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2025年11月24日

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2025年10月号 北九州市保健環境研究所、50年続く化学物質調査で技術継承と人材育成を両立

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北九州市保環研だより 第14号:2025年10月発行(北九州市)


この記事の概要

北九州市保健環境研究所は、市民の健康と生活環境を守るための研究活動を紹介する広報紙「北九州市保環研だより」の第14号(2025年10月発行)を公開した。今号では、環境中の化学物質を長期的に調査する「化学物質環境実態調査(エコ調査)」や、学生向けインターンシップの実施状況が紹介されている。調査では50年以上にわたり環境中の化学物質を分析し、洞海湾の最新調査結果でも全項目で「不検出」を確認。研究所の技術力と若手人材育成への取り組みが詳しく伝えられている。


北九州市保健環境研究所は2025年10月、「北九州市保環研だより」第14号を発行し、環境保全と人材育成の両面での取り組みを紹介した。市民の健康と環境を守るための専門的な検査・研究活動の成果をわかりやすく伝える本紙は、科学的かつ客観的な情報発信を目的としており、市民が安心して暮らせる地域社会づくりに貢献している。

今号の特集では、環境中の化学物質の現状を把握する「化学物質環境実態調査(エコ調査)」が取り上げられた。この調査は1974年(昭和49年)に開始され、環境省が全国100地点で実施しているものである。大気、水質、土壌、生物などさまざまな環境媒体にどのような化学物質が存在しているのかを継続的に把握し、その結果を健康影響の評価や環境政策の基礎資料として活用している。北九州市保健環境研究所は、この調査が始まった当初から50年以上にわたり継続参加しており、環境行政の最前線を担ってきた。

エコ調査は「分析法開発調査」と「環境調査」という二段階で行われる。分析法開発調査では、対象となる化学物質の特性を把握し、環境中の微量成分を高精度で検出できる測定法を開発する。文献調査から始まり、試料の前処理や測定条件の最適化まで、多数の試行錯誤を重ねながら普遍的な分析方法を確立していく。これは単なる研究ではなく、どの分析機関でも再現性をもって測定できることを目的としており、技術力と忍耐力の両方が求められる専門的業務である。

北九州市保健環境研究所では、これまでに30名以上の職員が延べ70種類以上の化学物質に対する分析法を開発してきた。これらの分析法の中には、現在の公定法の基礎となったものも多く、研究所の成果が全国レベルの環境規制や行政判断に活用されてきた実績がある。この活動は、地道な努力の積み重ねによって社会的信頼を築いてきた研究機関の使命を象徴するものである。

分析法が確立された後は、実際に環境媒体中の化学物質を調べる「環境調査」が行われる。この調査は「初期環境調査」「詳細環境調査」「モニタリング調査」の3段階で構成され、化学物質の存在確認から分布状況、さらに長期的な残留挙動までを総合的に把握する。北九州市では、地域特有の課題に対応するため、洞海湾の水質調査を継続的に実施している。近年の結果では、2022年度から2024年度にかけて調査したすべての化学物質(n-ブチル-2,3-エポキシプロピルエーテル、2,4-キシレノール、酢酸n-プロピル、2-メルカプトベンゾチアゾールなど)が「不検出」となり、地域の環境水準が良好に維持されていることが確認された。

こうした調査活動は、単なる数値の集積にとどまらず、将来的な環境リスク評価や新たな規制策定に直結するものであり、環境科学の根幹を支える重要な取り組みである。北九州市保健環境研究所は、今後も技術力の向上と継続的なデータ提供を通じ、地域の環境保全と持続可能な社会の形成に貢献していく姿勢を示している。

また、今号では人材育成の一環として実施されたインターンシップの取り組みも紹介された。研究所では、北九州市役所全体が推進する学生向け就業体験プログラムの一環として、毎年夏にインターンシップを実施している。2025年度は、8月18日から22日までの5日間、6名の学生を受け入れ、環境監視部との連携のもとで研修を行った。

研修プログラムでは、環境職(化学・生物)としての業務を体験できるよう、河川の水質調査、大気の常時監視システムの紹介、環境苦情対応の机上訓練、さらには浄化センターやエコタウンセンターなどの関連施設視察が行われた。また、光化学オキシダント測定やCOD分析など、実際の分析作業も体験する実践的な内容で構成されていた。

参加した学生からは「専門知識を実際の業務にどう生かすかを学べた」「環境分野への関心がより高まった」といった感想が寄せられ、職員にとっても若い世代との交流を通して初心を取り戻す良い機会になったという。研究所の担当者は「インターンシップは単なる体験の場ではなく、将来の技術職員育成への投資」と位置付けており、教育と研究が連動した取り組みを続けていく方針を示した。

このように、北九州市保健環境研究所は、環境科学の最前線での研究活動と次世代人材の育成を両立させ、市民生活の安全と環境の質の向上に貢献している。技術者の専門性を高めつつ、地域社会と協働する姿勢は、持続可能な都市経営を支える重要な柱となっている。

この記事の要点

  • 北九州市保環研だより第14号(2025年10月)を発行
  • 環境省の「化学物質環境実態調査(エコ調査)」に50年以上継続参加
  • これまでに30名以上が70種類以上の化学物質分析法を開発
  • 洞海湾の水質調査結果はいずれも「不検出」で環境状態は良好
  • 8月18日から22日まで5日間、学生6名を受け入れインターンシップを実施
  • 実習では大気監視・水質分析・施設視察など幅広く体験
  • 技術力の継承と若手育成を通じて環境行政の中核を担う

⇒ 詳しくは北九州市のWEBサイトへ

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