2025年11月26日
労務・人事ニュース
令和7年9月 山形県の有効求人倍率1.23倍 地域雇用に弱さの兆し
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最終更新: 2025年11月25日 10:13
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最近の雇用情勢について(令和7年9月内容)<新規学卒者を除く>(山形労働局)
この記事の概要
令和7年9月、山形労働局が公表した雇用情勢によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍で前月から0.02ポイントの低下となった。新規求人倍率も1.86倍とわずかに下がり、正社員有効求人倍率は1.12倍で前年同月を0.09ポイント下回った。雇用の持ち直しに弱さが見られ、物価高騰や景気変動が中小企業の採用活動にも影響を与えている。この記事では、最新データに基づき山形県の労働市場の実態を分析し、中小企業が採用戦略をどのように組み立てるべきかを詳しく解説する。
令和7年9月の山形県における有効求人倍率は1.23倍と、前月よりもわずかに低下した。全国平均の1.20倍を上回ってはいるものの、雇用の動きに勢いを欠く傾向が続いている。新規求人数は7,972人と前年同月比で0.3%減少し、5か月連続の減少となった。一方で有効求人数も前月比1.0%減の21,504人、前年同月比4.4%減と、求人面の鈍化が鮮明である。これに対して求職面では新規求職申込件数が4,005件と7.5%増加し、有効求職者数も4か月連続で増加するなど、仕事を探す側の動きが強まっている。この求人の減少と求職の増加が同時に進む状況が、求人倍率のわずかな低下を生み出している。
産業別に見ると、建設業や宿泊・飲食サービス業、サービス業全般では新規求人が増加しており、特にサービス業は前年同月比で30.2%増という顕著な伸びを示した。一方で、製造業では12.8%の減少となり、8か月連続のマイナスが続く。特に電子部品や輸送機器、金属加工などで求人が減少しており、製造業全体の採用意欲の鈍化が見て取れる。医療・福祉分野もわずかに0.8%減少しており、人手不足感が続く中での採用難が続いている。こうした傾向は、地域経済の基盤を支える中小企業にとって、採用の難しさが一段と増す状況を意味している。
また正社員の新規求人数は4,213人で、前年同月比3.5%の減少となった。新規求人全体に占める割合は52.8%で、前年から1.8ポイント低下した。これは正社員雇用への移行が進みにくい現状を示しており、安定した雇用を求める求職者と、即戦力を求める企業との間でミスマッチが生じていることがうかがえる。企業規模別では、300人未満の中小企業が全体求人の約7割を占めており、この層での採用確保が地域雇用を左右している。
このような情勢下で、中小企業の採用担当者は「選ばれる企業」としての発信力を高めることが求められている。求人倍率が高止まりしていた時期には、応募者数が少なくても採用できる余地があったが、足元では求職者が慎重に企業を選ぶ傾向が強まっている。特に若年層では、給与水準や福利厚生だけでなく、職場環境やキャリアパス、リモートワーク対応などを重視する傾向がある。山形県のように地方圏で採用活動を行う中小企業にとって、こうした非金銭的要素を明確に打ち出すことが今後のカギとなる。
一方で、離職者数が2,128人と前年同月比で3.8%増加しており、離職理由のうち事業主都合が456人とやや減少した一方、自己都合による離職が増えている。これは、従業員が自らより良い環境を求めて転職していることを示している。中小企業はこの動きを逆手に取り、離職率の低い安定した職場づくりを採用広報の一環として訴求することで、人材確保につなげる戦略が有効である。
また、新規求職者のうち在職者の割合が9.2%増と増加していることからも、転職活動が活発化していることが分かる。これは「より良い条件」へのニーズの高まりを意味しており、給与や待遇の見直しを図る中小企業にとっては、新たな人材を呼び込むチャンスでもある。特に建設業やサービス業のように求人が増加している分野では、他社との差別化が競争力を左右する。単に求人票を出すだけでなく、自社で働くメリットを具体的な言葉で伝えることが重要だ。
雇用保険の受給者実人員が前年同月比12.6%増の4,285人と5か月連続で増加していることも、雇用市場の変動の大きさを物語る。企業の採用担当者にとっては、これを「潜在的な採用機会」と捉える視点が必要だ。離職後一定期間を経て再就職を希望する人材に対して、スキル再教育や柔軟な働き方を提供することで、早期採用につなげる戦略が効果的である。
山形県の求人動向は、産業構造の変化も映し出している。情報通信業では39.1%の減少、教育・学習支援業では22.3%の減少と、知的産業分野での求人縮小が目立つ。一方で、金融・保険・不動産業では22.5%の増加となっており、DX推進や新しい金融サービス展開に対応した人材ニーズが高まっている。これは県内の中小企業にとっても、事務職や経理職、営業職などの採用においてデジタルスキルを重視する方向にシフトすべきことを示唆している。
さらに、季節調整値による有効求人倍率の推移を見ると、令和7年初頭以降、山形県の数値は全国平均を上回りつつも横ばい傾向にある。つまり、求人は維持されているが、求職の増加により倍率が押し下げられている構図である。企業側にとっては、求職者が多い今こそ「採用のチャンス」として捉えるべきタイミングとも言える。採用計画を先延ばしにするのではなく、長期的な視点で必要人材を確保し、育成へとつなげることが中小企業の安定経営に直結する。
最後に、今後の物価上昇や景気変動の影響にも注意が必要である。山形労働局は雇用情勢について「持ち直しの動きに弱さが見られる」としており、慎重な対応を促している。中小企業の採用担当者は、短期的な採用成果にこだわるのではなく、地域人材との信頼関係を築き、長期雇用を前提とした採用戦略を構築することが求められている。採用市場の波を見極め、数字の裏にある人の動きを読む力が、これからの時代における中小企業の競争力の源泉となるだろう。
この記事の要点
- 令和7年9月の山形県有効求人倍率は1.23倍で前月比0.02ポイント減
- 新規求人数は7,972人で前年同月比0.3%減、5か月連続の減少
- 正社員有効求人倍率は1.12倍で前年同月比0.09ポイント減
- 建設業・サービス業で求人増、製造業・医療福祉で減少
- 離職者は3.8%増、転職希望者の増加が顕著
- 採用競争力強化には職場環境と非金銭的価値の発信が重要
- 有効求人倍率の横ばい傾向をチャンスと捉えた長期採用戦略が鍵
⇒ 詳しくは山形労働局のWEBサイトへ


