労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和6年度 建設業の「4週8休」実施率28.6%に上昇、休日確保が着実に進展

2025年11月6日

労務・人事ニュース

令和6年度 建設業の「4週8休」実施率28.6%に上昇、休日確保が着実に進展

エラー内容: Bad Request - この条件での求人検索結果表示数が上限に達しました

Sponsored by 求人ボックス

求人情報が見つかりませんでした。

「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和6年度)」の結果を公表 ~建設企業の休日の取得状況等について集計~(国交省)


この記事の概要

国土交通省は令和7年10月14日、「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和6年度)」の結果を公表した。この調査は、建設業における休日の取得状況や工期設定の実態を把握し、働き方改革を促進する目的で実施されたものである。結果によると、技術者の「4週8休」実施割合は28.6%(前年度比7.4ポイント増)、技能者は29.4%(同3.6ポイント増)と改善傾向が見られた。また、民間発注工事における契約変更条項の導入も進展している。


国土交通省は2025年10月14日、建設業の働き方改革を推進するために実施した「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和6年度)」の結果を発表した。この調査は、建設現場における工期設定や休日の取得状況、契約条件の適正化などを通じて、建設業界における労働環境の改善状況を明らかにすることを目的として実施されたものである。調査対象は、建設業法に基づく届出団体116団体に所属する建設企業(1,602社)および不動産、運輸、住宅業界などの民間発注企業(66社)であり、調査時点は令和7年1月1日現在(令和5年12月以降に請け負った工事)である。

調査結果によると、建設企業における休日の取得状況は前年に比べて改善が進んでいることが分かった。特に、「4週8休」とする企業の割合は、技術者で28.6%(前年度比7.4ポイント増)、技能者で29.4%(同3.6ポイント増)と、いずれも上昇傾向を示した。一方で、最も多かった回答は「4週6休程度」であり、現場の業務量や工期の制約から完全な週休二日制の実現にはまだ課題が残ることも明らかになった。

残業時間に関しては、月平均で「45時間未満」と回答した企業が、技術者で86.6%、技能者で88.9%に達した。これは、時間外労働の削減に向けた各社の取り組みが一定の成果を上げていることを示している。特に、労働時間の上限規制が適用される2024年度以降、建設業界全体での労働時間管理の意識が高まりつつあり、現場レベルでも効率的な業務運営や週休確保の工夫が進められている。

また、民間発注者に対しては、物価変動や資材高騰への対応状況も調査された。その結果、「物価変動に対応する契約変更条項がある」と回答した発注工事の割合は66.1%で、前年度から10.9ポイント増加した。さらに、実際に受注者と契約変更の協議を行った発注者は75.5%にのぼり、こちらも前年から9.2ポイントの上昇となった。これにより、建設コスト上昇に対して発注者側が柔軟に対応し始めていることがうかがえる。

国土交通省では、これらの結果を踏まえ、建設業の働き方改革をさらに加速させる方針を示している。特に注目されるのは、適正な工期設定の推進である。これまで、厳しい納期や短期間の工事が長時間労働の一因とされてきたが、今後は受発注者間での協議を通じて、現実的かつ安全性を確保したスケジュール設定が求められる。また、発注者が工期やコスト面で柔軟な姿勢を示すことで、建設現場の過重労働抑制につながると期待されている。

調査では、休日確保や残業削減に向けた企業の取り組みも報告された。多くの企業で「週休二日制導入」や「交代勤務の拡充」「工事スケジュールの見直し」などが進められており、若年層や女性技術者の定着促進にもつながっている。これにより、建設業界における人材確保・育成の基盤が徐々に整備されつつある。

一方で、技能者の高齢化や中小企業の人員不足といった構造的課題も残る。特に中小規模の建設会社では、現場の人手不足が深刻化しており、休日取得や残業削減を進めるための体制整備が遅れている現状がある。そのため、国は今後、中小企業への支援策や技術革新を通じた生産性向上を重点的に支援していく方針だ。

今回の調査結果は、建設業が「働きやすい職場環境」を実現するために着実に前進していることを示すものである。週休二日制の定着、残業時間の短縮、発注者との協力体制の強化といった動きが業界全体で広がりつつあり、今後の建設業界の持続的な発展に向けた重要な指標となる。国土交通省は引き続き、業界団体や企業と連携し、建設現場の働き方改革を支援していくとしている。

この記事の要点

  • 技術者の「4週8休」実施率は28.6%、技能者は29.4%で改善傾向
  • 最も多い勤務形態は「4週6休程度」
  • 月平均残業時間45時間未満の企業は技術者86.6%、技能者88.9%
  • 物価変動対応の契約変更条項を導入した発注工事は66.1%
  • 契約変更協議を行った発注者は75.5%で前年度比9.2ポイント増
  • 国交省は適正工期設定と中小企業支援を強化

技能者の休日取得率29.4%、建設現場で働き方改革が進展

国土交通省が公表した「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和6年度)」は、建設業における労働環境改善と工期管理の実態を明らかにするため、全国1,602社の建設企業を対象に実施された。この調査は、令和7年1月1日時点のデータをもとに行われ、主に令和5年12月以降に請け負った工事を対象としている。

調査結果によると、技能者・技術者の休日取得状況は前年度よりも明確に改善しており、「4週8休」を実現している企業が増加した。技術者では28.6%と前年度比7.4ポイント増、技能者では29.4%と3.6ポイントの上昇を記録した。一方で、最も多い勤務形態は依然として「4週6休程度」であり、完全な週休二日制の定着にはまだ課題が残る。

現場閉所(現場の完全休業)については、「4週8閉所」を提案した企業が前年より8.5ポイント増加し42.3%となったが、実際に達成できた企業は6.6ポイント増加したものの、全体の約3割にとどまった。公共工事では導入率が53.9%と高い一方、民間工事では10.8%と低く、発注者の意識や契約条件による差が大きいことがわかる。

時間外労働の削減についても前向きな結果が示された。技術者の月平均残業時間が45時間未満である企業は86.6%と前年度より1.4ポイント増加した一方、技能者では88.9%と高水準を維持しつつも前年度より2.1ポイント減少した。これは、技能者不足や現場の人員制約により、依然として長時間労働を余儀なくされるケースがあることを示唆している。

工期設定の実態に関しては、発注者との協議のあり方に改善傾向が見られた。全体の約6割の企業が「注文者と協議し、要望が概ね受け入れられている」と回答しており、受発注者間の対話が以前より進んでいる。特に下請企業では、「協議を行い、要望が受け入れられることが多い」とする割合が前年度より6.6ポイント増加しており、取引の公平性が徐々に高まっている。

最終的な工期の妥当性については、「妥当な工期」と回答した企業が全体の約7割にのぼったが、下請企業の中には「短い」または「著しく短い」と回答する割合が高く、請負階層による温度差が依然として存在する。工期変更の理由として最も多かったのは「関連工事との調整」であり、次いで「悪天候・自然災害」「人手の確保難航」が挙げられた。

また、資材価格高騰への対応についても改善がみられる。契約書に「物価変動に対応する契約変更条項」があると回答した企業は60.2%で、前年から10.2ポイント増加した。実際に契約変更の協議を行った企業は全体の約40%に達し、そのうち実際に変更に至った企業は約20%だった。特に元請企業では契約変更条項を有する割合が47%を超えており、受発注関係の中で価格変動リスクへの意識が高まりつつある。

一方で、調査では課題も浮き彫りになった。ICT(情報通信技術)の活用が進んでいない現状が指摘され、施工現場で「ICTを活用していない」と回答した企業は約74%に上った。特に下請企業や民間工事中心の事業者でこの傾向が強く、「ICT活用のための人材不足」(43.7%)や「費用対効果が不明」(41.6%)が導入の障壁となっている。また、書類業務の効率化についても、「簡素化に取り組んでいる」と回答した企業が56%に達したものの、実際に削減が進んでいるのは26%にとどまった。

さらに、2024年6月に改正された建設業法に関する認知度については、全体の8割以上が「改正を認識している」と回答したが、小規模企業では4割以上が「知らない」と回答しており、情報共有の偏りが明らかになった。大規模企業では「人材の確保・育成」を通じて時間外労働の是正に積極的に取り組む姿勢が見られる一方、小規模企業では「生産体制の最適化」など、現場レベルでの効率化に重点を置く傾向が強い。

国土交通省は今回の調査を通じて、建設業における働き方改革が確実に前進している一方で、ICT活用や中小企業への支援、法制度の周知といった課題が残されていると指摘している。今後は、発注者と受注者の協働体制をさらに強化し、適正な工期設定と現場の生産性向上を両立させる仕組みづくりが求められるとしている。

参考:概要(建設企業)(PDF)

民間発注者の6割が「工期を長く設定」へ、適正工期化が進展

国土交通省が実施した令和6年度「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」は、建設業界における労働環境の改善や生産性向上を図るため、発注者と受注者の実態を調査したものだ。調査対象は、電気、鉄道、住宅、不動産業界などの民間発注企業66社(有効回答59社)で、令和7年1月1日時点、令和5年12月以降に請け負った工事を基準に分析が行われた。

今回の調査結果から、発注者側でも働き方改革を意識した「適正な工期設定」の取り組みが進みつつあることが確認された。「令和5年12月以前と比較して、長い工期の発注が増えた」と回答した発注者は60.8%に達し、過密なスケジュールによる過重労働を避ける動きが広がっている。一方で、「短い工期が増えた」と回答した企業はわずか6.8%にとどまり、工期に余裕をもたせる傾向が定着しつつあることがうかがえる。

ただし、現場での休日確保は依然として課題が残る。4週8閉所、すなわち完全週休二日制を確保できた現場は全体の3割弱にとどまり、多くの現場では「4週6閉所」または「4週7閉所」程度にとどまっている。これは、工期延長に対するコスト負担や発注側の理解不足が依然として影響しているとみられる。

工期の変更状況に関しては、発注者側の都合で工期変更や一時中止を行った企業が全体の33.3%を占めた。受注者側から工期変更を申し出た理由として最も多かったのは「人員の確保難航」で61.1%に上り、前年から10ポイント増加している。この結果からも、建設現場における人材不足が深刻な課題となっていることがうかがえる。

一方で、発注者の多くは工期設定時に「休日や法定外労働時間、週休二日の確保」および「天候や自然要因」を重視している。具体的には、81.4%の発注者が休日確保を考慮し、78.0%が自然要因を工期に反映させていると回答した。こうした意識の高まりは、労働環境改善への理解が徐々に広がっていることを示すものの、実際の現場で十分に反映されるまでにはまだ時間を要する。

さらに、「適正工期を確保するために必要なこと」として、7割以上の発注者が「発注者自身の施工に関する理解の向上」を挙げた。これは3年連続で最も多い回答であり、工期設定の適正化を進めるうえで、発注側の知識や理解が重要な要素であることが改めて浮き彫りとなった。また、7割以上の発注者が「受注者が必要な工期を説明すること」や「発注者が施工条件を明確に示すこと」を重要と考えており、受発注者間のコミュニケーションの強化が今後の鍵になるといえる。

調査では、物価上昇や資材費高騰への対応状況についても分析された。価格転嫁ルールを「認知している」と回答した発注者は9割を超え、建設企業側の約6割に比べて高い認知率を示した。また、物価変動に対応する契約変更条項がある発注工事の割合は66.1%に上り、前年より10.9ポイント増加した。実際に契約変更協議を行った発注者は75.5%に達し、前年から9.2ポイント増加している。さらに「全て契約変更に応じた」と回答した企業は27.0%で、こちらも前年より3.4ポイント上昇した。これらの結果から、発注者の間でもコスト上昇を受けた柔軟な対応が広がっていることが明らかとなった。

国土交通省では、今回の調査結果を踏まえ、発注者が適正な工期設定と価格転嫁ルールの運用をより一層進めることが、建設業全体の働き方改革につながると分析している。特に、週休二日制の確保と現場閉所の徹底は、技術者や技能者の定着に直結する重要な施策である。また、労働時間の削減や休日取得の推進は、若手人材の確保にもつながると期待されており、採用や定着に悩む企業にとっても注目すべき動きだ。

今後は、発注者と受注者がより密に協議し、現場実態を踏まえた工期設定を行うことが求められる。また、価格変動リスクを共有し、契約の透明性を高めることが、持続可能な建設業界を実現する鍵となる。今回の調査は、働き方改革の成果と課題を浮き彫りにしただけでなく、建設業の次なる改革の方向性を示す重要な一歩となった。

参考:概要(発注者)(PDF)

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ
パコラ通販ライフ
PR記事作成サービス受付フォーム