2025年11月27日
労務・人事ニュース
令和7年9月 静岡県の有効求人倍率1.04倍 中小企業が取るべき採用戦略
- 福岡県糟屋郡エリア/訪看のお仕事/未経験OK/車通勤可/即日勤務可
最終更新: 2025年11月26日 09:35
- 充実の年間休日120日訪問看護師求人/車通勤可/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年11月27日 01:04
- 住宅型有料老人ホームでの訪問看護のお仕事/未経験OK/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年11月27日 01:04
- 北九州エリア/クリニック/正看護師・准看護師/非常勤のお仕事/残業なし/即日勤務可
最終更新: 2025年11月27日 01:04
静岡県内の最近の雇用情勢(令和7年9月分)
この記事の概要
令和7年9月に静岡労働局が発表した最新の雇用情勢によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.04倍と前月から0.01ポイント低下し、全国平均1.20倍を下回った。製造業や卸売業・小売業などで求人の動きは見られる一方、建設業や医療・福祉分野では減少傾向が見られた。地域別では中部が1.13倍、東部が1.06倍、西部が0.94倍と全ての地域で前年同月を下回った。中小企業の採用担当者にとっては、労働需給の逼迫と人材定着の両立が重要な局面にある。この記事では、静岡県内の有効求人倍率の推移を踏まえ、地域ごとの労働市場の実態と中小企業がとるべき採用戦略をわかりやすく解説する。
静岡労働局が公表した令和7年9月分の雇用情勢によると、静岡県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.04倍となり、前月から0.01ポイントの減少となった。全国平均の1.20倍を0.16ポイント下回り、県内の雇用環境には依然として改善の勢いが弱い状況が続いている。特に注目すべきは、県内での有効求人倍率が56か月連続で1倍台を維持している一方で、全地域で前年同月を下回った点である。これは一見すると安定した求人動向にも見えるが、実際には人材確保の難しさが慢性的な課題となっていることを示している。
静岡県内の地域別状況を見ると、東部が1.06倍、中部が1.13倍、西部が0.94倍と分かれている。特に西部地域の低下傾向は顕著であり、産業構造の変化と人口動態の影響が大きい。浜松市を中心とする西部では自動車関連産業が多いが、生産調整の影響や人件費上昇による採用抑制が見られた。一方、中部地域では製造業や情報通信業の求人が増加傾向にあり、1.13倍と県内では最も高い水準を維持している。ただし、それでも前年同月より0.10ポイント下回っており、依然として採用市場の競争は厳しい。東部地域は観光業や宿泊業が多く、1.06倍と小幅な低下にとどまっているが、宿泊業・飲食サービス業の求人が増加しており、観光需要の回復が一定の支えになっている。
職業別に見ると、保安職業、建設・採掘、介護関連職が比較的高い求人倍率を示した。これらは人手不足が慢性的に続いている業種であり、特に介護や建設分野では地元人材の確保が難しく、企業は採用活動に創意工夫を求められている。一方で、事務職や運搬・清掃・包装などの職種では倍率が低く、求職者に対して比較的多くの選択肢がある。このような職種間のミスマッチは、企業側が採用においてポジションの魅力をどう訴求するかがカギになることを示している。
また、正社員の有効求人倍率は0.99倍と全国平均の1.00倍をわずかに下回った。正社員の有効求人数は32,080人であり、前年同月から3か月連続で減少している。正社員求人の割合は全体の54.1%を占め、前年よりやや上昇しているが、企業の採用意欲と求職者の希望条件がかみ合っていない現状が見て取れる。安定した雇用を希望する求職者が多い一方、企業は即戦力や多能工化を求める傾向が強く、特に中小企業にとっては「採用の質」と「雇用の継続性」をどう両立させるかが課題である。
産業別の動向を見ると、製造業(3,013人)、卸売業・小売業(2,138人)、宿泊業・飲食サービス業(1,035人)、サービス業(2,710人)で新規求人が増加した。一方、建設業(2,129人)、運輸業・郵便業(1,375人)、医療・福祉(5,121人)では減少が見られた。製造業では特に電子部品や機械関連の求人が増えており、デジタル化や自動化の進展を背景に技術職への需要が拡大している。逆に、医療・福祉分野の求人減少は一時的な傾向とみられるが、介護職などの人手不足は依然深刻である。
新規求人倍率(季節調整値)は1.95倍となり、前月を0.08ポイント下回った。全国平均の2.14倍に比べて0.19ポイント低く、企業の新規採用活動にはやや慎重な姿勢が見える。新規求人数は19,744人で前年同月比0.7%減となったが、求職者数も減少しており、求人と求職のバランスは依然として拮抗している。事業所規模別では、100~299人規模の企業で求人が増加しており、特に地域密着型の製造業やサービス業が積極的な採用を行っている。これに対し、1000人以上の大規模企業では採用を抑制する動きも見られ、景気の先行き不透明感が影響している。
中小企業の採用担当者にとって、このような市場環境の中での戦略的対応が重要になる。有効求人倍率が1倍を超えるということは、求職者1人に対して1件以上の求人がある状況、つまり企業間の人材獲得競争が激化していることを意味する。特に静岡県のように製造業が地域経済を支える県では、技能系人材の確保が企業の存続に直結する。そのためには、給与条件の改善だけでなく、職場環境やキャリア形成支援、ワークライフバランスへの配慮など、求職者が「働き続けたい」と思える職場づくりが求められる。
さらに、採用広報のデジタル化も無視できない要素である。静岡県ではハローワークインターネットサービス経由の応募やオンライン求職登録が増加しており、企業は自社の魅力を発信するデジタル戦略の強化が必要である。求人票の表現一つで応募数が変わる時代において、企業文化や成長機会、地域との関わりを具体的に示すことが求められる。
また、採用活動と同時に「定着率向上」も重視すべきである。人材の流動性が高い現在、採用してもすぐに離職されては意味がない。従業員が自社に愛着を持ち、成長を感じられる仕組みづくりが、長期的な競争力を生む。地域社会との関係性も大切であり、地元高校・専門学校との連携やインターンシップの活用も有効な手段である。
今後、物価上昇やエネルギーコストの変動など、外部要因が雇用環境に影響を与える可能性がある。静岡労働局は「雇用情勢の改善には一段と弱さが見られる」と指摘しており、採用活動には慎重さと柔軟さの両立が求められる。中小企業の採用担当者は、データに基づいた戦略的思考を持ち、短期的な採用成功よりも、長期的な人材育成と組織の持続可能性を重視することが重要である。
この記事の要点
- 令和7年9月の静岡県有効求人倍率は1.04倍で全国平均を下回る
- 地域別では中部1.13倍、東部1.06倍、西部0.94倍とすべて低下
- 正社員の有効求人倍率は0.99倍で3か月連続減少
- 製造業・サービス業で求人増、建設業・医療福祉は減少
- 中小企業では100〜299人規模の企業が採用を強化
- 採用競争が激化する中、定着率と魅力的な職場づくりが鍵
- オンライン採用・デジタル広報の重要性が高まっている
⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ


