2025年11月26日
労務・人事ニュース
令和7年9月 千葉県有効求人倍率0.98倍 前月と同水準
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最終更新: 2025年11月26日 01:06
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最終更新: 2025年11月25日 10:13
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最近の雇用失業情勢(令和7年9月分)(千葉労働局)
この記事の概要
令和7年9月、千葉労働局が発表した雇用失業情勢によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は受理地別で0.98倍、就業地別で1.23倍と、いずれも前月と同水準で推移した。求人数・求職者数ともに減少しており、物価上昇や先行き不透明な経済環境の中で雇用は持ち直しの動きを見せながらも、全体としては弱さが残る状況となっている。
令和7年9月の千葉県における有効求人倍率(季節調整値)は0.98倍で、前月と同水準だった。これは求職者1人に対して約1件の求人があることを意味するが、全国平均の1.20倍を大きく下回っており、全国的な水準と比較すると千葉県の労働市場はやや冷え込みを見せていることがわかる。就業地別では1.23倍となり、勤務地ベースでは求人の動きが相対的に活発であるものの、受理地別(応募を受け付けたエリア)では求人活動が鈍化している。この背景には、都市部と地方部での雇用需要の格差、企業の採用抑制傾向、物価上昇に伴うコスト意識の高まりなど、複数の要因が絡み合っていると考えられる。
有効求人数は前月比0.5%減、有効求職者数は前月比0.3%減と、求人・求職ともに減少した。新規求人倍率(季節調整値)は1.80倍で、こちらも前月と同水準だったが、新規求人数は前月比6.7%減、新規求職者数も6.3%減と、採用・転職活動の両面で慎重姿勢がうかがえる。前年同月比では、有効求人数が4.5%減、新規求人数が5.4%減と、求人動向は8か月連続で減少傾向にある。特に中小企業では、資材価格や人件費の上昇による経営圧迫から、計画的な採用を控える動きが見られる。
一方で、有効求職者数は前年同月比2.1%減、新規求職者数は3.7%増と、求職者側の動きには変化が見られる。労働者がより良い条件を求めて転職を検討するケースが増えており、労働市場は一見落ち着いているようでいて、内部では流動性が高まっている状況である。これは、中小企業にとって採用戦略を見直す必要性を示唆しており、「量より質」の採用への転換が求められる局面とも言える。
正社員有効求人倍率は0.78倍で、前年同月比0.01ポイント低下した。正社員としての安定雇用を希望する求職者が増える一方で、企業側の正社員求人が伸び悩んでおり、非正規雇用を含む多様な働き方を取り入れる企業が増加している。新規求職者の中でも離職者の割合が増加しており、再就職支援や職業訓練の充実が地域経済を支える鍵となっている。
産業別に見ると、情報通信業が前年同月比21.1%増と大幅に伸びたのが特徴的である。DX(デジタルトランスフォーメーション)やITインフラ整備、AI関連技術など、デジタル人材への需要が高まっており、求人の拡大が続いている。教育・学習支援業も11.5%増と堅調で、リスキリングやオンライン教育の普及が背景にある。一方、学術研究・専門・技術サービス業は15.1%減、医療・福祉は10.4%減と落ち込みが大きく、人材確保の難しさが続いている。
また、宿泊業・飲食サービス業も9.8%減、生活関連サービス業・娯楽業が8.8%減と、観光需要の一服や個人消費の抑制が影響している。製造業では0.6%増と横ばいで、特に電子部品や食品加工などで求人が安定している。建設業は7.9%減で、資材価格の高止まりが採用計画に影響している。
企業規模別に見ると、従業員数29人以下の企業での新規求人が前年同月比7.9%減と落ち込みが大きい。中小企業にとっては人材確保が依然として大きな課題であり、求職者の選好変化に対応する柔軟な採用方針が求められる。一方で、従業員1000人以上の大企業では求人が増加しており、企業規模による採用格差が拡大していることがうかがえる。
職業別の有効求人倍率では、専門的・技術的職業が1.36倍と高く、生産工程の職業が1.70倍と堅調に推移している。一方で、事務的職業は0.30倍、販売職は0.90倍と低く、ホワイトカラー職での競争は依然激しい。こうしたデータは、中小企業の採用担当者にとって、自社がどの職種で競争優位を築けるかを見極めるうえで貴重な指標となる。
雇用保険受給者数は22,060人で、前年同月比16.4%増となり、4か月連続で増加している。受給資格決定件数も4,486人で9.4%増加しており、雇用調整や離職の動きが一部で続いていることがわかる。こうした中で、再就職支援や人材マッチング機能の強化は喫緊の課題であり、中小企業は潜在的な求職者層へのアプローチを重視する必要がある。
中小企業の採用担当者にとって、0.98倍という有効求人倍率は「求人が多いが、マッチする人材が少ない」状態を意味する。求職者の数自体は一定数存在するものの、希望条件やスキル、勤務時間などのミスマッチが採用活動の障壁となっている。特に千葉県では、東京近郊への通勤圏という立地特性から、優秀な人材が都内企業へ流出する傾向が強い。そのため、県内中小企業が採用を成功させるためには、給与水準の引き上げだけでなく、「地域で働く価値」をいかに伝えるかが重要である。
また、採用活動のデジタル化も進展している。ハローワークインターネットサービスの拡充により、オンライン応募やデジタル面接が一般化している中で、企業側もデジタル対応を整備し、スピード感のある選考を実現することが求められる。求人票の見せ方ひとつでも応募数は変化するため、職場環境や福利厚生、社員の声など、企業の「リアル」を伝える努力が必要だ。
さらに、採用担当者は単に募集をかけるだけでなく、採用後の定着を見据えた施策を講じるべきである。例えば、教育・研修制度を整備し、スキルアップの機会を提供することで、若手人材の離職を防ぐことができる。地方に根ざした中小企業こそ、長期的なキャリア形成を支援する姿勢を明確に打ち出すことが、採用競争力の源泉となる。
今後の千葉県の雇用情勢は、情報通信業や教育関連業の拡大によって下支えされつつも、医療・福祉や建設などの基幹産業では依然として厳しい状況が続く見通しである。採用担当者は、自社の属する業界が「攻めるべき」か「守るべき」かを見極め、有効求人倍率の変化を的確に読み取る力が求められる。採用市場の動きをデータに基づいて把握し、戦略的に対応することが、中小企業の持続的成長の鍵となる。
この記事の要点
- 令和7年9月の千葉県有効求人倍率は0.98倍で前月と同水準
- 新規求人倍率1.80倍 新規求人数前月比6.7%減
- 情報通信業が21.1%増 教育・学習支援業が11.5%増
- 医療・福祉が10.4%減 学術研究・技術サービス業が15.1%減
- 雇用保険受給者数22,060人で16.4%増
- 中小企業は地域密着型・デジタル対応型採用戦略が不可欠
⇒ 詳しくは千葉労働局のWEBサイトへ


