2025年11月10日
労務・人事ニュース
全国7割が災害に不安、内閣府調査で明らかになった防災意識の実態
- 臨床検査技師/中央区/福岡県
最終更新: 2025年11月9日 11:00
- 常勤・医療業界の看護師/残業なし/即日勤務可
最終更新: 2025年11月9日 09:34
- シフト訪問看護のお仕事/看護師/残業なし/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年11月9日 09:34
- 診療放射線技師/福岡県/中央区
最終更新: 2025年11月9日 11:00
世論調査報告書概略版(速報)(令和7年10月17日掲載)(内閣府)
この記事の概要
内閣府が令和7年8月に実施した「防災に関する世論調査」では、国民の防災意識や災害時の行動、地域での備えの状況などが明らかにされた。調査は全国規模で行われ、自然災害への不安や避難行動の実態、家庭での備蓄状況など多角的に分析されている。結果からは、災害への関心は高い一方で、実際の備えには地域差や年齢差が見られ、今後の防災教育や政策強化の必要性が浮き彫りになった。
内閣府が実施した「防災に関する世論調査」は、全国の国民を対象に、災害に対する意識や行動の現状を把握するために行われた。この調査は令和7年8月に実施され、地震や豪雨、台風など自然災害が多発する日本において、国民一人ひとりの防災意識を高めることを目的としている。日本では毎年のように大規模な自然災害が発生しており、被害を最小限に抑えるためには、行政の対応だけでなく、個人や地域の備えが極めて重要とされている。
調査結果によると、災害に「不安を感じている」と回答した人は全体の約7割に上り、その中でも特に地震に対する不安が最も高く、続いて台風、豪雨、洪水の順で関心が高いことが示された。過去の災害経験がある人ほど防災意識が高い傾向が見られ、自宅での備蓄や避難経路の確認など具体的な対策を取っている割合も高かった。一方で、災害の経験が少ない若年層や都市部の住民では、災害時の行動に不安を感じながらも、実際に備蓄を行っている人は4割程度にとどまっている。
家庭での備えに関しては、水や食料を3日分以上備蓄していると答えた人が全体の約45%であり、前回調査から微増しているものの、依然として過半数には達していない。また、避難所の場所を把握していると回答した人は約62%で、地域防災訓練に参加した経験のある人はおよそ3割にとどまっていた。これらの結果は、災害への意識は高まりつつあるが、行動に結びついていない層が一定数存在することを示している。
防災教育の面では、学校や企業での訓練実施が重要視されている。特に企業においては、従業員の安全確保と業務継続計画(BCP)の策定が求められており、今回の調査では企業の約60%が何らかの形で防災マニュアルを整備していると回答した。しかし、中小企業では十分な訓練体制が整っていない例も多く、地域や業種によって格差があることが課題として浮かび上がった。
また、調査では「地域コミュニティのつながり」が防災力に直結することも確認された。近隣との交流があると答えた人ほど、災害時に助け合う意識が高く、避難時の行動もスムーズであることが分かっている。特に高齢者や一人暮らし世帯では、地域の支え合いが命を守る鍵となるため、行政は「共助」の仕組みづくりを重点的に進めている。
一方、情報伝達手段については、テレビやラジオに加えてスマートフォンの防災アプリやSNSを活用する人が増加している。特に若年層では、防災情報をSNSで得ている割合が全体の約55%に達しており、デジタル化された情報提供の重要性が高まっている。内閣府は今後、自治体や通信事業者と連携し、災害時により迅速で確実な情報を届ける体制の強化を進める方針だ。
調査結果を踏まえ、政府は引き続き防災啓発活動を推進し、全国の防災教育の質を高めるとともに、地域ごとの防災力を底上げする取り組みを拡充していく。特に災害時の避難支援、要配慮者への対応、そして企業の事業継続対策など、多方面での防災体制の強化が求められている。災害が多発する日本において、防災は一部の人だけの課題ではなく、すべての国民が関わるべき社会的テーマである。
この世論調査は、国民の意識の変化を的確に把握し、今後の政策形成に生かすための重要なデータとなっている。自然災害の脅威が増す中で、国民一人ひとりが備えを見直し、地域とともに命を守る意識を高めることが今、何よりも求められている。
この記事の要点
- 災害への不安を感じる人は全体の約7割に達している
- 家庭で3日分以上の備蓄をしている人は約45%
- 避難所の場所を把握している人は約62%
- 地域防災訓練に参加した人は約3割にとどまる
- 企業の約60%が防災マニュアルを整備済み
- 若年層の55%がSNSから防災情報を取得している
- 地域のつながりが防災力向上の鍵となる
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


