補助金・助成金, 労務・人事ニュース

令和7年 二本松市ＬＥＤ照明設備導入支援事業補助金

福島県二本松市では、原油価格の高騰や物価上昇による影響を受けて厳しい経営環境にある中小企業や小規模事業者を支援するため、「二本松市LED照明設備導入支援事業補助金」の申請受付を開始した。これは、市内事業者が実施するLED照明設備の導入を通じて、経営効率の改善と温室効果ガス排出の削減を同時に進めることを目的とした取り組みである。省エネルギー化による電力コストの削減はもちろん、環境負荷の軽減にもつながることから、持続可能な経営を目指す事業者にとって注目すべき制度となっている。

この補助金は、市内に主たる事業所を構え、1年以上にわたり商工業を営む中小企業者などが対象で、申請時に市税の滞納がないことが条件となる。補助の対象となるのは、据付型の従来照明をLED照明へ交換する工事であり、電球のみの取り替えや自社施工、既存のLED照明の交換などは対象外とされている。また、工事は市内の施工業者によるものであることが求められており、地域経済の循環にも配慮された制度設計となっている。

補助率は補助対象経費の3分の2以内で、上限は1事業者あたり50万円。複数店舗を所有している事業者でも、申請は年度内に1回限りとされている。補助対象経費には、LED照明設備の設置費用や既存設備の撤去費が含まれるが、消費税や人件費、手数料などの経費は補助の対象外となる。予算総額は1,500万円であり、2025年10月14日時点での残額は1,066万円。予算がなくなり次第、募集は終了するため、早めの申請が推奨されている。

事業の実施期間は2026年3月31日までと定められており、この日までに工事を完了する必要がある。補助の申請は、必要書類を揃えたうえで二本松市産業部商工課の窓口に持参して提出する方式となる。郵送や電子申請には対応していないため、申請を検討する事業者は時間に余裕を持って手続きを進めることが重要だ。受付期間は2025年10月14日から2026年1月30日までで、土日祝日を除く平日の8時30分から17時まで受け付けている。

申請内容は市が審査を行い、必要に応じて現地調査を実施した上で交付決定が通知される。交付決定前に着手した工事や支出は補助対象外となるため、必ず決定通知を受け取ってから工事を開始する必要がある。交付決定後に内容を変更する場合は、事前に市への連絡と変更申請が必要とされており、手続きの厳格さが求められる点も特徴だ。

事業完了後は、完了日から14日以内に実績報告書を提出しなければならない。報告には、領収書や請求書の写し、施工後の写真、振込口座の写しなどの添付が必要で、報告書類の内容に基づいて最終的な補助金額が確定する。確定後、交付請求を行うことで補助金が振り込まれる流れとなる。市ではこのプロセス全体を通じて透明性を重視しており、不正な申請や補助金の目的外使用に対しては厳しい対応を取る姿勢を示している。

また、この補助金の交付を受けた設備は、耐用年数の期間中は原則として市の承認なしに譲渡や貸与などを行うことができない。補助金の交付目的に反する使用が確認された場合は、補助金の返還を求められる場合もある。補助事業者には、収支を明らかにする帳簿や書類を整備・保存する義務も課されており、適正な管理体制の構築が求められる。

なお、過去に同様の補助を受けた事業者でも、今回は別の店舗や事業所で新たにLED照明への交換を行う場合には申請が可能とされている。一方で、新たに創業する事業者や、主として農業、医療、福祉、公益事業などを営む法人、NPO法人などは補助の対象外である。

二本松市では、今回の補助金制度を通じて、地域内の中小企業の経営改善と省エネルギー化の両立を目指している。LED照明は、従来の蛍光灯や白熱灯に比べて消費電力が少なく、長寿命であるため、電気料金の削減やCO₂排出量の抑制に大きな効果をもたらす。市は、この取り組みが地域全体の脱炭素化と持続可能な社会の実現に貢献することを期待している。

エネルギーコストの削減は経営安定化に直結するだけでなく、環境対策への積極的な姿勢を示すことにもつながる。企業イメージの向上やSDGsへの対応としても効果的な施策であり、補助金を活用することで初期投資の負担を抑えながら導入を進めることができる。市内事業者にとっては、経営改善と環境配慮の両面で価値のある機会といえるだろう。

⇒ 詳しくは二本松市のWEBサイトへ