(300〜999人)では84.8%が交渉を行っており、前年の水準(約85%)とほぼ同等で推移した。一方、100〜299人規模の中小企業では70.1%にとどまり、前年の約74%から減少している。この規模の企業では、労働組合自体の存在率が低いことに加え、経営体力の制約から賃上げ要求への対応が難しい現実が背景にあるとみられる。

また、「賃上げ要求交渉がなかった」と回答した企業は全体で18.1%(前年15.6%)とやや増加した。特に小規模企業では26.4%が「交渉がなかった」と回答しており、労働条件の改善が必ずしも組合交渉を通じて行われていない現状が浮き彫りになった。

労働組合がない企業の割合は全体の78.0%を占めており、前年の75.5%から増加した。これは、労働組合を設置しない企業が増えていることを示しており、非組合企業での労使協議や賃金改定の在り方が今後の課題となっている。中でも、サービス業や小売業などでは個別の人事評価制度や経営判断に基づいて賃金を改定するケースが多く、組織的な交渉体制の整備が進んでいない。

大企業では春闘(春季労使交渉)を中心に組合交渉が制度化されており、労働組合側からの要求が企業の経営計画や業績見通しに大きな影響を及ぼしている。特に製造業では、景気回復と人手不足の影響を受け、前年を上回る水準で賃上げ要求が行われた。一方、非製造業では業績の回復が遅れており、賃上げ要求が抑制的である傾向が見られる。

調査結果はまた、賃上げ要求の存在が企業の実際の賃金改定にも一定の影響を与えていることを示唆している。労働組合がある企業の平均賃金改定率は4.8%と高く、労組のない企業の4.0%を上回っており、交渉の有無が改定幅に反映されていることが分かる。こうしたデータは、労使間の対話が賃金上昇を促す重要な要素であることを示している。

一方、労働組合の組織率が低下している現状は、企業間の賃金格差拡大や労働条件の不均衡にもつながりかねない。厚生労働省は、今後も賃金交渉の実態を継続的に把握し、労使の協調を促す施策を検討するとしている。政府はまた、労使間の建設的な対話を支援する仕組みや、中小企業における労使協議制度の普及促進を重視している。

労働組合による賃上げ要求は、単なる給与交渉にとどまらず、働く人々の生活安定と企業の持続的成長を両立させる上で重要な役割を果たしている。特に物価上昇と人材不足が続く中、労使双方が協力して賃金改善に取り組む姿勢が、今後の日本経済の安定に直結するといえるだろう。

この記事の要点

  • 労働組合がある企業の割合は22.0%で前年より減少
  • 労組あり企業の78.3%で賃上げ要求交渉が実施
  • 大企業では交渉率91.1%、中小企業では70.1%にとどまる
  • 労組なし企業は全体の78.0%で増加傾向
  • 賃上げ交渉が賃金改定率に影響、労組あり企業の改定率は4.8%
  • 労使協調による賃上げが経営の安定に寄与

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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