補助金・助成金, 労務・人事ニュース

令和7年 長野市 商店街魅力アップ支援事業

長野市は、市内の商店街が持つ個性と魅力を活かし、地域のにぎわい創出を支援するため「商店街魅力アップ支援事業」を実施している。この制度は、商店街団体が自らのアイデアと創意工夫をもとに実施する販売促進や地域活性化の取り組みに対し、経費の一部を補助するものである。長野市では、商店街が地域経済の中心であり続けるための支援策として、地域商業の再生や新たな顧客層の開拓を促進することを目的としている。

補助の対象となるのは、長野市内で活動する商店街団体であり、個々の店舗ではなく、地域全体でまとまって実施する取り組みが求められる。対象事業には、商店街の特性や課題に応じたさまざまな取り組みが含まれており、特に地域の実情に合った「自発的で持続可能な活動」が評価される。

主な対象事業のひとつは「個店強化を図る事業」で、100円商店街、まちゼミ、バルイベントなど、店舗の集客力を高めるためのイベントが該当する。これらの取り組みは、地域の店舗が協力して新しい来街者を呼び込み、商店街全体の売上向上や認知度拡大を目指すものである。特に「まちゼミ（まちのゼミナール）」は、市民が商店主から専門的な知識や技術を学ぶ形式の無料講座として全国的に広がりを見せており、長野市でも人気の事業として定着している。

次に、「付加価値創出事業」として、オープンカフェの設置や高齢者・子育て世代に配慮した新サービスなども補助対象となる。たとえば、買い物中の子ども一時預かりスペースの設置や高齢者の買い物代行サービス、地域ブランドの立ち上げなど、商店街の新しい価値づくりにつながる活動が支援される。これらの事業は単なる販売促進にとどまらず、地域住民の利便性向上や世代を超えた交流を促す点でも意義が大きい。

また、「空き店舗等活用事業」も重要な支援対象の一つとなっている。長野市中心部では、空き店舗の増加が商店街の活力低下につながる懸念があるため、チャレンジショップやアンテナショップ、不足業種の誘致などを通じて、新たな商業機能を生み出す取り組みが奨励されている。この場合、補助の条件として、活用する空き店舗を2年以上継続して店舗として運営することが求められる。短期的な利用ではなく、地域の持続的な発展を視野に入れた計画的な出店が前提となる。

補助の対象となる経費は幅広く設定されており、報償費、広告宣伝費、備品購入費、改修費、デザイン費などが含まれる。ただし、賃金および備品購入費については、それぞれ対象経費全体の20％以内に制限されている。補助率は対象経費の2分の1で、上限額は単独事業が30万円、複数商店街による共同実施の場合は60万円となる。商店街同士の連携を促すため、共同事業への補助額を高める設計となっている点も特徴的だ。

同一の事業については、原則1回限りの補助とされているが、実施後の検証結果を踏まえて改善を加えた再実施であれば、通算3回まで（1年度1回限り）補助を受けることが可能となっている。これは、継続的な取り組みを評価する仕組みであり、単発的なイベントではなく、地域ブランドとして定着するような取り組みを支援する意図がある。

補助金の交付を受けるためには、事業開始前に必ず申請手続きを行う必要があり、交付決定前に事業を実施した場合は補助対象外となる。申請時には、事業計画書、収支予算書、見積書、団体の概要書などを提出し、審査を経て採択が決定する。申請から交付決定までは一定の期間を要するため、早めの準備が推奨されている。

長野市では、商店街の活性化を地域経済の中核施策と位置づけており、本補助金を通じて、商業と地域住民のつながりを再構築することを目指している。人口減少や消費行動の変化により、商店街が直面する課題は多様化しているが、こうした支援制度を活用することで、商店街が再び地域のコミュニティ拠点としての役割を果たすことが期待されている。特に、デジタル技術を活用した販売促進や、地域資源と連携した観光誘致型の商店街づくりなど、新たな挑戦への応用も期待される。

市の担当部署では、申請希望団体からの事前相談を随時受け付けており、補助対象経費や採択基準などについて丁寧なサポートを行っている。商店街団体にとって、この支援制度は、地域に新たなにぎわいを生み出し、持続的な経営基盤を築くための大きな後押しとなるだろう。

⇒ 詳しくは長野市のWEBサイトへ