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2025年11月27日

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令和7年9月 岐阜県の有効求人倍率1.46倍に上昇、人手不足続く中小企業の採用戦略

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一般職業紹介状況(令和7年9月分)(岐阜労働局)

この記事の概要

令和7年9月における岐阜県の有効求人倍率(季節調整値)は1.46倍と、前月から0.02ポイント上昇し、2か月ぶりの改善を示した。全国平均の1.20倍を大きく上回り、全国5位という高い水準を維持している。正社員有効求人倍率(原数値)は1.34倍と2か月連続で低下したが、依然として全国的に見ても高水準であり、労働需給の逼迫が続いている。こうした中で中小企業の採用活動は一層の工夫が求められており、求人内容の明確化や採用プロセスの迅速化が重要である。


令和7年9月に岐阜労働局が公表した労働市場の動向によれば、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.46倍となり、前月の1.44倍から上昇した。この上昇は、求人数が前月比1.0%増加した一方で、有効求職者数が0.3%減少したことによるものであり、企業側の求人意欲が引き続き強いことを示している。全国平均の1.20倍と比較しても岐阜県の労働需給は極めて逼迫しており、地域経済の堅調さとともに人材確保の難しさが浮き彫りとなっている。特に、正社員有効求人倍率が1.34倍と2か月連続で低下した点は、正規雇用への需要が依然として強い一方で、求職者側の希望や条件とのミスマッチが存在していることを示唆している。

産業別にみると、新規求人は前年同月比で卸売業・小売業、生活関連サービス業・娯楽業、サービス業が増加している。一方で、製造業や医療・福祉、宿泊業・飲食サービス業では減少がみられた。製造業の新規求人は前年比3.2%減の2,396人であり、特に食料品製造業や繊維工業などで顕著な減少が見られた。物価上昇やエネルギーコストの影響が製造業の求人意欲を抑える一因と考えられる。一方で、卸売・小売業は前年比8.1%増の2,285人と増加しており、個人消費の回復が企業の採用意欲を押し上げた形だ。生活関連サービス業・娯楽業も前年比32.3%増の569人と大幅に増加しており、観光需要やイベント産業の復調が背景にある。

地域別では、岐阜ハローワークの管内が1.48倍、大垣が1.09倍、高山が2.01倍と、地域ごとに求人状況が異なる。特に高山市など観光関連産業が盛んな地域では季節的な求人需要が強く、サービス業・宿泊業を中心に求人倍率が高水準を維持している。一方で、岐阜市中心部や大垣市では事務職や販売職の求人が多いものの、応募が集中する傾向があり、求人倍率がやや低下傾向にある。

職種別に見ると、有効求人倍率が特に高いのは保安職業(7.97倍)、建設関係(6.35倍)、介護関連(4.89倍)などである。これらの職種は慢性的な人手不足が続いており、特に建設業では公共工事の増加や災害復旧需要などもあり、採用競争が激化している。対照的に、事務職の有効求人倍率は0.58倍と低く、求職者の希望が集中している。つまり、事務職志向の強い求職者が多く、求人が限られているため倍率が低下しているのである。中小企業が採用を成功させるためには、こうした職種ごとの需給バランスを的確に把握し、採用戦略を柔軟に見直す必要がある。

例えば、介護・医療分野では、求人倍率が高い一方で離職率も高く、職場環境や処遇改善が採用のカギを握る。給与だけでなく、働きやすい勤務体系やスキルアップ支援制度など、求職者が「長く働ける環境」を求める傾向にあることを踏まえた求人設計が求められる。また、製造業や物流業などの現場職では、若年層の応募が減少しており、高齢者や女性の活用を視野に入れた柔軟な雇用形態の導入も重要だ。特に岐阜県では、60歳以上の新規求職者が全体の約19%を占めており、経験豊富な人材を再雇用・再活用する取り組みが中小企業にとって有効な戦略となる。

さらに、デジタル人材や専門職の採用にも注目が集まっている。情報通信業の新規求人は前年比42.4%増の131人と大幅に増加しており、企業のDX推進やITインフラ整備に伴い、県内でも需要が拡大している。中小企業がこうした専門人材を確保するには、単に求人票を出すだけでなく、自社のデジタル化方針や将来的なキャリアパスを明確に提示することが重要である。

岐阜県の有効求人倍率が全国平均を上回って推移している背景には、地域経済の底堅さとともに人口減少が進行する中での人材供給不足がある。特に地方都市では若年層の県外流出が続いており、企業側が積極的に魅力ある職場環境を打ち出さなければ、採用難は今後さらに深刻化する可能性が高い。採用担当者にとっては、「選ばれる企業」であるためのブランドづくりが不可欠であり、その第一歩が求人票の見直しである。業務内容やキャリアの見通し、教育体制などを具体的に記載し、求職者が安心して応募できる情報提供を心がけることが求められる。

また、採用スピードの改善も重要なポイントである。有効求人倍率が高い状況では、優秀な人材は複数企業から内定を得やすいため、選考に時間がかかる企業ほど人材を逃すリスクが高まる。迅速かつ丁寧な対応が採用競争における勝敗を分ける要素となるだろう。

今後の岐阜県の雇用環境を展望すると、物価上昇や国際情勢の変化により一部の業種では慎重な採用姿勢がみられる一方で、サービス業や流通業を中心に求人需要が高止まりする見込みである。中小企業は、求人市場の変化に敏感に反応し、自社の強みを生かした採用ブランディングと働き方改革を進めることで、厳しい採用環境を乗り越えることができるだろう。

この記事の要点

  • 岐阜県の有効求人倍率は令和7年9月時点で1.46倍、全国平均1.20倍を大きく上回る
  • 正社員有効求人倍率は1.34倍で2か月連続の低下
  • 卸売業・小売業やサービス業で求人が増加、製造業や医療・福祉で減少
  • 保安職業や建設業、介護関連職の求人倍率が高く慢性的な人手不足が続く
  • 中小企業は求人内容の明確化、スピーディーな採用対応が鍵
  • 高齢者や女性の活用、柔軟な雇用形態の導入が今後の課題

⇒ 詳しくは岐阜労働局のWEBサイトへ

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