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2025年11月18日

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小企業の業況判断DI▲23.9、中小企業は1.1維持―2025年7~9月期の景況足踏み

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全国中小企業動向調査結果(2025年7-9月期実績、2025年10-12月期以降見通し)(日本公庫)


この記事の概要

日本政策金融公庫は、2025年7~9月期の「全国中小企業動向調査」の結果を公表した。調査によると、小企業では業況判断DIが前期比でマイナス幅を拡大し▲23.9となり、景況は持ち直しの動きに足踏みが見られた。一方、中小企業全体ではDIが1.1と低下したものの、依然としてプラス圏を維持し、持ち直し傾向が続いた。今後の見通しでは、小企業は厳しさが残る一方で、中小企業は緩やかな改善が期待されている。


日本政策金融公庫は、2025年10月27日、「全国中小企業動向調査(2025年7~9月期実績・10~12月期以降見通し)」の結果を発表した。調査は2025年9月中旬に実施され、小企業1万社、中小企業1万3,000社余を対象に行われたもので、5,000社以上からの回答を得た。景況判断、売上、採算、資金繰りなど複数の指標をもとに、足元の経営実態と今後の見通しをまとめている。

今回の調査結果では、小企業の景況が再び悪化したことが明らかとなった。小企業の業況判断DI(「良い」と答えた割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた値)は、前期(4~6月期)から0.8ポイント悪化し、▲23.9となった。売上DIも▲10.4とマイナス幅を拡大しており、採算DIは▲15.8と前期比で3.7ポイントの悪化を示した。さらに、資金繰りDIも▲22.6と前期比3.7ポイント悪化しており、経営環境は依然として厳しい。特に、製造業では業況判断DIが▲31.1と低下し、非製造業に比べて落ち込みが大きかった。

小企業の景況に関して地域別に見ると、北関東・信越、東京・南関東、北陸、近畿、四国、九州の6地域でマイナス幅が拡大した。来期(10~12月期)も東京・南関東、東海を除くほぼ全地域でさらなる悪化が予想されており、地方圏での景気の停滞が懸念されている。一方、非製造業では、飲食店・宿泊業、サービス業、建設業、運輸業でマイナス幅がわずかに縮小するなど、一部で改善の兆しが見られた。

売上面では、小企業全体の売上DIが▲10.4と悪化し、今後もマイナス幅が拡大する見通しとなった。特に卸売業や小売業、情報通信業で落ち込みが目立ち、消費回復の鈍さが業績に影響を及ぼした。採算DIは▲15.8となり、原材料価格の高止まりや人件費上昇が利益を圧迫している。調査では、経営上の問題点として「売上不振」(34.7%)が最も多く、「原材料高」(17.2%)、「利益減少」(17.1%)が続いた。

一方で、設備投資の動向にはわずかな明るさも見られた。設備投資を実施した小企業の割合は15.3%と、前期から1.8ポイント上昇した。販売価格DIは24.6と前期比0.7ポイント低下したものの、依然として高水準を維持しており、価格転嫁の動きが続いている。仕入価格DIは69.2と高止まりしており、コスト増の圧力は引き続き強い。

中小企業全体の動向を見ると、業況判断DIは1.1と前期比で1.8ポイント低下したものの、依然としてプラス圏にあり、全体としては「持ち直しの動きがみられる」と分析された。特に非製造業ではDIが4.9と堅調で、建設業やサービス業を中心に改善が進んだ。売上DIは8.3で前期比3ポイント低下したが、今後は回復基調に転じるとみられ、10~12月期には14.6、2026年1~3月期には16.9まで上昇する見通しとなっている。

利益面では、純益率DIが▲4.4とマイナスに転じたが、来期には▲1.5、来々期には▲0.3と改善が期待されている。資金繰りについても安定傾向が続いており、長期的な借入難易度は改善に向かっている。業況判断DIを地域別に見ると、北海道、関東、東海、近畿、中国の5地域で低下したものの、年末にかけてはすべての地域で上昇する見通しである。

総じて今回の調査では、製造業におけるコスト負担の増加や販売不振が全体の景況を押し下げている一方で、非製造業や一部のサービス業では持ち直しの動きが確認された。日本政策金融公庫は、こうした動向を踏まえ、資金繰り支援や経営改善に関する支援策を引き続き強化していく方針を示している。

この記事の要点

  • 2025年7~9月期の小企業業況判断DIは▲23.9で前期比悪化
  • 中小企業の業況判断DIは1.1と低下したがプラス圏を維持
  • 小企業の資金繰りDIは▲22.6と厳しい環境が続く
  • 経営課題は「売上不振」が34.7%で最多
  • 設備投資実施企業割合は15.3%で前期比上昇
  • 中小企業全体では10~12月期以降の回復を見込む

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ

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