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2025年11月10日

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経済産業省が新組織BATON設立、蓄電池人材育成で世界市場競争に挑む

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蓄電池の製造能力確保に必要な蓄電池に係る人材の育成・確保のために、バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)を設立しました(経産省)


この記事の概要

経済産業省は、国内の蓄電池製造能力を強化するために必要な人材の育成と確保を目的として、新たに「バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)」を設立した。これまで関西地域の高校や高等専門学校で進めてきた教育モデルを全国および大学へ拡大し、産業界と教育機関、行政が連携して人材育成を加速させる。BATONは、脱炭素社会やデジタル社会を支える次世代人材を育てる基盤として位置づけられている。


経済産業省は2025年10月14日、蓄電池産業に関わる人材の育成と確保を全国的に推進するため、新たな枠組みとして「バッテリー先進人材普及ネットワーク(BATON)」を発足させた。近年、電動車や再生可能エネルギーの普及に伴い、蓄電池の需要が急速に拡大している。政府は2022年に策定された「蓄電池産業戦略」に基づき、国内の製造能力を世界水準に引き上げることを目標に掲げており、その実現には高度な技術を持つ人材の育成が不可欠とされている。

BATONは、これまで関西地域で実施されてきた「産学官連携による教育プログラム」を全国規模に拡大するものだ。この教育モデルは、蓄電池関連産業が集積する地域の高校や高等専門学校を中心に試験的に導入されてきたものであり、製造現場で必要とされる技能や、設計・評価に関する基礎知識を体系的に学ぶことができる内容となっていた。その成果が高く評価されたことから、他地域や大学からも同様の教育プログラムを導入したいという要望が相次ぎ、今回の全国展開につながった。

新たに設立されたBATONでは、全国の教育機関と産業界が協力し、脱炭素社会やデジタル産業を支える次世代の専門人材の育成を目指す。BATONという名称には、「バトン=次世代につなぐ」という意味が込められており、技術と知識を次の世代へ引き継ぐという象徴的な意図が表されている。今後は、全国の高校や大学がこのネットワークを通じて連携し、各地域の産業ニーズに応じた教育カリキュラムを共同で開発・運用していく予定である。

BATONの活動は、教育普及プログラムの全国普及を担う委員会と、大学における専門教育を推進する委員会の2つの軸で運営される。前者では、高校や高専を中心に、蓄電池の製造工程や安全管理、リサイクル技術など、基礎から応用までを網羅した教材を整備し、教育現場での実践的な授業に活用していく。後者では、大学や研究機関との協力により、材料工学、電気化学、AI制御技術などの先端分野を統合した教育プログラムを設計することで、より高度な専門知識を持つ人材の育成を進めていく。

これらの取組を支えるのが、産業界と教育機関、そして行政の三者連携である。特に、国内の電池メーカーや自動車関連産業が教育現場に講師を派遣したり、実習設備を提供したりするなど、実践的な教育支援が想定されている。こうした産学官連携によって、教育内容の質を高めると同時に、学生が実際の製造現場で求められるスキルを早期に身につけることができるようになる。

さらに、BATONは人材育成だけでなく、地域経済の活性化にも貢献することが期待されている。全国各地に蓄電池関連の製造拠点が整備される中で、地方における技術人材の需要が急増している。ネットワークを通じて地域間の教育リソースを共有し、地方の教育機関でも高水準の技術教育を受けられるようにすることで、産業の分散型発展と地方創生の両立を目指す。

蓄電池は、カーボンニュートラル社会の実現に欠かせない基盤技術である。電動車や再生可能エネルギーの普及に伴い、2030年までに世界の蓄電池市場は現在の約5倍に拡大すると予測されている。その中で、日本が国際競争力を維持・強化するためには、製造力の拡充とともに、技術を支える「人づくり」が急務である。今回のBATON設立は、その実現に向けた重要な一歩といえる。

経済産業省は、今後も教育機関や産業界と連携しながら、蓄電池分野における人材育成を国家戦略として位置づけ、世界をリードする技術立国の実現を目指していく考えを示している。

この記事の要点

  • 蓄電池製造能力確保に向けて人材育成を目的とするBATONを設立
  • 関西地域の高校・高専で実施していた教育モデルを全国・大学に拡大
  • 教育普及プログラムと大学教育推進の二本柱で運営
  • 産業界・教育機関・行政が連携して人材育成を推進
  • 地域間連携により地方の技術教育も強化
  • 脱炭素社会・デジタル社会を支える人材の育成を加速

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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