2025年11月21日
労務・人事ニュース
全国で9,766人が熱中症搬送、過去2番目の多さ【令和7年9月消防庁発表】
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令和7年9月の熱中症による救急搬送状況(総務省)
この記事の概要
総務省消防庁が公表した「令和7年9月の熱中症による救急搬送状況」によると、全国で9,766人が搬送され、統計開始以来2番目に多い9月の搬送数となった。全体の約54%を高齢者が占め、入院を必要とした中等症・重症は全体の約34%に上った。発生場所では住居が最も多く約31%、次いで道路、屋外の公共空間、仕事場の順となり、屋内外を問わず注意が必要な状況が明らかになった。
総務省消防庁は10月29日、令和7年9月に全国で発生した熱中症による救急搬送の確定値を発表した。それによると、全国での搬送人員は9,766人にのぼり、統計を開始した平成20年以降で2番目に多い9月の記録となった。近年、9月でも真夏並みの高温日が続く傾向があり、季節外れの暑さが多くの搬送を引き起こしたとみられる。前年の令和6年9月には11,503人が搬送されており、今年はそれを下回ったものの、依然として高水準の搬送件数が確認された。
年齢別では、65歳以上の高齢者が最も多く5,233人で全体の53.6%を占めた。次いで18歳以上65歳未満の成人が3,747人(38.4%)、7歳以上18歳未満の少年が736人(7.5%)、7歳未満の乳幼児が50人(0.5%)と続いた。特に高齢者の割合は依然として過半数を超えており、屋内外問わず体温調節機能の低下によるリスクが高いことが改めて示された。
初診時の傷病程度別では、外来診療で済んだ軽症が6,430人(65.8%)と最も多く、入院が必要な中等症が3,130人(32.0%)、重症者は183人(1.9%)だった。死亡者は3人にとどまったものの、入院を要する患者の割合は全体の3分の1を占め、症状の重篤化リスクが引き続き高いことがうかがえる。消防庁では、「一見軽症でも油断せず、初期症状の段階で早めに受診することが大切」と呼びかけている。
発生場所別のデータでは、住居が最も多く3,058人(31.3%)であった。続いて道路が1,932人(19.8%)、公衆の屋外空間(駅のホームや公園など)が1,337人(13.7%)、仕事場(工場・作業所など)が1,269人(13.0%)と続いた。この結果は、屋内での発症が屋外と同等以上に多いことを示しており、在宅中でもエアコンを適切に使用し、室温管理を行う必要性が強調されている。
仕事場での発生は全体の約13%を占め、現場作業や建設業などの屋外勤務者を中心に依然として高い割合を占めている。特に製造業や建設業では、猛暑時の作業負荷が重く、企業における「職場熱中症対策」の強化が急務とされている。厚生労働省の労働災害統計によれば、近年、熱中症による労働災害の約4割が建設・製造業で発生しており、今回の消防庁データとも一致する傾向を示している。
都道府県別では、東京都が857人で最多となり、次いで大阪府771人、愛知県705人、埼玉県534人、千葉県457人が続いた。大都市圏を中心に高温多湿な気候条件が続いたことが搬送数の増加に影響していると考えられる。特に東京都では屋外の公共空間や駅構内などでの発生が多く、通勤・通学時間帯での搬送が相次いだとみられる。
消防庁によると、9月の搬送者のうち約1,000人が仕事中に発生したケースであり、労働現場における暑熱対策の強化が今後の課題とされている。工場や建設現場などでの発生割合は13.0%に達し、前年(12.0%)よりやや増加した。現場での熱中症リスクは、気温だけでなく湿度や作業時間、服装、休憩の取り方など複合的な要因が関与しているため、産業安全衛生面での対策が求められている。
また、発症のピークは9月上旬に集中し、特に9月1日から9月9日にかけての9日間で全体の約40%が発生していた。この期間は全国的に真夏日が続き、気温35度を超える地域も多かった。特に高齢者の在宅中の発症が多く、救急搬送後に入院となるケースが増加した。消防庁は「朝晩が涼しくなっても日中の熱中症リスクは高く、9月でも油断できない」と警鐘を鳴らしている。
地域別の特徴を見ると、東日本では埼玉県・東京都・神奈川県を中心に都市部の住宅地での発生が多く、西日本では大阪府・愛知県・福岡県など工業地帯での発症が目立った。特に愛知県では建設現場・工場などの「仕事場」での発症が全体の20%近くを占め、製造関連業種における現場環境の厳しさが浮き彫りになった。
今回のデータは、9月における熱中症搬送者数としては過去18年間で2番目に多い数値であり、秋口にも暑さ対策の徹底が求められていることを示している。企業や自治体では、労働安全マニュアルや在宅高齢者向けの啓発活動を強化する動きが広がっており、「9月の熱中症対策」が新たな重点課題となりつつある。
この記事の要点
- 全国の熱中症による救急搬送者は9,766人で平成20年以降2番目に多い
- 高齢者が全体の53.6%、成人は38.4%で依然として高い割合
- 入院を必要とする中等症・重症は全体の約34%
- 発生場所は住居が最多(31.3%)、次いで道路(19.8%)
- 仕事場での発生は約13%で前年より増加、労働災害との関連が指摘
- 東京都857人、大阪府771人、愛知県705人と大都市圏が中心
- 9月上旬に全体の約40%が集中、残暑による影響が顕著
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ


