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2025年11月17日

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勤務間インターバル制度を導入した約1,000社の実態から見えた健康経営の効果とは

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資料シリーズNo.294 勤務間インターバル制度の実情 ―厚生労働省「勤務間インターバル制度に関する実態調査」結果の分析―(JILPT)


この記事の概要

勤務間インターバル制度の実態とその効果について、労働政策研究・研修機構が厚生労働省の調査データを基に分析した結果がまとめられた。本制度は労働者の健康と生活の質向上を目的に導入が進められており、その効果と課題について、企業・労働者双方の視点から明らかにしている。


勤務間インターバル制度の導入が国内で進められている背景には、働き方改革に対する国の強い方針がある。特に、2019年4月より制度の導入が事業主の努力義務となったことを受けて、多くの企業がその対応に追われてきた。本制度は、終業から次の始業までに一定の休息時間を確保することを求めるもので、過重労働の防止や従業員の健康保持を目的としている。2024年に厚生労働省が実施した実態調査に基づき、労働政策研究・研修機構が分析した結果から、制度の効果や課題がより具体的に見えてきた。

調査は全国約1,000社の企業および約18,000人の労働者を対象に行われ、その内容は企業と労働者の両側面からアプローチしている。企業調査では、勤務間インターバル制度の導入効果について、従業員本人およびその上司への働きかけが有効であることが確認された。制度が実際に効果を発揮するためには、単に導入するだけではなく、従業員の行動や管理職の理解を促す取り組みが求められることが分かった。また、制度の運用においては、「勤務時間の後ろ倒し」や「翌日の始業前勤務の禁止」など、具体的かつ実効性のある手法を用いることで、労働者の健康維持やワーク・ライフ・バランスの確保に寄与していることが明らかになった。

一方、労働者側の調査からは、制度が適用されている多くの労働者がインターバル時間を確保できている一方で、特に夜勤に従事する労働者においては休息時間が確保されにくいという課題が浮き彫りとなった。また、企業によって制度の適用状況にばらつきがあることも指摘されており、制度を形骸化させないためのルール整備や、実効性ある措置の導入が必要とされている。例えば、インターバルが確保できない場合は就業を認めないとする厳格な運用を行っている企業では、制度の効果が高い傾向にあった。

制度の導入が労働者に与える影響として、特に睡眠時間の確保との関係が注目された。調査によると、勤務間インターバルをしっかりと確保することで、睡眠時間の確保につながり、結果として心身の健康や業務パフォーマンスの向上にも好影響を与える可能性があることが示唆された。ただし、インターバル時間の長さだけでなく、通勤時間、家事や育児、介護などの家庭責任、勤務時間外の仕事連絡や持ち帰り残業なども睡眠時間に大きく影響していることから、制度の効果を最大化するためには、個人ごとの状況にも配慮する必要がある。

政策的な観点からは、勤務間インターバル制度を今後さらに普及・強化するには、企業による具体的な取り組みとともに、勤務時間外における「仕事からの解放」を保障することが重要であるという視点が強調されている。これは単なる制度の導入にとどまらず、職場文化そのものを見直すことにもつながる。働き方改革関連法が施行されて5年が経過した今、今回の調査結果は、今後の法改正の議論や制度設計において極めて重要な基礎資料となると考えられている。

企業にとっては、制度の導入が単に法令順守のためではなく、従業員の定着や生産性向上といった中長期的な経営成果にもつながるという点に注目すべきだろう。特に、人材確保が困難になりつつある昨今において、勤務間インターバル制度を通じた働きやすい職場づくりは、企業の魅力向上にも大きく寄与するものといえる。

この記事の要点

  • 勤務間インターバル制度は2019年から事業主の努力義務となっている
  • 2024年の調査では約1,000社と約18,000人が対象となった
  • 制度導入により労働者の健康や生活の質が向上する傾向が確認された
  • 夜勤従事者ではインターバル時間の確保が難しいという課題がある
  • 企業の明確な制度運用ルールが制度の効果を高める
  • 勤務時間外の仕事からの完全な切り離しが重要である
  • 今後の法改正や政策立案に資する調査結果である
  • 企業にとっては人材確保・定着の施策としても注目される

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ

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