2025年11月21日
労務・人事ニュース
雇用改善続く、有効求人倍率高水準維持 完全失業率2.6%【令和7年10月 月例経済報告】
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最終更新: 2025年11月20日 09:35
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最終更新: 2025年11月20日 16:00
10月月例経済報告(内閣府)
この記事の概要
内閣府が公表した令和7年(2025年)10月の月例経済報告によると、日本経済は「米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられるものの、緩やかに回復している」との基調判断が維持された。雇用や所得の改善が回復を支える一方、物価上昇や為替変動、世界経済の不確実性が下振れリスクとして指摘された。雇用情勢は改善傾向を示し、有効求人倍率は依然として高水準を維持している。
内閣府が10月29日に発表した月例経済報告では、日本の景気は依然として「緩やかに回復している」との判断が示された。米国の通商政策による影響が自動車産業を中心に見られるものの、個人消費や設備投資が底堅く推移している。特に、雇用・所得環境の改善が景気回復の支えとなっており、家計の消費行動を後押ししていることが明らかとなった。
報告書では、個人消費について「持ち直しの動きがみられる」とし、4〜6月期の民間最終消費支出は前期比0.4%増、8月の消費動向指数も前月比0.2%増を記録した。家電販売や外食産業などが堅調で、旅行需要もおおむね横ばいで推移している。こうした動きから、消費者マインドの改善が続いていると分析された。
企業の設備投資も回復基調を維持している。4〜6月期の法人企業統計によると、全産業の設備投資は前期比1.6%増で、そのうち製造業は6.3%増と大幅な伸びを示した。特に省人化・自動化を目的とした投資が目立ち、ソフトウェア関連の投資も増加している。一方で、非製造業では1.0%減となり、業種間の格差が続いている。
公共投資は堅調で、9月の公共工事請負金額は前月比5.7%増と拡大した。令和6年度補正予算では公共事業関係費として約2.4兆円が追加計上され、関連支出が景気を下支えしている。また、住宅建設は年率換算で71.1万戸と微減し、持家・分譲住宅の弱含み傾向が続いている。
一方、輸出は「おおむね横ばい」となり、米国向け輸出が輸送用機器を中心に減速している。米国の関税引き上げの影響が日本企業の輸出採算を圧迫しており、自動車関連産業を中心に業績の足踏みが見られる。法人企業統計では、2025年4〜6月期の経常利益が前年同期比0.2%増にとどまり、製造業は11.5%減と厳しい内容となった。
雇用情勢は「改善の動きがみられる」とされた。完全失業率は8月時点で2.6%と前月比0.3ポイント上昇したが、依然として低水準を維持している。有効求人倍率は緩やかに低下傾向を示しながらも、企業の人手不足感は依然として強く、「日銀短観」では全産業の雇用人員判断DIがマイナス36(6月はマイナス35)と不足超幅が拡大した。製造業ではマイナス24、非製造業ではマイナス44と、業種を問わず人手確保の難しさが浮き彫りとなっている。
求人動向をみると、ハローワークにおける新規求人数は減少傾向にある一方、民間職業紹介における正社員求人は横ばい、パート・アルバイト求人はやや減少した。特にサービス業や建設業では慢性的な人材不足が続いており、企業の採用意欲は依然として高い。賃金面では、定期給与と現金給与総額が増加し、実質総雇用者所得も持ち直している。これは、企業が人材確保のために賃上げを継続していることを反映しており、労働市場の逼迫が賃金上昇を支える構図となっている。
物価動向では、国内企業物価が前月比0.3%上昇し、輸入物価も円ベースで緩やかに上昇した。消費者物価指数(生鮮食品およびエネルギーを除く総合)は前年同月比2.9%の上昇を記録し、物価上昇圧力が続いている。消費者の間では「今後1年で物価が上がる」との見方が依然として9割近くを占め、価格転嫁の動きが個人消費の足を引っ張る懸念がある。
金融市場では、日経平均株価が一時50,500円台を回復し、為替は1ドル=152円台まで円安が進行した。長期金利は1.6%台で推移しており、企業の資金調達環境は安定している。全国銀行の貸出残高は前年比4.2%増で、企業の投資意欲を下支えしている。
政府は今後の経済運営について、「責任ある積極財政」の方針を掲げ、「生活の安全保障」「物価高対応」「成長投資と危機管理投資」「防衛力強化」を柱とする「総合経済対策」を早急に策定するとしている。また、日本銀行との連携を強化し、賃金と物価の好循環を確立させるための政策運営を進める方針を明示した。
総じて、雇用・所得の改善を背景に国内景気は底堅く推移しているが、物価上昇と米国通商政策の不確実性が依然として大きなリスク要因である。企業の採用活動は活発化しており、特に人材確保が課題となる業界では、賃上げと待遇改善を通じた競争が今後も続く見通しだ。
この記事の要点
- 日本経済は緩やかに回復、基調判断は「持ち直し」維持
- 雇用情勢は改善、有効求人倍率は高水準を維持
- 完全失業率2.6%、人手不足DIは全産業でマイナス36
- 設備投資は前期比1.6%増、製造業では6.3%増
- 消費者物価は前年同月比2.9%上昇で物価上昇続く
- 政府は総合経済対策と賃上げ重視の財政運営を継続
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


