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2025年11月17日

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宿泊・飲食業の離職率は高校卒64.7%・大学卒55.4%と依然高水準(令和4年3月卒業者)

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新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します ~就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者37.9%、新規大卒就職者33.8%~(厚労省)


この記事の概要

厚生労働省は、令和4年3月に卒業した新規学卒者の離職状況について調査結果を公表しました。調査の結果、高校卒業者の離職率は37.9%、大学卒業者では33.8%となり、いずれも前年より改善が見られました。業種や企業規模によって離職率には大きな差があり、若年者の職場定着支援が引き続き重要であることが明らかになりました。


厚生労働省は、令和7年10月24日に、令和4年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況に関する統計を発表しました。調査の結果、高校卒業後に就職した人のうち37.9%、大学卒業後に就職した人のうち33.8%が、就職から3年以内に離職していることがわかりました。これは前年と比較して、それぞれ0.5ポイントおよび1.1ポイントの改善であり、職場定着に向けた取り組みが一定の成果を挙げていることを示しています。

今回の統計では、学歴別だけでなく、企業の規模別や産業別の離職率も明らかにされました。企業規模が小さいほど離職率は高く、従業員が5人未満の企業では高校卒業者で63.2%、大学卒業者で57.5%が3年以内に離職しており、これはいずれも全体平均を大きく上回る数値です。一方で、従業員1,000人以上の大企業では離職率が大幅に低く、高卒で26.3%、大卒で27.0%にとどまっています。この差は、職場環境や福利厚生、教育体制の充実度が影響していると考えられます。

産業別に見ても離職率には大きなばらつきがあり、特に宿泊業や飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業といったサービス業の分野で高い傾向が顕著です。高校卒業者の離職率が最も高かったのは宿泊業・飲食サービス業の64.7%で、次いで生活関連サービス業・娯楽業が61.5%と続いています。大学卒業者でも同様に、宿泊業・飲食サービス業が55.4%、生活関連サービス業・娯楽業が54.7%と高い水準でした。教育・学習支援業や医療・福祉、小売業でも、いずれも4割以上の離職率が見られ、特に人と接する仕事においては職場の環境や働き方に対する課題が依然として存在していることが示唆されています。

このような状況を踏まえ、厚生労働省は「新卒応援ハローワーク」などを通じて、若年者に対する職場定着支援を引き続き強化する方針を示しています。また、離職者に対しても個別に対応した就職支援を行うことで、再就職の機会を広げ、早期離職によるキャリア形成の停滞を防ぐ取り組みを進めています。若年層の早期離職は、企業側にとっても人材育成コストの無駄や組織の安定性に影響を与えるため、雇用する側も定着支援に対する意識を高める必要があります。

特に企業の採用担当者にとっては、こうした統計データは人材戦略を考える上での重要な資料となります。離職率の高い業種や企業規模の特徴を把握し、自社が抱える離職リスクの見直しや、職場環境の整備、入社後のフォローアップ体制の強化といった改善点を見出すことが求められます。また、新卒者が定着しやすい仕組みづくりに取り組むことが、企業ブランドの向上や次世代の優秀な人材の獲得にもつながっていくでしょう。

今回の調査は、就職後の3年間という比較的短い期間に焦点を当てていますが、逆に言えばこの期間のサポートが適切に行われるかどうかが、その後の職業人生に大きな影響を及ぼすことを示しています。若年者の離職を防ぐには、入社直後からの丁寧な対応と、職場との相性を見極める機会の提供、柔軟なキャリアパスの提示など、個々に寄り添った対応が求められます。

この記事の要点

  • 高校卒業者の3年以内の離職率は37.9%で前年比0.5ポイント減
  • 大学卒業者の3年以内の離職率は33.8%で前年比1.1ポイント減
  • 従業員5人未満の企業では高卒で63.2%、大卒で57.5%が離職
  • 従業員1,000人以上の企業では高卒26.3%、大卒27.0%と離職率が低い
  • 宿泊業・飲食サービス業の離職率は高校卒64.7%、大学卒55.4%と高い傾向
  • 厚労省は引き続き若年者に対する職場定着支援を実施予定
  • 新卒応援ハローワークなどを通じた就職支援を強化

高卒者の3年以内離職率は40%前後で依然高水準、大学卒業者は33.8%と3人に1人が3年以内に離職

厚生労働省が公表した新規学卒就職者の「学歴別就職後3年以内離職率の推移」によると、昭和から令和にかけての約40年間で、離職率の水準は学歴によって異なる傾向を見せています。とくに高卒者は一貫して高い離職率を示しており、近年でも40%前後の水準が続いています。これは、就職後の3年間でおよそ5人に2人が離職している計算になります。高校卒業者の離職率は、昭和の後期から平成初期にかけて上昇し、平成10年代後半には47~49%台に達しました。その後、やや改善が見られたものの、令和に入っても36~38%の間で推移しており、依然として高い数値を維持しています。

大学卒業者の離職率は、高卒と比較してやや低いものの、安定して3割を超えています。昭和後期には30%を下回る年もありましたが、バブル崩壊後の平成中期以降は35~40%近くまで上昇しました。直近の令和4年3月卒業者では33.8%と、やや改善傾向を示していますが、依然として3人に1人が3年以内に職場を離れている状況です。短大・専門学校などの卒業者も同様に高い離職率を維持しており、直近のデータではおおむね44%前後の水準となっています。中卒者に関しては、離職率が50%を超える年度もあり、長期的に見ても非常に高い離職傾向が続いています。

これらの統計データは、各年度の卒業生が3年後の6月時点で離職しているかどうかを追跡する形で集計されています。たとえば、平成27年3月卒業者の場合、平成30年6月の段階での離職状況が反映されており、令和5年・6年の卒業者分については令和7年6月時点で把握されています。このような継続的な追跡調査によって、長期的な雇用安定の傾向や景気変動の影響が可視化されており、雇用政策の方向性を定めるうえで極めて重要な資料となっています。

離職率の推移を長期的に見ると、経済状況や労働環境の変化が若年層の定着率に大きな影響を及ぼしていることがわかります。バブル期や好景気の時期には一時的に離職率が低下する傾向がありましたが、景気後退期には再び上昇する傾向が見られます。特にリーマンショック後や新型コロナウイルス感染症の影響を受けた時期には、若者の雇用環境が不安定化し、早期離職が増加しました。一方で、近年は厚生労働省や地方自治体による職場定着支援策、新卒応援ハローワークなどの支援制度が功を奏し、全体的に離職率はやや改善傾向にあります。

離職の背景には、職場環境や賃金条件だけでなく、働き方や価値観の多様化も影響しています。特にZ世代と呼ばれる若年層は、従来の「長期安定雇用」よりも「自分らしく働くこと」や「スキルアップ」を重視する傾向が強く、企業側も採用・育成のあり方を見直す必要に迫られています。早期離職を防ぐには、入社前後のギャップを減らし、職場のメンター制度やキャリア相談体制を充実させることが重要です。さらに、企業文化や価値観の共有を図りながら、若手社員が中長期的にキャリアを描ける環境を整えることが求められています。

参考:別紙1 新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移

令和4年3月卒の高卒就職者の3年以内離職率は37.9%

厚生労働省が公表した「令和4年3月卒業者における新規高卒就職者の離職状況」によると、高校を卒業して就職した人のうち、3年以内に離職した割合は37.9%となりました。これは前年より0.5ポイント低下しており、わずかながら改善傾向が見られます。つまり、高卒で就職したおよそ3人に1人以上が、入社から3年以内に職場を離れている計算です。

事業所の規模別に見ると、従業員が少ない企業ほど離職率が高い傾向が鮮明に表れました。特に5人未満の事業所では63.2%と6割を超え、労働環境の厳しさやキャリア形成の難しさが影響しているとみられます。従業員が5〜29人規模の企業でも54.6%と半数を超えました。これに対し、500人〜999人の中堅企業では29.9%、1,000人以上の大企業では26.3%にとどまり、企業規模が大きいほど職場定着率が高いことが確認されています。

産業別に見ると、離職率が特に高いのは宿泊業・飲食サービス業で64.7%、続いて生活関連サービス業・娯楽業が61.5%、教育・学習支援業が53.6%、医療・福祉が49.2%、小売業が48.3%と続いています。これらの業種は人手不足や労働時間の長さ、給与水準の低さなどの課題を抱えており、若年者の離職が続いている現状が浮き彫りとなりました。反対に、電気・ガス・水道などのライフライン関連業種では27.3%と比較的低く、安定した職場環境が離職抑制に寄与していると考えられます。

地域別データは公表されていませんが、地方部では製造業や建設業などが主な雇用先となるため、産業構造によって離職率が変動する傾向があります。特に、人口減少地域では若年層の転出や都市部への再就職が多く、離職率が高くなりやすいという構造的な要因も指摘されています。

厚生労働省では、新卒応援ハローワークなどを通じて若年者に対する職場定着支援を継続しています。具体的には、入社後のメンタルサポートやキャリア相談、企業とのマッチング改善、離職者への再就職支援など、早期離職防止に向けた多面的な支援策が進められています。特に中小企業に対しては、若手人材の育成や働きやすい環境づくりの支援を強化し、人材の定着を促すことを目的としています。

企業側にとってもこのデータは重要な示唆を含んでいます。若手社員の離職は採用・教育コストの増加やチーム体制の不安定化につながるため、採用段階から職場適応への支援を意識した体制づくりが求められます。近年では、入社前のインターンシップやメンター制度の導入、キャリアパスの明確化など、早期離職防止に向けた施策を導入する企業が増えています。とくに、宿泊業や小売業など離職率が高い業種では、待遇改善やワークライフバランスへの配慮が企業競争力の鍵となっています。

参考:別紙2 新規高卒就職者の離職状況(R4.3卒)

宿泊業・飲食サービス業で離職率55.4%と最も高い

厚生労働省が発表した「令和4年3月卒業者における新規大卒就職者の離職状況」によると、大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に離職した割合は33.8%となり、前年よりも1.1ポイント低下しました。これは改善傾向を示す結果ですが、依然として約3人に1人が3年以内に職場を離れていることを意味します。社会人としてのスタートを切った若者が定着できずに離職する背景には、労働条件のミスマッチや職場環境への適応難、キャリア形成への不安など、複合的な要因があると見られます。

事業所規模別の離職率を見ると、企業の規模によって明確な差が出ています。従業員が5人未満の小規模企業では離職率が57.5%に達しており、半数以上の新卒者が3年以内に職場を離れています。これは高卒の場合(63.2%)に比べるとやや低いものの、非常に高い水準です。従業員が5〜29人の企業でも52.0%と過半数を超えており、30〜99人規模の企業では41.9%、100〜499人規模では33.9%となりました。一方で、従業員が500〜999人の中堅企業では31.5%、1,000人以上の大企業では27.0%と、規模が大きくなるほど離職率は顕著に低下しています。このことから、安定した人事制度や教育体制を整備できる大企業ほど、若者の定着が進んでいる実態がうかがえます。

産業別では、宿泊業・飲食サービス業が最も高く55.4%、生活関連サービス業・娯楽業が54.7%と続きました。次いで教育・学習支援業が44.2%、医療・福祉が40.8%、小売業が40.4%と、サービス業を中心に高い離職率が続いています。これらの業種では、長時間労働や人手不足、賃金水準の課題などが背景にあり、特に新卒者の早期離職が深刻化しています。一方で、製造業では33.9%、情報通信業では31.5%と比較的低く、電気・ガス・水道業に至っては28.8%と安定した職場環境が維持されています。専門職やインフラ関連業種では、業務の継続性や待遇の安定が離職抑制につながっていると考えられます。

この結果を踏まえ、厚生労働省は引き続き若年層の職場定着支援を強化する方針を打ち出しています。新卒応援ハローワークなどを中心に、就職前後の相談支援や職場適応のためのフォローアップを実施し、離職防止に取り組んでいます。また、離職者に対しても再就職支援を行い、キャリアの早期再構築を促進しています。こうした支援は、単に就職率を高めるだけでなく、若者が安心して働き続けられる社会を実現するために不可欠な施策といえます。

企業にとっても、このデータは採用活動や人材育成を見直す上での重要な指標です。離職率が高い業界では、入社後の研修制度の充実やメンター制度の導入、キャリアパスの可視化など、若手社員の成長を支援する取り組みが必要です。また、早期離職の防止には、採用段階からのマッチング精度向上も求められます。学生が「入社後の自分」を具体的にイメージできる採用活動を行うことが、長期的な定着につながります。さらに、企業文化や働き方に柔軟性を持たせ、若手社員がキャリアを描きやすい環境を整備することが重要です。

離職率の改善は、一朝一夕に達成できるものではありませんが、近年のデータからは一定の改善傾向も見られます。とりわけ、働き方改革の推進やリモートワークの普及、企業の意識変化が若年層の定着に良い影響を与え始めています。

参考:別紙3 新規大卒就職者の離職状況(R4.3卒)

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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