2025年11月14日
労務・人事ニュース
精神障害者保健福祉手帳154万人超、前年比7.6%増―令和6年度衛生行政報告例
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令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況 精神保健福祉関係(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省が発表した「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況(精神保健福祉関係)」によると、精神保健医療の現場では依然として多くの課題が浮き彫りとなっている。申請通報届出数は26,246件で前年より0.6%減少し、措置入院患者数も1,349人と2.1%減となった。一方で、精神障害者保健福祉手帳の交付台帳登載数は154万7,433人と前年度比7.6%増加し、支援対象者の拡大が進んでいる。
厚生労働省がまとめた令和6年度の精神保健福祉分野の報告によれば、全国の精神保健医療の動向には改善と課題が混在している。まず、「精神障害者申請通報届出数」は26,246件で、前年度から157件(0.6%)減少した。一般市民や警察官などからの通報が減少傾向にあることは、地域における早期発見や相談体制の定着が進んでいる可能性を示しているが、一方で深刻なケースの把握が遅れる懸念もある。「申請通報届出のあった者のうち診察を受けた者」は9,745人で、前年より210人(2.1%)減少しており、受診率の改善が今後の課題として浮かび上がった。
「措置入院患者数」は1,349人で前年より29人(2.1%)減少した。人口10万人当たりの患者数も1.1人と前年と同水準で推移している。医療保護入院の届出数は18万833件で、前年より4,306件(2.3%)減少した。強制的な入院措置の減少は、地域精神医療の充実や患者の社会復帰支援が進展していることを示す一方、家族や医療機関の支援体制にさらなる整備が求められている。
注目すべきは、精神障害者保健福祉手帳の交付台帳登載数である。令和6年度末時点で154万7,433人に達し、前年から10万9,340人(7.6%)増加した。人口10万人あたりでは1,249.9人と、令和2年度からの5年間で約1.3倍に増加している。等級別にみると、1級は13万9,406人(1.9%増)、2級は89万7,292人(7.2%増)、3級は51万735人(10.0%増)と、特に軽症・中等症層の増加が顕著である。この背景には、メンタルヘルスへの社会的理解が広まり、手帳を活用した就労支援や福祉サービスの利用が浸透してきたことがある。
さらに、精神保健福祉センターにおける相談活動の実態も報告されている。令和6年度の相談延べ人員は81,615人に上り、前年を上回る水準を維持している。主な相談内容の内訳では、「社会復帰」が2万958人(25.7%)と最も多く、「心の健康づくり」が1万1,040人(13.5%)、「ギャンブル問題」が8,923人(10.9%)と続く。加えて、相談要因の中では「ひきこもり」が2万1,235人(26.0%)と最多であり、次いで「発達障害」が6,680人(8.2%)、「自殺関連」が5,746人(7.0%)を占めた。こうしたデータから、社会的孤立や依存症、発達特性など、地域での支援が求められる分野が広がっていることが明らかになっている。
「ひきこもり」は、7歳から49歳までの者のうち、6か月以上にわたり家庭以外との接触がほとんどない状態を指す。近年、若年層だけでなく中高年層にも広がっており、精神保健福祉センターに寄せられる相談の増加は社会的課題の深刻化を物語る。一方で、自治体や医療機関による「心の健康づくり」事業の充実が進み、早期介入や支援ネットワークの強化が進んでいる点は評価できる。
厚生労働省では、こうした結果を踏まえ、地域における「予防・支援・社会復帰」の一体的な体制づくりを推進している。特に精神障害者保健福祉手帳を活用した就労支援の拡充、ひきこもり支援センターの設置、自治体職員の専門研修などが今後の重点施策として挙げられている。
企業の採用担当者にとっても、この調査結果は重要な意味を持つ。精神疾患を持つ人々の社会参加が進む中、職場におけるメンタルヘルス支援や合理的配慮の実施が今後ますます求められる。働き方改革の一環として、企業内での相談体制整備やストレスチェックの実効性向上など、職場環境の改善が労働力確保に直結する時代に入っている。
この記事の要点
- 申請通報届出数は26,246件で前年より0.6%減
- 措置入院患者数は1,349人で2.1%減少
- 医療保護入院届出数は18万833件で2.3%減
- 精神障害者保健福祉手帳の登載者数は154万7,433人で7.6%増
- 相談延べ人員は81,615人で、「社会復帰」が最多
- ひきこもりに関する相談は2万1,235件と全体の26.0%を占める
- 発達障害・ギャンブル・自殺関連相談も増加傾向
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


